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 「信じらんねぇ……」



 「……ごめん、なさい」



 静かに怒りを爆発させる譲流の手には空になったペットボトル。

足元には、枯れたような緑の皮膚を纏い、硬い甲羅を背負った『河童』が。



 「わざとじゃないの!ゆずちゃんの分も買ったから、渡し間違えたの!」



 譲流の左手(必殺利き手ビンタ)を警戒しつつ、慌てて袋からもう一本のペットボトルを出す。



 「……ッチ。河童の皿は敏感だって言ったじゃん」



 舌打ちを隠しもせずに北アルプスの天然水を引ったくり、炭酸の刺激で完全に伸びてしまった河童の頭へと注げば、しわしわの肌にしっとりとした分泌液が滲む。



 「……譲流だって気付かなかったのにさ」



 「密朧さん、何か言った?」



 にっこり音がする程の綺麗な笑みを浮かべ、密朧を振り返った譲流の額にははっきりと青筋が浮かんでいた。



 「ぃ、いいえ!言ってませんっ」


 慌てて否定するが、もう遅い。



 「……もう知らん。一人で大学行きやがれ!密朧さんのばーかっ!」



 密朧の右頬が乾いた破裂音を立てた。譲流はさっさと踵を返し、来た道を戻って行く。



 「っゆずちゃん酷い!……って、河童どーすんの!?」



 残された密朧は、痛む頬を庇いながら傍らの河童を見下ろしていた。


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