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M・C・O 植物好きの道草集め  作者: 焦げたきなこ
第2章 生まれたての妖精
95/132

87話 不動と熱

アクセ〇シンクロとかはしません。

 ファイヤーボールを弾き返してきたエルダートレントではあるが、その後は特に動きを見せることはなくじっとこちらの方を見ている…気がする。顔がないから分からん!

「襲ってはこないのは安全だけど、なんか不気味だわー」

「基本的にトレントは待ち伏せして狩りをするのが主体のモンスターだからね!積極性がないんだろうさ!」

「それと魔力で相手を認識する生態のために、私たちの魔力量で危険を感じているのか仕掛けてこないのでしょうね」

「実際山崩れのことを気にしなければすぐに木屑に出来るもの~」

 木屑って…そんなレベルの魔法が使えるのか。恐ろしい人達だよ!


「にしてもファイヤーボールが弾かれるとなると、次のバレットも意味がなさそうだ…」

『うー…』

 マズい、折角少しやる気を見せてくれてたのにテンションが下がっちまう――そうだ!


「レベル5で覚えた魔法ならどうにかなるんじゃ…エディーファイヤ?」

 なんじゃそら。エディーってどんな意味だったっけ…電子マネーにそんなのがあった気がする。

「指定した場所に火の渦が発生する魔法ね~」

 渦…eddy(エディー)って単語があったかな?英語の授業で出てきたような出てこなかったような…たぶん俺が覚えてるってことは習いはしたんだろう。ただ運営よ、ファイヤートルネードとかで良かったんじゃないのか?若干覚えにくいぞ。


「指定した場所に打てるなら今の状況に最適じゃない?」

『ん?ん~ぅ』

「確かに足止めみたいな魔法で継続でのダメージだからすぐに逃げられてそこまで強くはないけれども、本当に今の状況なら役に立つのよー」

『むぅ?』

 まだ懐疑的なのか俺に向かって本当に?って顔を傾げてくる。


「いや俺に言われても…まだ使ってすらいないんだし」

『あぅ』

 そりゃ確かにと頷かれる。

「でも話を聞く限りだと一番使えそうな魔法だと思うぞ…エルダートレントのことを考えてみればわかるな」

『ぬ…やー!』

 一瞬考える動きをしたが、すぐにわからんと首を振った…おい、知力60越えはどこにいったんだ。


「んじゃ簡単なヒントでも出そうかね?あいつをちゃんと見てみな!」

『…き!』

 お、何気に意味のある感じの単語を初めて聞いた気がする。これが知力アップの恩恵…じゃないよな流石に。

「ええ、木ですね。ではその特徴は何でしょうか?」

『……!』

 何か思いついたのかその場でピシィ!っと気を付けを1度やり

『ん!』

 これ!と自分自身を指さした。


「多分正解かな?」

「ええ、大正解ね。エルダーって名前がついてるから強いことは強いのだけど、その部分でどうにかできそうなのよ~」

「基本はトレントだからねぇ――あいつはその場から動けないのさ!」

 考えてみれば当たり前のことなんだけど、木がモンスターになったわけだから根っこが地面の下にあるんだよ。それが土と合わさってガッチリと自身を支えてるんだから動けるわけがない。


「一先ず魔法での手段は決まりましたな…今までの行動と鑑定で動くことが無いと分かっているのが何よりですよ」

 あ、動く奴いるのね…




 そんな会話をしつつ他にも追撃を与えて再生能力を上回る必要がないといけないので全員のスキルを確認し始めたが

 ジジュー…シュー…シュッジィー


「ずっとエルダートレントから音がするんですけど…」

 割とうるさいし何なんだ?ガサガサとこちらの出方をうかがうような動きの音もしてるけど、それ以上に死にかけのアブラゼミみたいな音の方が倍以上聞こえてくる。

「うん?音の出どころならアレをよく見ればわかるよ」

「根の方からゆっくりと見ると分かりやすいかもしれませんな」

 そう言われたのでジーっと観察してみると、樹皮の表面からジュっと液体が漏れてくるのが見えた…他の位置でも音を鳴らしながら出てきている…んで上の方で少し白いモヤになって消えていった。あとついでにキュウリっぽい香りもするな。


「もしかして樹液?樹皮がはがれたときも蒸気で吹き飛ばしてたし、なんでそんなに水分が…あ」

「何か気づいたの?フェルちゃんもやる気を出したみたいだし早い所倒して村に帰ろうよー。トレントの葉が緑で景色が赤いから余計に落ち着かないー」

「それですそれ」

「それ?トレントが緑ってのが何かあるの?」

「そっちじゃなくて景色の方よ~」

「景色…赤くて目に悪いってのはあるけど、ウィーツさんのお蔭でそれは少しマシになったし。あーもう!こんなに時間かけてたら耐性薬の効果が切れちゃう…あ!そういうことね!」

「ええ、薬のお蔭ですっかり忘れてましたけどここって山火事みたいな状況なんでめっちゃ熱いんですよ。そんなに熱いなら普通水分なんか蒸発しますよね――これは更にフェルの重要度が上がったぞ!」

 グルんと顔を向けるが、そこには何故そうなるの?と首を傾げるばかりの樹妖精。


「喜べフェル。上手くいったらお前の欲しいものを用意してやるぞ?」

『!?んーぁ!』

 欲しい物が手に入ると聞いて、興奮したように何かの蓋を外して飲むような動作をし始めた…耐性薬でも欲しいのか?


「私の店で聞いたすごく辛い飲み物の改良された物が欲しいそうよ?多分夫が作った濃縮薬のことね~」

 ……チェンジできんか?

割とトラウマになってるあの薬。


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