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M・C・O 植物好きの道草集め  作者: 焦げたきなこ
第2章 1人きりの妖精
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62話 デザートと会計

サイゼにでもティラミス食べに行ってきますかね…

 あの味がまだマシだったことに衝撃を受けながらも、フェルから渡されるクルスキをパリパリと貰う…これこのままでも良いけどパスタとかに合うんだろうなー。

「そういやピリンの奴はどうした。やけに遅いが」

「ティラミスの飾り付けに行ったんでしたっけ」

 確かに随分と時間がかかってるな…おかげで山で起こったことを話し終えたけど。


「村の人はあまりデザートを頼まないから久しぶりの出番な訳だけど、恐らくそれだけが原因じゃないわね~」

「ってなるとこいつに凄いのが来そうだな」

 気の毒そうなのと羨ましそうな表情が混じった顔でフェルを見つめるプロング。凄いのってどういうことだろうか?

「お待たせいたしました!」

 気になって聞こうとしたところ、トレイでティラミスを運んでくるピリンが丁度戻ってきた…見る限りティラミスが盛られた皿が1つ少ない気がするな?


「こちらデザートのティラミスになります」

 コトリと置かれたティラミスの上には生クリームとキュアベリーが交互に円状で並べられており、中央には波打った細い板状のチョコとラズベリーらしき実が飾られミントも添えられている。

「美味しそうですね!しかも飾りつけも綺麗だ」

「ありがとうございます!」

『む…』

「あ!フェルちゃんはもう少し待ってね…今持ってくるから!」

 何故か自分の前にだけティラミスが置かれなかったのを、不満の声を上げてモルトに抗議したのが聞こえたのか即キッチンに戻っていくピリン…そして。


「こっちがフェルちゃんに作った特製ティラミスになります!」

 運んできたのは大量のティラミス…しかも様々なアレンジがされており、同じものは1つもないようだ。

『おー!!』

 予想以上に多くのデザートがやってきたのかフェルは喜びの声を上げてるが、流石に多すぎやしないだろうか?近くで見ると葉の紋様を粉砂糖で作っていたりと芸が細かい…そりゃ時間がかかるわ。


「こんなこったろうと思ったぜ」

「今度妖精に出会えたら自分のデザートを食べてもらうって意気込んでいたものね~」

「にしても物凄い数だね!」

「ただ、この子に食べてもらうことはきちんと考えられているようですね」

 確かに。一応子供向けってことなのか、1つ1つは小さめのサイズで作られてる。


『ん~…やっ!』

 何から食べるか悩んでいたようだが、ピスタチオのムースが乗っている物を最初に選び口に運んだ…俺もそれ食いたいな。

『あ~!』

 その声と共にスプーンを持っていない方の手をぶんぶんしている。目がキラキラしてるから旨かったんだな。

「…良かった!まだまだあるからね!」

 喜んでくれるだろうかと固唾をのんで見守っていたピリンは、ほっと息を吐くと強く抱えていたトレイを下しそう言った。いや、フェルをガン見してるのは最初から変わりはしないんだけどね?


「もし足りなかったら言って!キッチンで飾り付けてまた運んでくるから!」

 まだあるんかい!




 結局フェルは運ばれてきたティラミスの半分も食べずに満腹になり、残りはピリンとパネットを交えた全員で頂いた…何気にプロングさんが一番食べた気がする。辛いのは苦手だけど甘いのは好きなのか?

「ごちそうさまでした!」

『た!』

 手を合わせて言うと、それを真似したのかフェルも同じように合わせてごちそうさまと言ったようだ…こういうところを見てると、従妹の子供たちを見てるみたいだ。


「はい!ありがとうございました!お皿回収しますねー」

「美味しくいただきましたよ。久しぶりの外食というのも良いものです」

「相変わらず旨かったけど、今日のは特に良かったね!」

「あんなに良いものを知っちゃたから、ちょっと張り切ったのよ~」

「ちょっとじゃねぇだろ…」

「何か言ったかしら?」

「さあな?ごっそさん」

 何のことだかと白を切るプロングとそれを笑顔で見つめるパネット。――また燻りが見える気がするけど、多分気のせいだろう…あ、ピリンさんが皿を持って逃げるようにキッチンに戻って行った。


「それで、お会計っていくらですか?」

 俺が頼んだのはラタトゥイユと兎肉のソテーでフェルが兎肉のカチャトーラにペペローニ・クルスキだよな。それにキュアベリージュースとティラミスだから結構な値段しそうだけど、手持ちで足りるよな?3200セル残ってるから大丈夫だと願いたい。

「ここは私が払いますよ」

「いや、2人分になっちゃいますし…」

「畑解決の報酬だと思ってくれればいいさ!まだまだ足りないけどね!」

「えぇ…」

 正直、バーンベリーって珍しい植物が手に入ってフェルっていう初の仲間が出来たこともあるからもう十分なんだけどな。ついでにワイバーンの鱗も手に入ったしこれで良い農具とかできないかな…肥料には使えそうにないし。


「大人しく払わせてやりな。ここで断るとこれ以上になって帰ってくるぞ」

「もしかしたらあのお金のこの村の分が渡されちゃうかもしれないわね~」

「おお、それは良いかもしれ」

「ありがたくここのお支払いをお願いします!」

 若干言葉がおかしくなったけど仕方ないだろ!?あの横穴で回収したお金はものすごい金額なんだぞ。最初からあんな大金持ってどうするん…畑とか買えばいいのか。いやでも、流石に着服金をそのまま貰うのは申し訳なさすぎる…言ってしまえば領地の税金だろ?


「そうですかな?ではここの会計は私が持たせていただきます」

 微笑むような笑顔を見せるフォルクさんを見ると乗せられた気がするけど、多分気のせいだろう…ですよね?

油断すると食べ物を渡してくる親戚の大人の超豪華版。


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