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M・C・O 植物好きの道草集め  作者: 焦げたきなこ
第2章 1人きりの妖精
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74話 おやきと休憩

想像よりおやきの登場までが長くなってしまった…

「おやき?なんか変わった名前だね」

「そのままの意味で焼いたものってことですからね」

「個人的にはラビオリやピロシキと似ている食べ物だと感じましたが」

「ああ、確かに似てはいますね」

 ラビオリはパスタだけど、ピロシキは本当に似てる。違いは生地を発酵させるかさせないかって所だし、本場では揚げよりも焼きの方が多いって話だから割と近い味にはなりそうだ…んで、まずおやきとはなんぞやって感じだし軽く説明をしとくかな。


 おやきってのは長野県の北部が発祥の「あんびん」や「ちゃなこ」とも言われてる郷土料理で、米の代用食として小麦やソバの粉を皮として利用して中に具材を詰めて冬の間に食べられてきたって言われてる物だ。逆に一番北の豪雪地帯では米の栽培に向いてたから、「あんぼ」っていうおやきがあったって話だけどそれはそれ。

 それ饅頭と何が違うんだって話なんだけど、ものすごく簡単に説明すると重曹が使われてるかどうかの違いなんだ…使われてるのが饅頭で使われてないのがおやき。だからおやきは食感的にはむちっとしてるし、腹にたまる感じも強い。

 ついでに今回はフライパンで蓋をしながらの蒸し焼きにしたけど、昔は皮の表面を乾かしてから囲炉裏の中の灰に埋めて蒸し焼きにしてたそうな…一回やってみたくはある。後ほぼ同じ料理で中国発祥の餡餅(シャーピン)ってのもあるぞ。お祭りの屋台とかに偶にあるよなアレ。

 最後に北海道でのおやきは、例の名称がいっぱいある円柱型で中にあんこを詰めたりする焼き和菓子の1名称なんで注意だ!


 そんな話を軽ーくフォルクさん達に話す。最前列に涎を垂らしたフェルが居るのはまだいいんだけど、真剣な顔をしたパネットさんまで居るのは何故だ。そんな珍しい調理法じゃないと思うんだが…というかしまった!本当ならこっそりとフェルにあげる予定だったのに堂々と出してしまったぞ!

「閉じるというよりは包む感じなのね。海の遥か遠くの国で作られているって聞いていた料理に似てる気がするわ」

「まぁ同じ発想の料理はいっぱいあると思います…」


 中国文化や日本文化が有る国ってことだろうか?そうなると大分遠いんじゃないだろうか…ただ料理中に気づいたけど、米はあるが調味料で味噌や醤油がないんだよな。醤油は魚醤を見つければ何とか代用できるけど、味噌はどうしようもない。

 ファティリ村周辺は湿度が高くないし麹菌が見つからんかもしれんし、あったとしても味が違うだろうからその国に行くか輸入された調味料を手に入れるのを小さな目標に入れるとするか…それまでは旨味だったりを香辛料とかで凌ぐぞ!フェルは辛いものが好きだから飽きは来ないだろうと祈る。


「このおやき?だったかしら。中身は何が入っているの?」

「えーっとですね、いくつか種類がありまして」

 今気が付いたけど、パネットさんって真剣になるというか気が高ぶると語尾が伸びなくなるな…集中してるってことなんだろうが若干の圧を感じる。

『ん~ん!』

 ぐいっ!

 すると近くまで迫っていたパネットさんを押しのけフェルがポンっと顔を出してきた。

 ぐぅ~~~


 ついでにその腹の虫も主張を激しくして再登場した。

「おっと、すまんすまん。腹が減ってたんだよな…」

「あ、あら。ごめんなさいね…見たことのない料理だったから気になっちゃって~」

 こういうところを見ると、本当にプロングさんやピリンサンと家族なんだなって感じる。




 流石に立ったまま食べるのと手を洗わずに食べるのは良くないって事で、バーンベリーの茂みから少し離れた場所でレジャーシートらしきものを敷いて座って食べることになった。

「結構頑丈そうな布ですね。しかも色合いも濃い目の藍色で綺麗ですし」

「だろう?スパイダーの上位種から取った糸をブラックスライムとブルースライムのゼリーを混ぜた液体でコーティングしたから耐久と耐水は抜群の一品さ!」

 出たなゲーム的万能素材のスライムゼリー…他のゲームでも錬金の材料やら料理の材料やらで引っ張りだこ過ぎる…料理の場合は天草とか出してもいいと思うんだ。


『んぅ!』

「なんだ、敷いた布よりも早くおやつを出せというか」

『う!』

「なら早く手を洗ってきな!旦那がアクアを出して待ってるよ!」

 その言葉を聞くといそいそと水球を出しているフォルクさんの方へ向かっていく。そしてその後ろをついて行こうとする変質者(ピリンさん)も――あ、パネットさんに捕まった。おやきを食べてみたいって言ってたから遅延するのが嫌なんだろうな…まぁ「うへへ…」とした顔と声を出しながら後ろを歩いていくのは犯罪者でしかないからしっかり怒られてください。


「んじゃ俺も洗ってきますかね」

 同じくフォルクさんの所まで行き、失礼しますと水球の中に手を入れてバーンベリーの果汁や手についた葉の欠片を落としていく。

「そういえばアクアってコップ1杯の水が出るギフトでしたよね?」

「基本はその通りですが範囲拡大等の強化スキルと組み合わせるとこのような事が出来るのですよ」

 そういやプロングさんも連勤に向かう前の畑の時に言ってたな。このゲームってかなりスキルの組み合わせが多いんじゃないだろうか?

「水で言うと魔力視を使った時のレインって魔法もありましたが、それもですか?」

「ええ、あれはこの水球よりも複雑ですがね」

 マジか…農業をする上でめちゃくちゃ欲しいぞアクアと強化スキル…アクアはレベルが10の時に取得すればいいけど、強化スキルはどうやって取得するんだろうか。


『む!』

「あ…また脱線しちゃってたな。考え事は後にして、座っておやきを食べるとするか!」

『ん!』

 気に入ってくれたらいいなー。

中身の紹介は次回に回します!

そしてギフトについて追加要素があったので4話に少し追加しました…といっても単体で火力や水量調整が出来ないという内容です。39話や今話と齟齬が発生したので修正した形になります。


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