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M・C・O 植物好きの道草集め  作者: 焦げたきなこ
第2章 生まれたての妖精
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61話 共有と薬の味

洞窟での話はさらっと済ませます!

 椅子に隠れてはいるが、カチャトーラを食べたいという気持ちの方が強いのか一度『ん!』と小さい声で気合を入れた後に座りなおして再び食べ始めた…椅子で隠れずに食べるのは偉いぞ!行儀が良くないからな!

「その気合い入れも可愛いわぁ…」

 ただ全てピリンさんに見えてしまってるんだけどな!


「お待たせいたしました~!クルスキになります~」

 そんな中、パネットさんがペペローニ・クルスキを運びに戻ってきた。見た目は完璧に辛い唐辛子だよなー。

「あぁ、ピリンは一度ティラミスを持ってきて頂戴な~」

「えー」

「デザートの飾り付けは任せて欲しいと言っていたのは誰だったかしら~?」

「うっ…はーい」

 痛いところを突かれたのか、後ろ髪を引かれる思いでティラミスの盛り付けに向かったピリン。

「これでフェルちゃんも落ち着いて食べられるでしょ?」

 ナイスですパネットさん!


『ん!』

「良いのよお礼なんて、身内の不始末なんだから~」

「ありゃどうやっても治らねぇんだよな…誰に似たんだか」

「お互い様だと思うわ~」

 お互い様…ということはパネットさんもあぁなる時があるってことか。多分あの背後の猛火状態のことから考えると珍しい食材と予想。

 でも、バーンベリーを受け取った割にプロングさんみたいに集中しまくるってことにはなってないよな…もしかして仕事中だから?フェルにも怖がられてないし、普段は今みたいに優しい人なんだろう。


「後は、村長さんに目配せされたのも理由ね~」

「フォルクさんが?」

 目を向けるとその通りだと頷いた。

「少々重要な話を致しますからな。彼女は噂好きの面もありますので」

「口が滑って余計な広がりを防ぐためってこったな」

「なら私も外していてもいいと思うんだけど~?」

「あんたには宴会の準備でもしてもらおうと思ってね!理由がわかってた方がやる気が出るだろう?」

「それは…そうね。でも宴会?フェニス山の落石と何か関係があるのかしら~?」

 関係しかないんだな、これが…フェル以外の人は夕食を食べ終わったし話すのにもちょうどいいか。

「まず山の休憩所での話になるんですが――」




 山の洞窟での話を終えると――魔力が吸収されなくなるというところではパネットさんが本当に!?と近づいてきた…野菜の質が良くなるからか?――全員が一度水を飲み溜息を吐いた後にフェルを見つめた。

 意外なことにフェルがカチャトーラを完食したしたんだよな…一体その体のどこに入ったんだ。

『?』

 なぜ見つめられているのか分からず首を傾げている。そして手に持っているクルスキが狙われていると感じたのか、一気に口に頬張った!

「カリカリしてる物を一気に頬張るなって…ああほら、口の中で刺さって痛いだろうに」

「それにまだあんだし取りゃしねぇよ」

「何ならまた頼めばいいんだからさ!」

「こう言う所は人も妖精も同じね~」

「ええ、息子を思い出しますね」

 涙目になっているフェルに対して各々微笑ましい者を見る表情になる。


「つっても、まさかそんな大事だったとはな」

「確かに被害者と言えば被害者だし、原因と言えば原因だね」

「ただ責める気にはなれませんな…障害がなければすぐにでも誕生していたのでしょうし、妖精の誕生に使われた魔力は祝福としてより純粋なものとして土地に降り注ぎますから」

 本当なら祝われるべきことなんだな…何かはしてやりたいぞ。


「ただ、フェニス山にそんな場所があったとは驚きですよ…それに木々がトレントだったとは」

「考えてみりゃ普通の木は燃え尽きるさね!」

「あの縦穴の周囲に穴なんて無かったから、この子が落ちてきた時に出口の方の壁は壊れたんでしょうね~」

 確かに。すぐに崩落した場所に行けたけど、それ以前の時は塞がれてなければ上から見ればバレるよな。


「一先ずその着服金等に関しては家に戻り次第見させて頂くとしましょう」

「了解です!このお金持ってるのが若干怖いんですよ」

「一体どんだけがめてやがったんだあの野郎…ああ、言わなくていいからな!他の村の情報なんざ一村人の俺たちが知ることじゃねえ」

「その一村人さんはとんでもないものを渡していたみたいだけど~?」

 もっと言ってやって下さい…効果はあったけど、これからの人生で味わうことがあるかわからない辛味が襲ってきたんだから!


「仕方がねぇだろ?耐熱の効果はバーンベリーの辛みと直結してんだ」

「だとしてももう少し味わいをどうにかするとかは…」

「アレに関しては無理だな。どうやっても濃縮した成分が勝つ」

 そのレベルなのか。どんだけ濃縮されてたんだあの薬。

「そうだとしても、この人の作る薬は美味しくないんだけど~」

「特にライフポーションは凄いさ!」

「確かノーマ草が原因なんでしたっけ」

「おう、ちゃんと覚えているみたいで安心したぜ」

 そりゃ1回飲みましたから…にしてもこの感じからすると。


「もしかしてわざと旨くなくしてるんですか?」

「いや、あん時も言ったが値段的な理由だな…後はノーマ草以外の悪くない味を作って出しておくと、村のやつらが二日酔いの薬としてバンバン飲んじまうんだよ」

「否定が出来ないのが痛いところですよ」

「飲んで騒ぐのが大好きな連中だからね!」

 さっき即席ボディービル大会が開催されてたし物凄く納得がいくな。あの調子で酒の飲み比べとかもしそうだ。


「ただまぁ、一応飲める味にはして売ってんだぜ」

「鑑定にも飲用可って書かれてましたね」

「だろうな。前に違うもんを使って出していたことがあったんだが、村のやつらに懇願されてアレにしたんだ」

「あれはもう飲用できるものじゃなかったわ~」

「あの時のは若干泡が発生していたね!」

「飲んだ者も泡を吹いていましたがね」

 耐性濃縮薬でもまだ飲めはしたぞ…どんな劇薬を錬金したんだこの人は。

実はまだマシだった耐性薬と現初級ライフポーション。


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