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M・C・O 植物好きの道草集め  作者: 焦げたきなこ
第2章 生まれたての妖精
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67話 藻掻きと満腹度

再び登場小山の物たち。

 何とも言えない気持ちになりながらも部屋に戻り、植物たちの観察をして気持ちをリフレッシュさせると再びMCOにログインを開始させた。

<ベッドの上でログアウトしたため、ステータスが6時間の間1割上昇します>


「…そういやこんな効果あったな」

 色々とゴタついてたからすっかり忘れてたわ。えーっと、今日は3回目のログインになるわけだけどこの世界的には1・2回目は昨日ってことだよな…そうなるとリアル1日じゃなくてこっちの世界での1日でステアップが出来るわけか。詳しいことは分からんけどな!


「結構有用な効果だけど、逆に不眠だとステがダウンしそうな気もするぞ…いや、その場合寝過ぎだから警告みたいなもんか」

 長時間のゲームのやりすぎは体に良くないからな!特にこういう寝ながらのゲームだと床ずれの可能性も出てくるそうだから要注意だ…


 もぞもぞ

「ん?」

 掛け布団の下側が蠢いてるな…なんかだんだん激しくなってるような。遊んでるのか?

『む~!?』

「いや、寝起きから遊んでたんじゃなくて出られなくなってたのか…ほら暴れるなって!」

 掛け布団をバサッと上げると、シーツに包まれて身動きが出来なくなっているフェルが見えた。そんなになるのなら飛べばよかったんじゃ…いやそれじゃベッド全てが燃えるか。


『ん~』

 無事ベッド迷路から脱出でき、若干眠そうに挨拶をしてきた…髪はボッサボサだし涎の跡もあるなー。にしても昨日は横で寝てたはずなのにめっちゃ移動してるし、寝相が良くないのか。

「おうおはよう。取り合えずその乱れた髪を整えたらベッドシーツとかを引っ張り出すぞー」

 なんなら洗濯とかもした方がいいのかな…ほれまた丸まって寝るんじゃない!

 シーツを引っ張り、ベッドの上にコロコロとフェルを放り出す。


『あーぅ!』

 丸まった体勢から起き上がると、今度こそ手を揚げて元気に挨拶をしてきた。

「よし、ちゃんと目が覚めたな」

『んーん!』

 もう片方の手も挙げて、キラキラして目でこちらを見上げてくる…もしかして。

「もう一度やれってか?」

『ん!』

 仕方がない…慌ただしく起こしちまったし、あと一回ぐらいはやってやるか。




 結局1回ではなく何回かやる羽目になったぜ…あの期待された眼は逃れられんよ。だけど結構意外な理由でシーツ転がしは終了となった――それは

 くぅ~…

『む~』

「まさか空腹の概念があるとはな…」

 いや、昨日の朝や夜の時に結構食べたけど俺は別に満腹になるってのはなかったんだよ…確かにティラミスを食べてる途中にフェルが腹がいっぱいだって動きをしたんだけど、あの時はティラミスに飽きたんじゃないかと思ったんだ。寝落ちの前にペペローニをパリパリしてたからそういうのは無いんじゃないかなーって。


「普通にあったな。なんならウィンドウのパーティー画面に表示されてるわ」

 俺の横には何も書かれたないんだけど、フェルの横に<満腹度15/100>ってあるんだ…というか低すぎんか?昨日たらふく食べたって顔してたじゃないか。あー、でもあの時パリパリしてたから完璧な満腹じゃなかったとかがあり得るな。

「といっても、今持ってるのは生の兎肉にバーンベリー、あとはめっちゃ採取してた野草達なんだが」

 野草だけならめっちゃあるぞ!特にシロツメクサなら山のように!


 取り敢えずシロツメクサとアキノノゲシをそのまま出してみる。一応バーンベリーも手元に出しておくけどな。

『う~』

「まぁ流石にそのまま食うのは嫌か…アキノノゲシはレタスみたいな味で旨いとは思うんだけど」

『や!』

 ブンブン!

 駄々を捏ねるように顔と腕を振るうので、落ち着かせるために持っていたバーンベリーを数粒渡すと嬉しそうに食べ始めた。ベリーは食べるんだよな…ヨーロッパではノゲシもサラダで食べられるはずなんだが。


「さて、満腹度は…1しか増えてないな」

 あれ?数粒渡したのに全然増えてないぞ。もしかしてそのままを渡してもほぼ意味ない?

『む』

「もう食べ終わっちゃったか。でもまた渡しても1じゃどうしようもないな」

 こりゃやってみるしかないか。


 もっとないのかと催促してくるフェルを抱え、足早にリビングへ向かう。今回はノックしなくてもいいか…少しずつこの村にも馴染んできたなぁ。

 ガチャ


「おや、今日も早いね」

「あ、ウィーツさん。おはようございます」

リアルでの夕食を早めにとったから、まだこっちだとまだ6時過ぎで朝なんだよな…それにあの蜂蜜空間に居たくはない。

『ん!』

「はいおはようさん!大分その子も落ち着いてきたようだね」

「みたいですね…おおっと降りるのか」

 抱えた状態から降ろしてみると、トコトコとウィーツさんが居るテーブルに向かいヨジヨジと椅子に上ったかと思うと

『あーぅ』

「ん?これが食べたいのかい?」

 テーブルに置かれているミックスナッツを指さした。


「もう少しで朝飯は出来るよ?今日は旦那が作る日だから野菜多めの物だろうけどね」

「俺としては大歓迎なんですが、フェルはかなり腹が減ってるみたいで…」

「ああ、まだ子供だから満腹も減るのも早いだろうねぇ」

 成長に栄養を使うだろうしなぁ…植物系をテイムできたって喜んでたけど、結構大変だな?それでも畑をやることを考えたらめっちゃ嬉しいことだけどさ。


「ほら、少しだけにしときな」

 そういって小皿にナッツを取り分けフェルの目の前に置くと、若干不満な顔ではあるが黙々と食べ始めた。

『む~…』ポリポリ

「あと少しだろうから待ちな…旦那に追加の皿を頼んでくるかね」

「あ、それなんですけど――俺がキッチンに行くんで少しの間だけフェルをお願いできますかね?」

『ん?』

 留守番と思ったのかきょとんとこちらに顔を向けてきたが、目をウィーツさんの方に動かしたかと思うと頷きまたナッツを食べ始めた…一体何の頷きだったんだ。


「そりゃ構わないけど、何か用でもあるのかい?」

「ええまぁ…ちょっと料理をさせてもらえないかなと」

 こっちでもレッツクッキングだ!

次回またもや料理回ですが、短めの予定。早いところベリー採取に移したいってのが本音です…


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