80話 検証中止と武器の謎
戦闘描写…は今回なし!
そんなやる気十分で戦闘確認をしていったが、途中であることに気が付き中止となった。
――それは。
「動かない敵に試しても分からん!」
当たり前のことである。
「いやー少しギチギチと動きはするけど、ほぼ的に撃ってるのと同じだった!」
「それにフェルちゃんの魔法って植物と火だもの。元々が植物で燃えてるチャコールトレントに使っても、ダメージがねー」
『んぅ!』
ご本人は宿敵に魔法を撃ててご満悦な様子。まぁ、スキル確認はできたから良しとするか。
「ただバンバンと魔法を撃ってくれたお蔭で、色々と消費MPもわかったのがありがたい」
といっても皆初級だから消費は1だったけど。
「フェルちゃんが飛んでないって条件はあるけど、魔法使い達からすれば垂涎の自然回復スキルを持ってるのは良いわよね!」
スキルレベル1の状態だと5秒で10回復し戦闘中でも効果を発揮するという、かなり便利なスキルだった。というか事前にスキル内容を見ておくべきだな!鑑定をもっと使わねば。
「その飛んでないって条件が厳しいんですよね…たぶん飛んで相手を翻弄しながらダメージを与えるのが戦法になりそうですし」
火魔法は最初の着火で使うだけっぽいけど、油生成とミクスで1秒に2ぐらいのペースでMPが消費されるからカツカツなんだ…結局戦闘時に魔法を使い続けるのは無理ってことだな!消費しきったら地面に落ちちまうし、その隙を狙って敵が攻撃してくれば頑強1のフェルは耐えきれん。
「レベルが上がるのを待つしかないか!」
「油生成の方も可燃性の高いのだけしか出せないみたいだし、ファイトよフェルちゃん!」
『む~』
そっちもチャコールトレントには意味が無かったというか、触れたら燃えるんで核のある所まで届かなかった…量が増えたりすれば解決しそうだ。まぁ俺としてはオリーブオイルとかを出してくれたら嬉しい。綿実油とかも出してくれたら最高だ…どちらかというと育てるための種が欲しいけどな!
「魔力吸収は割と有用そうだったけど…使い方が難しそうだ」
使ってほしいと頼んだらトレントに手を付けだしたから、よく確認してみたらトレントのMPを吸って自分のMPを回復させたらしく残量が増えてた。種の時は土地から吸ってたのに弱体化したような…いやあのままだったら強すぎるか。芽吹き前のエネルギー吸収が凄いってことにしとこう!
「魔力のある魔石を持たせておいてMP回復に使うとか?」
「ああ、そういう方法でも回復できるんですね」
こりゃ本当に小型のマジックバッグとか持たせておくべきだなぁ…あと魔石も集めないと。今は奴らから取った大量の空の小魔石しかないからな!
「あのままだと倒せそうになかったし、若干可哀そうだったから俺が倒したけど…首狩りは結構強そうなのが分かったのは良かったです」
「あれは首狩りというより砕いてた気がするけど…」
呆れたような顔をされてるが、大鎌の方だと幹の半ばで止まりそうな気がして十字鍬を装備して首狩りをやってみたら、普通に発動出来ちゃって鍬の頭部が青白く光りだしたんだ。多分刃物なら発動するんだろうと思ってそのままトレント戦へ…と言っても戦闘で使ったのはつるの方だけどな!
「クリティカルだと更にダメージが3割上がるってことなんで、試しに魔力視で核を探したら見つけてしまったのが原因ですよ」
「その後、いよっしゃ炭ゲットだ!とか言って思い切りぶっ叩いてた気がするんだけどー?」
「…行けそうだと思ったので全力でやりました!」
後悔はせんぞ!砕けた木片で少し燃えたから反省はします。
『う…ん!』
「……その砕け方でフェルちゃんがスッキリしたならいっか♪」
納得できたんでヨシ!
無事?戦闘の確認が出来たのでフォルクさん達の方へ合流すると、もうだいぶ伐採が進んでいた。
「戻りました!」
「ただいまー」
『あぅ!』
「おかえりなさい。確認はどうでしたかな?」
「ほぼ的当てだったのでスキルのことしかわかりませんでした!」
昨日の夕飯の時からチャコールトレントなら良い確認になる!と思ったんだけどなぁ…動かないし火・熱耐性があるから本当に的としては最適だった。
ついでにトレントは回復するってのを山に入る時に聞いたけど、彼らは核の魔石以外は回復しようにもすぐに木炭化しちゃうから回復する細胞がない…更にその核の魔石を砕いて倒したからドロップが木炭だけだったぜ!BBQが捗るな!
「あらぁ、それなら今度兎とかで確認しなくちゃいけないのね~」
「その時はぜひ連れてってね!」
「ええまぁ」
多分宴会後になるからピリンさんとの共闘は難しい気がする。終わった後は第1エリア目指して移動だからなー。
「おおーい、お前さんにパネットやい!炭はこれぐらいで十分かい?」
タイミング良くウィーツさんがそう声をかけてきた。フェルを代弁するわけじゃないけど本当にスッキリしたな…物理的に。
「私が利用するぐらいならもう十分ね。村長さんはどうかしら~?」
「宴会の燃料的にはもう少し欲しいところだが、それは燃焼枝を集めるついでに貯まるだろうから切り替えてもいい頃かもしれんな。それと今はフォルクで構わんよ」
「あらそう?なら遠慮なくフォルクちゃんって呼ばせてもらうわ~」
「ちゃんはやめて欲しいが」
「昔からの呼び方ってなかなか抜けないのよ~」
まさかのフォルクさんをちゃん呼びか。昔からの呼び方ってことは旅団時代、いや下手すりゃそれ以前からかもしれん…弄ばれてるような雰囲気から年上なのか?――年齢が気にな、殺気!……昔からの仲ナンダナー。
「全く…ウィーツ!斧を振り回すのはそれぐらいで良い!」
「あいよ!こっからは枝集めに移るとするかね!」
そう言って戦斧を閉まったかと思うと、次に取り出されたのは…刃先が直角になってるデカい刃物。
『おー!』
「…腰鉈で合ってますか?」
「ええ、そのような名だとプロングが言っておりましたな。と言ってもウィーツの体と筋力に合わせて作られた特注品ですがね」
「お父さんが遠い国から来た人の依頼で作ったことがあるから、それを大型化して作ったものらしいよ!」
「久しぶりに見たけど、もう大剣と遜色ないわよね~」
確かに。剣鉈ってのもあるからそっちだったら見分けがほぼつかん…だとしても、ウィーツさんのは柄頭の方が膨らんでるから何となく分かるか?いやでも、ククリナイフとかも似たような感じだよな。
「でも、あれって武器的には剣の分類じゃないの!」
「え、そうなんですか?」
『ん?』
「かわいい…おほん!ええーっと、お父さんがこういうのは気にしだしたら止まらないから気にすんなって言ってたわ」
ああ…そこに疑問を持つと武器って何だと考えだすからじゃないかな。なんせ旅行鞄やファイヤースターターが武器として出せたって話だし。まだ鞄なら殴れば痛いだろうけど、何でファイヤースターターなんか選んだんだあの掲示板のプレイヤーは…火付け以前に身を守れ!
「因みにどの分類何です?」
「鎌ですな」
流石におかしくないか?
近いうちに戦闘はあるのでお待ちください…そして1週間程お休みをいただきます!
元々不定期更新予定だったので、今まで続いていた事に自分自身で驚いております。恐らく来週の火曜から更新を再開致します…もしかしたらその間に何か上がるかもしれません。
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