静かに淡々と……
メッチャ地味。
超ド地味な回だけど、寝首を掻くってのはこんなもんだろ?
夜の闇に覆い尽くされた山の中。
FN-FALを手にした涼介はアレクシスの案内を頼りに、静かに歩みを進めていた。
その後方。5メートルにはM4A1を手にした綾華がアリア共に歩みを進め、時折後方を警戒している。
涼介と綾華の歩みは静寂に満ちており、会話は有っても涼介がローブ姿のアレクシスの案内を聞いて小声で確認するぐらいしかなかった。
そんな涼介にアレクシスは尋ねる。
「貴方って無口なの?私から色々聞きたそうにしてると思ったんだけど?」
アレクシスの問いに涼介が答える事は無かった。
涼介は静かに木々で視界の悪い道無き道を前方と左右の数メートル先見渡しては、その半分の距離を進む。
ゆっくりとしながらも確実に敵の姿を見逃さない慎重な歩みを進め続ける涼介に対し、詰まらなさそうに見たアレクシスはゆっくりと静かにその身を浮かび上がらせると、綾華の方へと浮遊したまま赴いて行く。
綾華とアリアの元へ来たアレクシスは綾華に尋ねる。
「ねぇ?彼ってヤマを踏んでる時は無口なタイプなの?」
アレクシスの問いを綾華は無視しようと思った。
だが、無視してしつこく聞かれるならば、さっさと答えて黙って貰う方が良い。
そう判断した綾華は小声で答えた。
「敵の直ぐ近くまで接近する時に大声で会話をしてたらバレるから沈黙を保っているだけ。そうじゃない時なら、さっきみたいに流暢に話すわ」
「成る程。ON/OFFをキチンとしてるタイプって訳ね」
綾華の答えにアレクシスは納得すると、今度は綾華の目に取り付けられた暗視ゴーグルを見詰めながら尋ねる。
「その目に取り付けてるのが闇の中を見通せる装備なの?」
「そうよ」
その問いに綾華が素っ気無く返すと、アレクシスは綾華が手にするM4A1を見て尋ねる。
「その手にしてるのが貴女の世界の武器なの?」
「そうよ」
「クロスボウみたいな引金があるって事は矢を放つの?」
初めて見る銃という武器に対し、興味深そうにするアレクシスに綾華は少しだけ面倒臭そうに答えた。
「そうよ。とは言っても、矢と言うよりは小さな金属製の鏃を撃ち出すって言うのが正しいわね」
金属製の鏃を撃ち出す。
そう答えた綾華にアレクシスは首を傾げる。
「鏃だけを?矢じゃなくて?」
アレクシスが興味深そうに首を傾げると、今まで沈黙していたアリアが口を開いた。
「そうなると、ドワーフ達が最近開発したと言う鉄砲とやらと似た物と言う訳か?」
アリアの言葉に綾華は驚いてしまう。
「え?この世界、鉄砲あるの?」
「詳しくは知らないが、魔力を一切用いない代わりに火薬と呼ばれる物で鉛の球を放つと言うのは聞いた事がある」
アリアの言葉に綾華が「あぁ、なら間違いなく私達の世界にもある奴だ」そう漏らせば、綾華のインカムを介して聴いていた涼介は心の中で「使われたら厄介だな」と、独り言ちた。
鉄砲は訓練が必要だ。
まぁ、鉄砲に限らずあらゆる武器に習熟する為の訓練が必要ではあるが……
だが、鉄砲は遣い手を選ばない。
弾を込めて引金を引けば、誰でも人を殺せる。
地球ではアフリカ等では少年兵が未だに存在しているのが良い例だろう。
そんな子供でも関係無く、誰もが扱える力が産まれた事に涼介は心の中で「この世界でも地球と同じ様に剣と弓が永い戦いの歴史から消えるんだろうな……御愁傷様」と、他人事の様に漏らして歩みを続けた。
その後も山道を進み続け、途中で15分の休息を取りながら進んで行く内にアレクシスの言う遺跡の近くに到着すると、涼介は皆をその場にしゃがませる。
「全員その場でしゃがめ」
その指示と共に自らもゆっくりとしゃがめば、綾華も同様にゆっくりとしゃがんだ。
その後にアリアとアレクシスの2人も地面にしゃがめば、涼介は指揮官として綾華に命じる。
