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M・C・O 植物好きの道草集め  作者: 焦げたきなこ
第2章 1人きりの妖精
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69話 飛ばない理由と合流

案外シンプルな理由。

 名残惜しそうに皿達を眺めるフェルを横目に朝食の片づけを始め、なんなら今作った物を食べさせようかと思いながらも皿と調理器具たちを洗い終えたモルト。

「でも、ちゃんと満腹度は100までいってるんだよな」

 パーティの項目にはきちんと<満腹度100/100>の表示がされている…ゲップもしてたし満足できてる筈なんだが。いや、結構食べてたとはいえ俺やフォルクさん程量を食べられるってわけじゃないからそこが不満なのか?と言ってもそこはどうしようもないからなぁ…もし食べる量が増えたとしても、ウィーツさんの量は目指さないでほしい。


「よし、こっちは終わりました」

「こちらも同じくです。昨日に引き続き、手伝っていただきありがとうございました」

「いやいや、旨い飯を食べさせて貰ったんですからこれぐらいはしないと!」

 濡れた手をタオルで拭い、リビングに戻る。


『ん!』

 戻ってきたモルトに手を上げ、椅子から降りてトコトコと歩き脚に引っ付くとニパーッと笑う。

「ただいまっと。なんなら飛んできてもいいんだぞ」

 というか村に戻って来てから全く飛んでいる所を見てない気がする。そりゃ確かに人が集まってきたりして俺に引っ付くことが多かったけど、大きく離れるために上空に逃げるとか出来たと思うんだよ。


『んむぅ』

 飛んできていいと言ったのに、声を上げながら先ほどの笑顔と一転してムッとした顔をしてる。室内は危ないだろって感じか?

「村で飛ぶのは難しいだろうね」

「基本的に結界の貼られている場所では、テイムされた者達のスキルは制限されるのですよ」

「え、そうなんですか?」

 ってことはもしかして。


「飛ばないんじゃなくて飛べないのか」

『う』

 コクリと頷く様子を見ると、それで合ってるらしい。

「ギフトや特性であれば問題はないのですが…あの飛び方ではスキルを使用しているようでしたな」

「ですね。火魔法だったりを複合して飛んでるっぽいです」

「なら確定だね。攻撃系のスキルは残念だけど無理なのさ」

「マジか…」

 考えてみりゃ上空に逃げなかった時点で何かしらの理由があるって気づくべきだよなぁ…クエストの疲れや食事処への期待があったとはいえ、悪いこと言っちゃったな。


「この後のおやつの量を増やすからそれで許してくれんか?」

『ん!』

 大きく頷いてキラキラとした目とキラキラとした涎を垂らしながら許してくれた。物で釣った感が凄いけど解決したしヨシ!




 さあ出掛けよう 1切れの(タオル)

 おやつ ハサミ鞄に 詰め込んで~


 そんな下らない替え歌を思い浮かべながら、バーンベリー摘みのための合流場所の食事処に向かうモルト達…ついでに昨日見てもらってたワイバーンの鱗もフォルクさんから受け取って詰め込んだな。あと父さんが残した熱い想いと母さんがくれたまなざしは、家では双方間の専用なんで継がれてはない。何なら残すどころか今も注いでるし。

「早めに出てきちゃいましたけど、大丈夫ですかね?まだ9時にもなってないですけど」

 昼どころか時刻的にはまだ朝だよな。


「問題ないだろうさ」

「ええ、何でしたら今頃肥沃の恵み(食事処)のキッチンで料理をしている可能性が高いですな」

「バーンベリー自体はもうプロングが渡してるから、朝起きてからずっとやってるだろうね…まぁ予定があるから抑えてはいるだろうけどさ!」

「えぇ…」

 血の繋がりはないはずなのに、やることがプロングさんに似てるな…そういうところの馬が合うから結婚したのかね?


『む!』

 ぽすっ

「おおっと」

 肩車の状態で移動していたフェルが突如背中に移る…周囲を見ると村の人が2人程こちらに気づいて挨拶をしてくれていた。

「どうもー…まだ慣れんか」

『ん~』

「少し恥ずかしいぐらいにはなってるから、昨日に比べればいいんじゃないかい?」

「本来は好奇心旺盛な子のようですからな。馴染むのも時間の問題でしょう」

「そうだといいんですけど」

 この村で人に慣れてくれんと、もっと人が多い町とかに行ったときにパニックになる可能性があるからな。


「よし、到着っと」

 その後も何度かフェルがステルスを行いはしたが、村の人からは微笑ましい顔をされたぐらいで済み無事に食事処の前まで着いた。

 コンコン…ガチャ

「待ってたわよ!」

 準備中の看板が下がったドアをノックをして少し待つと、元気なピリンが登場した。朝から元気だなー。


「ピリンさん、おはようございます」

「はいおはよう!村長さん達もおはようございます!」

「ええ、おはようございます」

「ああ、おはようさん!随分と気合が入ってるじゃないか」

 確かに。昨日とは違い頑丈そうな革鎧を装備して、ベルトは非常に見覚えのあるというか今も俺が装備してるポーションベルトに酷似したものを巻いてる。でもリングが1つだけだ…そしてそこには耐性薬か、濃縮じゃないよな?


「採取とチャコールトレントの伐採が終わったら、そのままお肉も取りに行った方が楽かなって思ったの!」

「ああ、効率的ではありますね」

「といっても装備はすぐに変えられるし、今から着ておく必要はないだろう?」

「狩り用の装備にしておくことで気合が入るし、冷静にもなれるかなって」

「冷静ってどういう」『む~?』

 見覚えはあるけどちょっと記憶と違う服装をしているのを疑問に思ったのか、肩車状態で両手を話して両手を組み首を傾げるフェル。落ちるからやめなさい。


「フェルちゃん!今日もかわいい!」

『ぴ!?』

 ああ…冷静ってそういうこと。

 瞬時に背中で蝉化したフェルと、怯えて隠れられたのがショックなのか両手を店の床につけ四つん這いになるピリンさん――しょっぱなからカオスだ。


「こりゃ前途多難ってやつかね?」

「正確には始まってすらいないがね」

 もうパネットさんに場所だけ教えて帰ろうかなと、ミスったー!と声を上げるピリンさんを見つめながら思った。

イメージ的には野良の子猫とそれに寄って行く子供です。


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