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M・C・O 植物好きの道草集め  作者: 焦げたきなこ
第2章 1人きりの妖精
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77話 誘いと準備

フェル拘束中。

 いまだにフェルがピリンさんによって拘束されてる状況ではあるが、放っておいてパネットさんの話を聞くことにした。

「それで、なんでしたっけ?」

「アレを放っておいても良いのかい?」

「まぁじゃれ合ってる感じもするのでいいかなと」

 本気で嫌がってる感じもしないんだよな。さっき袖を引っ張ってきた時も後ろで少し笑ってたし、揶揄うぐらいには慣れてきたんだろう…あのレベルの密着は嫌だろうけど。


「確かにそこまで嫌がってる感情は来ないわね。なら続きなのだけど…宴会の料理を手伝ってくれないかしら~?」

「え、料理ですか」

 高品質以外の摘んだバーンベリーも欲しいのかと思ってたけど、予想外の話がやってきたぞ。

「そう!あのおやきっていうのを作ったのは貴方なのよね~?」

「はい。と言っても塩やハーブを加えて炒めたり、砂糖を加えて煮詰めたのを包んだだけですけど」

「それだけでも十分よ!人によっては少しでも目を離すと物凄い物が出来ることがあるんだから~」

 ああうん…それに関しては間違いないね。クリームシチューが何故か紫になっていたりするよな、わかるわかる。


「これパネット。宴会の主賓に働かせるとは何事だ」

「でも村の人たち皆を満足させる料理なんて手が足りないわよ?料理が出来る人に手伝いを要請しても、宴会だから羽目を外すでしょうし」

「ぬ、それは確かに…人によってはかなり食べるだろう」

「もう何人か予想できるね!あたしもそうだけどさ!」

 唐突にボディビル大会を始めるし祭り事とか間違いなく大好きだよな…んで恐らくだけど、満腹度って100が最大じゃなさそうだ。なんせウィーツさんは少しと言ってたけど、朝飯を食べた後におやきを7個食ってるからな!満腹度回復が15ってことを考えると7×15で105も回復するからオーバーなんだよ。


「それにフェルちゃんの事を考えると、やっておいて損はないと思うのよ~」

「宴会での料理がですか?」

「ええ、多分なんだけど…料理スキルって取得できないでしょ?」

「あー…確かに取得欄にはなかったですね」

 山の話をするときに魔力視の話をする必要があったから、軽く異転人(プレイヤー)のスキル取得方法を教えたんだけど覚えてたのか。


「やっぱりそうなのね。耐性とかのスキルが取得出来ないって聞いていたから、もしかしてって思ったのよ~」

「料理スキルは私たちの中では耐性スキルと同じように、数をこなすことでレベルの上昇に関係なく獲得できるスキルですからな」

「といっても10人に自分の作った料理を食べてもらうってのが条件らしいけどね!」

「ほうほう…でもなんで料理スキルがフェルと関係してるんですか?」

 多分筋力や俊敏とかを上昇できる料理が作れるようになると思うんだけど、別にそこまでフェルへ意味があるスキルだとは言えない気がする…いや筋力があればあの抱き付きから逃げることが可能になるか?


「実は料理スキルって主食…パンとかパスタとかになるんだけど、お腹の減り方を減少させるって効果が追加されるのよ~」

「なんですと!」

 それがあれば減りやすい満腹度をどうにか出来るじゃないか!あれ、それだと今日のフェルの満腹度の減り方って少しおかしい様な…そういやカチャトーラとクルスキは食べてたけどパン食ってなかったな!


「確かにそれがありましたか」

「正しく今必要なものだね」

「村の皆が集まるんだからスキルの獲得なんか簡単に出来ちゃうと思うのよ~」

「いいですね!多分今後もフェルのおやつとかは作るんで渡りに船ですよ!」

「なら明日以降に豊沃の恵みで手伝いをお願いできるかしら~?」

「もちろんですとも!」

「モルト殿が良いのであれば構いませんか…主賓が料理を提供することも無くはないですし」

 フォルクさんも納得してくれたし、これで問題なし!


「ただ明日は寝てしまってると思うので、もし起きてるとしたら明後日なんですが…それでもいいですか?」

「あら、異転人って本当に長時間睡眠したりするのね。といっても余裕はあるから大丈夫よ~…でも」

「でも?」

「良かったら高品質のバーンベリー以外も分けて貰えないかしら?そっちは余裕があるか心配なのよ~」

 あ、そっちの話もちゃんとあるのね。




 バーンベリーについては十分な量を渡すことが出来たようで、パネットさんはホクホクした顔でピリンさんからフェルを引きはがすのを手伝ってくれた…正直自分が引くぐらい摘めてるんだ。

 やっぱり採取量アップの恩恵がヤバいな!何なら高品質の方も少し増えてたんで更に分けられる量が有ると伝えたら、パネットさんの笑みが増してた。ついでに引きはがす力も倍増してた。


「むー!あと少しぐらいい――」

「何か言ったかしら?」

「何も言ってないです!」

「そう?ならチャコールトレントの伐採に移りましょうか~」

「イエス!マム!」

 軍隊かな?後良かったら、その統率力で背中の蝉を剝がしてもらえると非常に助かる。放っておかれたのが嫌だったのか背中を抓ってくるんだよ…


「んじゃあたしたちも準備をしようかね?」

「ふむ、と言ってもトレントに関しては何も問題はないだろう。寧ろ部位破壊でのドロップをさせなければね…宴会での野外調理の際に役に立つぞ」

「間違いないですね!あの燃焼枝があれば薪とかに火が移るのもすぐですよ!」

 それにチャコールってんだからドロップは木炭とかなはず…雑貨屋裏の畑から収穫された野菜達が、炭火の遠赤外線によって中までホクホクと熱くなり更に香りが移るのを想像するだけでも涎がもう止まらんよ!勿論肉も最高だろう!


「では熱耐性薬を…そう言えばプロングから受け取っておらんな」

「確かに!あいつの事だから予備に作ったのを食事処で渡してきてもいいってのに。パネットに家で渡すって言ってたからそこで抜けたのかもね!」

「あ、じゃあまだ余ったのがあるのでそれを…」

 えーっと、5本残ってるな。1本で3時間は持つし1本ずつ渡せばいいかな?

『ん!』

「お前はこれが無くても大丈夫だろ」

『う~』

「うおっ!わかったわかった…背中で揺れるのをやめい!」

そして欲しいのなら蝉の幼虫から羽化しなさい!

次回再びのフェニス山!誰かの武器が猛威を振るいます。


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