「サーサウ。斥候だ。歩哨が居るなら位置の確認だけして手は出すな。通信は緊急時以外使用を厳禁とする」
「了解」
返事をした綾華はその場にバックパックを下ろすと、M4A1を手に静かに歩みを進めて闇に溶け込む様にその姿を消した。
そんな綾華を他所に涼介はバックパックを下ろすと、アリアとアレクシスに指揮官としてハッキリ告げる。
「この後は緊急時以外声を立てるな。異論は認めない」
そう告げた涼介にアレクシスは小声で尋ねた。
「サーサウを独りで行かせて大丈夫なの?」
その疑問はアリアも同様に抱いていた。
だが、涼介は固く閉ざした唇に指を1本立てて「喋るな」と、返すだけであった。
そんな3人を他所に遺跡の直ぐ近くまで音を立てる事無く遺跡の直ぐ近くに忍び寄っていた綾華は、その場にしゃがんで遺跡を見詰める。
出発前にアレクシスから聞いた遺跡の出入り口である洞窟の前には警戒の為の見張りが4人、出入り口の両脇に立っており、周囲に設置された篝火を焚いて闇夜での視界を確保していた。
武装は弓が1人に剣が3人で、その内の1人は首から笛を提げてると……
で、残りは遺跡の中。
そうなると、やる事はもう無いわね。
斥候として見張りと篝火の位置を確認して記憶すれば、綾華は静かに音を立てる事無く来た道を戻っていく。
程無くして涼介達の元へ戻った綾華は手近にあった枝を拾うと、地面に解る様に図を描いた。
そうして、見張りと篝火の位置を記した図を描き終えれば、枝で指し示しながら涼介に報告小声で報告する。
「此処と此処。それに此処と此処の4箇所に篝火が焚かれていて、遮蔽物も無いから近付いたら遺跡の出入り口の左右に2人ずつ居る見張りに直ぐバレるわ」
「離れた所から射殺するしかない訳か……見張りの武装は?」
「見張りは此処、左側後方に居る奴が弓を持ってて、ソレ以外は剣を腰に差していて、右側後方の奴は首から笛を提げてる」
綾華から篝火と見張りの位置。
更には見張りの武装と、警報代わりの笛を持った者の位置の報告を受けた涼介は確認する。
「笛持ちは1人か?」
「確認した限りではね」
綾華が肯定すれば、涼介は簡単ながらも処理の方法を言う。
「なら、弓持ちと笛持ちを最初に殺って、その次に残りの2人を片付けるのが無難だな」
「ソレしか無いでしょ」
涼介の挙げた処理方法に綾華が同意すると、涼介は遺跡内部に関してアレクシスに尋ねた。
「遺跡内がどう言う構造か?解るか?」
「遺跡の中は単純な構造よ」
アレクシスはそう言うと、綾華の持つ枝を取って簡単ながらも部屋の間取りを描き始めた。
程無くしてアレクシスが描き終えれば、涼介は考えを纏める様に独り言ちる。
「中に入って入口を進むと、1つ目の部屋に当たって、その先の通路を進むとT字路になって左右に別れて、左が小部屋。右側に地下へ進む階段のある部屋があって、降りた先に1つ目の部屋。その先には2つ目の部屋がある訳か……」
涼介がアレクシスの描いた間取りを口に出して確認すると、綾華は尋ねる。
「どうする?」
問われた涼介は決めあぐねた様子で言う。
「正直言えば、このまま無視して通過するのも手だ。だが、後ろ盾やら含めたカネは欲しいのも本音だ」
そう漏らした涼介は一頻り考えると、決断した。
「殺るぞ。万が一の際はプランBでゴリ押しで強行突破だ。サーサウ、お前は右を殺れ」
そうと決まった後は早かった。
アリアとアレクシスに自分達のバックパックを携行する様に指示した涼介は、身軽な状態で綾香と共に静かに遺跡の出入り口近く。
見張りの焚いた篝火の照らす範囲外まで接近すると、右側に綾香がしゃがんでM4A1を構える。
その左にしゃがんだ涼介はFN-FALを構えると、小声で告げる。
「カウント3だ」
そう告げた涼介はカウントダウンをする。
「3……2……1」
3カウントと共に大小異なるくぐもった銃声が夜の静寂を突き破り、2人の見張りの頭が弾けてドサッと地面に崩れ落ちた。
