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M・C・O 植物好きの道草集め  作者: 焦げたきなこ
第2章 生まれたての妖精
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78話 改良と仲間意識

とある問題の解決。

 ――ザザッ!


「ちょっと待ったぁ!」

「良かったらこっちを使って頂戴な~」

 揺れるのを落ち着かせフェルとフォルクさん達に耐性薬を渡そうとしたところ、急に前に回り込んできたピリンさんといつの間にか横にいて瓶を渡してくるパネットさん。なんだろう、若干の押し売り臭を感じる…


「こっちと言われても…俺の持ってるヤツと見た目がそこまで変わらないような?」

 いや、少し色が薄いというかピンク色に近いか?

「確かに外見はあまり変わらないわ…けど!」

「こっちの耐性薬は今回のために夫が改良したものなのよ~」

「改良?」

「そう!さらに良い錬金方法を思いついたから早速作ったらしいの…さっき高品質の話をしてたから鑑定を持ってるでしょ?試しに見てみて!」

「なら遠慮なく――これは!?」

 思わず鑑定結果に驚いてしまったが、それも仕方がない文言が書かれてるんだ…それがこちら!


【熱耐性薬・品質8:4時間半の間、1700度までの熱に耐えることができる。飲用可:後味がピリッと来るが、それ以外は美味しいベリーミックスジュースのような味わい】


 確かに品質が更に上がり効果時間と耐熱温度が上がってるが重要なのはそこじゃない。飲用可の部分を見て欲しい…美味しいジュースって書かれてるじゃないか!あの謎の唐辛子のような辛味も弱まってるそうだし改良どころじゃないぞ!?

「こ、これ美味しいって書かれてますけど…」

「おや!珍しいこともあるもんだね。あのプロングがきちんと旨いものを作るなんて」

 ライフポーションなんか正にだからな。と言ってもちゃんと理由があってうまくないものを作ってるとのことだったけど…


「また山に入るってことになったから、あの話の後皿洗いをしながら考えて本格的に弄ったそうなの。その時に流石に村の恩人に美味しくないものを渡すのはどうなんだって思ったらしくて、幾つかのパターンを作って一番味の良い物を渡されてきたわ~」

「成程。あの時余り物を渡してこなかったのはそういう理由でしたか」

「あたしらは運よくその恩恵に受けられるわけだね!」

「今持ってるのって何とも言えない味がするそうじゃない?ついでに交換して来いって言われたんだけど…どうする?」

「ありがたく交換させていただきます!」

 誰だ押売りだとか言ったやつは!そいつには濃縮耐性薬の刑だ!


「あ、でも辛味が組み合わせによって弱まってるみたいなんでフェルが気に入るかどうか」

「そう?この様子を見ると大丈夫だと思うのだけど~」

「へ?」

 ――いつの間にか蝉が羽化しており、なんなら新しい耐性薬を手に取って頬ずりしてる…うんまぁ、味はいい方が嬉しいよな!


「ただフェルよ」

『?』

「後ろをよく見るんだ」

『…!?』

 ハァ・・・ハァッ

 そんな動きをしてたら、ジャンキーが再起動するにきまってるじゃないか。




 ウィーツさんとパネットさんのダブルパンチにより再起動前に強制シャットダウンされ戻ってきたピリンさんを含め、本当に美味しい耐性薬を全員で飲みフェニス山に進入したが――正直俺はほぼやることがない事に気が付いた。

 いや確かに燃焼枝や木炭は欲しいしフェルの戦闘方法の確認も大事なんだけど、2人しかいないからそこまでの量はいらないし戦闘の確認も動かないチャコールトレントに魔法を使った一撃を食らわせるのを見るだけになると思うんだ。それになにより

「いよっと!」

 バギンッ!


 ウィーツさんが居るから本当に伐採作業になってるんだ。因みに俺たちは暇なんで雑談をしてる…本当は伐採に参加すべきなんだけど、まずは素材だけを集めるからって事で無双が発生したんだ。

「いやぁ、凄まじいスピードで倒されていきますね」

「元々ウィーツの筋力が高いというのもありますが、元々が木のモンスターですからな。戦斧とは言え斧ですから一番ダメージが出るのですよ」

「ああ成程。ちゃんと武器相性で太い幹も一撃って事なんですか」

「それ自体はウィーツちゃんの力だけで解決してると思うわ~」

「えぇ…」

 そんな話をしている間にも爆速でチャコールトレントが減ってゆく。ギチギチとトレントが軋む音が響きだしたけど、怯えてるってことはないよな?


『おー!』

「フェルちゃんったら目を輝かせちゃって…!あれ?植物系のモンスターが倒されちゃってるのに喜んでいいの?」

『んむ?』

「いやだって、同じお山で育ってきた子達じゃないの?」

『む…だ!』

「ここのトレント達は悪意しか持ってないから別に構わないそうよ。それに植物たちと言われても違う植物だから食うか食われるかって関係らしいわ~」

「意外とシビア!」

 実際どこでも弱肉強食だからな。1つの植物が根付いたことによってその周辺の植生が塗り替わって他の植物が枯れたりして無くなるってことは割とあるし…有名なのだと葛やチガヤにセイタカアワダチソウ、水辺だとナガエツルノゲイトウってのもあるな!本当に少し油断すると爆発的に増えるから注意だ!


『や!』

「それと最初の頃は折角集めた魔力をトレント達に吸われて全く来なかったらしくて、ここまできれいに伐採されるとスッキリするそうよ~」

 ああ、うん…そこはどうにも言えんが、スッキリするのなら存分に発散してくださいな。

再起動中の強制シャットダウンは極力やめようね!致し方がない時もあるけど、最悪データどころか全てが飛ぶ!


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