79話 伐採と戦闘確認
やっとこさのスキル確認。
ウィーツさんの伐採風景を眺めていたが、流石にずっとこのままでいるのもどうかと思ったのでフェルのスキルや戦闘方法を確認することにした。
『う~』
ただまぁ、フェルはウィーツさんの方を指さして不満げな声を上げたが。
「もう少し眺めてたいってか?」
「というより自分が戦う意味はあるのかって感じね」
「まだ眺めていたいって気持ちもあるみたいよ~」
「面白いぐらいに減っていきますからな」
それは確かに。話してる間にも1本、また1本と薙ぎなおされていくもの。若干ここら辺の温度が下がった気がするぐらいには減ってるから機械なんかいらんな!というか伐採用の機械を運んできても熱で壊れるか!
「自分で戦って倒した方がすっきりすると思うぞー」
『むぅ』
「それに1度戦い方を見せてもらった方が、連携だったりで役に立つからな」
『!…ん』
「頑張るそうよ!」
「では、ウィーツから反対側のあちらで戦ってみてはどうでしょう?」
「近くだと木片とかが飛んできそうだものね~」
実際それなりに大きい欠片が飛んでるのは見えたから、離れた場所でやるのは大賛成だ!俺やフォルクさん達は大丈夫でも、フェルは当たったら致命傷だろう…レベルアップで頑強が上がるのを祈るしかない。
「そこは気を付けてやっていくか」
『ん』
「私はここで待ってるわね~」
「では私もここに居ましょう、ウィーツの伐採を見ておく者も必要ですからな」
「了解です…ピリンさんはどうす「一緒に行く!」…じゃあこちらへ。よし!そんじゃあのトレントに挑戦だ!」
『あう!』
「何か助けが必要な時は、呼んで下されば直ちに向かいますので」
「もしピリンが暴走しそうだったら即座に呼んで頂戴ね~」
「そんなことしないよ!」
「あら、ならその腕は何かしら~?」
確認すると、両手がワキワキと…その動きを確認したフェルがゆっくりと遠くに離れている。
「こ、これはその…戦闘前の気合い入れってやつよ!」
「流石に言い逃れ出来ないと思います」
『や!』
フォルクさん達が待機してる場所から離れ、まばらに点在したチャコールトレントの前までやって来た。まぁさっきの場所からそこまで離れてないし、トレントが反撃してくるとかの不測の事態があったとしてもすぐに助けを呼べるはずだ…あと伏兵での助けも。
「さて、動くことはないとは思うけど武器は出しておくか」
「おっきな鎌ねー。それで草だけじゃなくて敵も狩ってるの?」
「ええ、少し前にゴブリンの恐怖って称号と首狩りってアーツを獲得したぐらいには」
「物凄く物騒!?」
何でや!あの腐れ外道どもはどこにでもいて数も多いってんだからこの称号を持ってる人は割と居るだろ!…居るよな?
「ま、まぁ俺の事はいいじゃないですか。今はフェルの戦闘確認です!」
「あまり流したくは無いんだけど…フェルちゃん、この人がマスターで本当にいいの?」
『んぅ!』
ピリンさんへの返答を勿論だと頷いてくれたことに安堵する…あ、そういや。
「ゴブリンの恐怖って精霊や妖精からの好感度が良くなるっぽいです」
「なんですって!?」
「といっても今は村の一帯にゴブリンはいないんですけどねー」
「戻ってきたら殲滅よ!」
よし!これで少なくとも1人は仲間が出来るな!
「んじゃおふざけは本当にここまでにしてと」
「私は本気でゴブリンを殲滅したいわよ?元々あいつらは好きじゃないし」
ピリンさんシャラップ。何も進まなくなっちゃうでしょうに…話した俺が悪いんだけどさ。
「ほら、フェルがやる気ですから」
「全力で応援しちゃうわよ!」
制御しやすくて助かる。
「よし!早速確認していくぞ」
『んむ!』
「まずは…植物魔法からやってみてくれ」
『あぅ…やー!』
片手をチャコールトレントの方へ向け、魔法を発動させたのか地面からポコポコと植物の芽が生えだした。
「おお!」
「そのポーズも良いわ!やっちゃって!」
『ん~!』
そしてその芽が蔦状になったかと思うとトレントを引っ叩き始めた。うんうん、割とよく見る植物魔法って感じだな…ただ。
「…効いてるのか?」
「えーっと…多分初級魔法のクロールヴァインだから、そこまでダメージは入ってないかも?」
『んむぅ』
「いやまぁ、最初の魔法はこういうもんだろ」
初期の魔法がめっちゃ強いってこともあるけど、流石にあの細いツタが強いってことはないだろう。
「――あ、そうだ!あれって縛ったりもできるか?」
『?…や!』
何でその必要があるのかと思ったみたいだけど、すぐに蔦を操作して幹を縛ってくれた。パキパキと音が鳴ってるからそれなりにダメージは入ってるっぽい。
「よしよし、これなら相手を縛ることもできるしダメージも与えられるな…因みにすぐに生やして縛ることも可能か?」
『んー…ん!』
「消費する魔力が増えるけど可能だそうよ」
いいねぇ。火力は少ないだろうけど足止めが出来る魔法ってのは便利だからな…外道狩りの時に欲しかったぜ!あいつら途中から俺を見るなり逃げるんだもの。
「それにしてもよく蔦が燃えないな…フェル自身の耐性が関係してそうだ」
「あ、確かに!普通の蔦だったら触れたら焦げたり燃えたりするわよね…フェルちゃん優秀!」
『んむ!』
むふーっと腰に手を当てて偉ぶるフェルに、さらにおだてる様に周囲に光の玉を出現させ光を当てるピリンさん…凄いことなんだけど、そこまでする必要はない気がする。
「ほれ、調子に乗ってないで他のも確認するぞ…ちゃんとやってくれるんなら宴会の時にまた何か作ってやるぞ」
『!…やぁ!』
「やる気十分ね!私も応援頑張っちゃうわよ!」
もうそれ以上の光源は準備しないでください。
翻訳兼照明係のピリン。
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