その物音に気付いたのだろう。
残った2人の見張りが後ろを振り向いた。
「おい、ど……」
地面に伏した仲間に声を掛けた矢先。
2度目のくぐもった銃声が響き、残りの2人の後頭部が同時に穿った。
そうして、4人の見張りを密やかに処理すれば涼介は左側からアレクシスと、右側からは綾香とアリアと言う形で警戒しながら接近して行く。
ゆっくりながらも確実に歩みを進めて出入り口の両脇まで移動すると、涼介は綾華に周辺警戒させてからその場に伏せ、壁面から顔をそっと覗かせて内部を見る。
2メートル先にワイヤートラップ。
周辺に爆発物と思しき物は無し。
ワイヤーは……壁を伝って天井まで伸びて、部屋の方に続いてる。
て、事は鳴子による警報と見て良い。
首を僅かに捻って床に仕掛けられたワイヤートラップが壁を伝って天井に伸びてる事を確認した涼介は静かに顔を引っ込めると、情報共有の為に通知する。
「2メートル先に鳴子が仕掛けられてる」
「其処まで解るのか?」
アリアが暗視ゴーグルの性能と己の観察力に舌を巻くと、涼介は何も言わずにFN-FALを手に立ち上がって綾華達に告げる。
「サーサウ、先頭に立て。2人は俺の後ろだ」
そう告げると、綾華はM4A1を手に内部へ静かに侵入し、その後に続いて涼介達が中に入った。
侵入後。入口から2メートル先に仕掛けられた鳴子に誰も掛かる事無く進み、最初の部屋に着いた。
最初の部屋は1本の蝋燭によって仄かに照らされており、4人の盗賊が床で鼾をかいて暢気に眠って居た。
綾華は涼介にハンドサインで床に4人の盗賊が眠っている事を伝えると、盗賊達を起こさぬ様に進んで奥へ進む通路の前にゆっくりと静かにしゃがんで奥の通路を警戒し始める。
奥の通路を綾香が警戒する中。
涼介は手にしていたFN-FALを下ろすと、右腿のホルスターからサプレッサー付きのSIG P226を抜いて最初の部屋に足を踏み入れた。
そして、暢気に眠る4人の盗賊達の頭を躊躇い無く淡々と撃った。
程無くして4人に永遠の眠りを与え終えた涼介はSIG P226をホルスターに戻してFN-FALを手にすると「クリア」と、小声で処理完了を告げる。
その報告に綾華は立ち上がると、ゆっくりと歩み始めた。
接敵する事無く通路を進んで左右に別れたT字路に差し掛かると、涼介と綾華は左右の壁際に立って静かに伏せる。
それから直ぐに壁際から顔を覗かせ、左右の通路に敵の姿が無いか?確認していく。
「右クリア」
「左クリア」
お互いに敵の姿が無い事を通知すると、2人は後ろに下がってから立ち上がる。
それから直ぐに涼介はアレクシスにその場で待機を命じた。
「魔女さんはその場で待機してくれ」
「解ったわ」
涼介から待機の指示が下されると、アレクシスは素直に応じた。
そんなアレクシスを他所に涼介は綾香とアリアに命じる。
「サーサウ。アリアと共に左の部屋を確認。敵が居たら処理しろ。俺は右の通路を警戒する」
「了解」
綾華が返事をすると、涼介は通路の中央まで先行してしゃがみ、右側通路の警戒を始めた。
涼介がそうして警戒すると、綾華はアリアを伴って通路の左へと消えて行く。
綾香とアリアを見送ったアレクシスはFN-FALを手に一切の油断無く警戒を続ける涼介に語り掛ける。
「貴方の指揮を含めた貴方達の息の合った動きは見事としか言い様が無いわ」
アレクシスの称賛の言葉に涼介は「そりゃどうも」と、素っ気無く返せば、アレクシスは更に続けた。
「貴方の聴きたい事を1つ教えてあげる……さっきも言った様に私は貴方の話に出た依頼人。ジェーンとやらの友人と私には深い繋がりが有る」
唐突に真実を打ち明けたアレクシスに涼介は何も言わず、沈黙と共に続きを促す。
「どう言う繋がりか?ソレは流石に教えるつもりない。だけど、私とその友人は一応は親しい関係にある……」
アレクシスの言葉に涼介は何も言わなかった。
予想の範疇だったからか?
それとも本当か?嘘か?決めあぐねて居るからか?
何れにしろ、涼介は沈黙を保ったまま耳を傾け、アレクシスは話を続けていく。
「だからこそ、貴方に答えて貰いたい。貴方と彼女を始めとした召喚された勇者達は依頼人であるジェーンの友人とやらの意志で召喚されたの?」
アレクシスの問いに涼介は警戒を続けながらも、固く閉ざしていた口を開いて正直に答えた。
「ジェーンの言葉に嘘偽りが無いなら、友人の意志に反しているそうだ」
涼介の答えにアレクシスは納得しながらも、怪訝な表情を浮かべながら更に尋ねた。
「そう……そうなると、あの人の事だから元の世界に送り帰そうとした筈。それなのにされてないのはどうして?」
その問いにも涼介は正直に己が知る範囲で答えていく。
「したかったらしいが、その勇者召喚の首謀者が召喚された勇者達の中に居るから断念せざる得なかった……俺はそう聞いてる」
涼介の答えにアレクシスは独り合点が言った様子で納得した。
「成る程。そう言う事……それじゃあ、貴方達に白羽の矢を立てるのも納得出来るわ」
事情が未だに見えぬ涼介は首を傾げてしまう。
「どう言う事だ?」
「ずっと昔。今のこの世界よりも永く遠い過去の因縁が今になって再び姿を見せたのよ……」
アレクシスの言葉の意味が解らなかった。
それ故に涼介が益々首を傾げてしまうと、アレクシスは真剣な表情と共にお願いして来た。
「私も可能な限り手を貸す。だから、絶対にあの男の企みを阻止して。そして、必ず殺して……」
そのお願いから涼介はアレクシスが未だ何も解らぬ標的の事を知っている事を完全に理解した。
それ故に確認する。
「勇者召喚の首謀者を知ってるのか?」
「えぇ……知ってるわ」
アレクシスが肯定すれば、涼介は何も解らぬ謎の首謀者への光明を見出せた事にほくそ笑みながら尋ねる。
「なら、顔を見れば直ぐに解るか?」
「恐らく、顔を変えて正体を隠してる筈だから顔写真を見せられただけじゃ解らないわ……」
地球よりもとても若い時代である筈のこの世界の住人であるアレクシスの口から顔写真と言う単語が出て来ると、涼介は即座に違和感を覚えながらもソレには敢えて触れる事無く告げる。
「アンタと標的の間に何があったのか?無理には聞かない。だが、話したくなったら何時でも聞いても良い」
涼介から予想外の言葉をかけられると、アレクシスは意外そうな顔をしながらも微笑みと共に思った事を言う。
「貴方、優しいのね」
「俺が優しい?止してくれ……俺は優しくなんか無い」
アレクシスの言葉を吐き棄てる様に否定すると、インカムを介して綾華から報告が来た。
「此方、サーサウ。左クリア。敵影無し」
「此方、ロン。了解」
綾華の報告を了解した涼介はアレクシスに尋ねる。
「1つ教えてくれ……アンタの言うクソ野郎は何を企んでるんだ?」
「答えたいけど、私も詳しくは解らないの……知っていたら、喜んで教えるし、台無しにしてやるんだけどね」
アレクシスが本心から答えれば、涼介はソレ以上の事は聞かなかった。
暫くして綾華とアリアが戻って来ると、涼介は綾華と左右に並んで歩み、その後ろからアリアとアレクシスが付いて来る。
そんな形で奥へ進んで行く。
進む途中で複数の鳴子が仕掛けられていたが、一切引っ掛かる事無く地下へ通ずる階段のある部屋まで進んだ。
その部屋にも盗賊が眠っていた。
数は6人。
今度は涼介が階段の下を警戒し、綾華がその6人を先程の涼介と同じ様にSIG P226で射殺した。
誰もが思うだろう。
M4A1で射殺した方が早いと……
だが、銃声と言うのはサプレッサーを付けていても大きく響く。
特に室内で、5.56ミリや7.62ミリ等のライフルならば尚更響く。
それ故に涼介と綾華はソレ等よりも未だマシな銃声をさせる9ミリルガーで射殺する事で、敵に勘付かれない様に気を配っていた。
話を戻そう。
10秒も掛からずに6人を永遠の眠りに着かせた綾華は「クリア」と、告げて処理完了の報告をすると、先頭に立って静かに1歩ずつ降りて行く。
その後に続いて涼介達が降りて行けば、最初の部屋に着いた。
部屋の中には6人の盗賊達が同様に眠って居た。
その6人を淡々と射殺すると、涼介と綾華の2人はさっさと最後の部屋へと進んだ。
最後の部屋は今までよりも広く、グッスリと深い眠りに就いている盗賊達も10人以上居た。
2人は部屋の奥で鼾をかいて眠る盗賊の頭目と思しき年配の男を除いた、盗賊達を次々に永遠に眠らせていく。
そうして、最後に残った盗賊達の頭目の前に立つと、涼介はアリアを呼んで確認させる。
「コイツが盗賊の頭か?」
「そうだ」
確認が取れると、涼介は硝煙臭うSIG P226を盗賊の頭目へ向けて引金を3度引いた。
3発のくぐもった銃声と共に頭目の胸が3度穿たれれば、頭目はビクンビクンと身体を痙攣させるだけで動かなくなった。
頭目を射殺した涼介はSIG P226をホルスターに戻すと、腰から提げていたマチェーテを引き抜き、慣れた手付きで頭目を首を斬り落とした。
首の無い胴体から血がダラダラと流れて首が床を転がると、涼介はプレートキャリアに差していたケミカルライトを手に取り、パキッと折った。
ケミカルライトが室内を照らし始めると、涼介と綾華は暗視ゴーグルの電源を切ってからを外していく。
「ふぅぅ……やっぱ、寝込み襲うのは楽だな」
「その代わりつまらないけどね」
30人以上の盗賊を殺し終えた事を2人は当たり前の様に言えば、アレクシスは「手慣れてるわね」と呆れ、アリアは涼介と綾華に恐ろしいモノを覚えてしまう。
アリアが自分達に恐怖を感じている事を涼介は察しながらも、気にする事無く告げる。
「荷物降ろして良いぞ。此処で一夜を明かしたら、朝にはロムルリスに入る」
涼介が指揮官として告げると、綾華は意見具申する。
「その前に死体片付けない?」
「それより、上に戻れば良いだろ?上の方が死体少ないんだしよ……」
「それもそうね」
2人はそう言うと、自分達のバックパックを背負って歩き出した。
涼介と綾華の後を追うようにアリアとアレクシスも来た道を戻っていく。
そうして一番最初の部屋まで戻ると、涼介と綾華はバックパックを降ろしてから部屋に残る死体を引き摺って外へと出した。
血の跡と死臭を残しながらも部屋の中を片付ければ、涼介は皆に休息を取る様に告げてから床に座った。
アレクシスが横たわって浮いて眠ると、涼介と綾華が「浮いた状態で寝る奴初めて見たわ」そう呆れるのを他所にアリアも床に座って休んだ。
アリアとアレクシスが休んでいると、涼介と綾華は2人を他所に銃器の手入れをしていく。
10分も掛からずに分解と清掃。
そして、組立と動作確認を完了させた2人はコンバットブーツと靴下を含めた装具を脱ぐと、アリアとアレクシスと同様に休息を取るのであった。
プランBになるって期待してた人には悪いとは欠片も思ってないが、改めてド地味なのは認める