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M・C・O 植物好きの道草集め  作者: 焦げたきなこ
第2章 生まれたての妖精
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53話 再会と赤色

子供っぽい動きを考えるのって結構難しい…

 このゲームを始めてから驚きの出来事が多すぎる…もしかして幸運値ってこういうイベントみたいな物を引っ掛ける数値何だろうか?それならば是非とも植物に関するイベントを…いやこれも植物に関係するイベントではあったか。

 ほら、役に立った植物モンスターのチャコールトレントが元気にパキパキいってる…元気か?


「というか、この山に来たこと自体が植物関連のクエストだったわ」

 あまりにも一気に来たから少しだけ抜けてたけど、ファティリ村の魔力草畑の問題を解決するのが主目的だったよ…それが妖精をテイムする事になるとは。

『んぅ?』

「ただ見ただけだから気にしなくていいぞ」

 俺の周りを飛んだりチャコールトレントの枝で休憩やぶら下がったりと、結構アグレッシブなフェル。枝を折るんじゃないぞー。


「にしてもどんな説明をしたもんかな…帳簿や着服金は渡せばいいんだけど、フェルと頂上に居たっぽいワイバーンは説明が難しいぞ」

 というか村に岩が降り注いでたりとかしないだろうな?ウィーツさんとかなら笑いながら粉砕しようなもんだけど、まだあったことのない食事処や教会の人達は無事だろうか。

 ”お~い!”


「うん?」

 道の前方から声が聞こえてきたので、フェルを追っていた目をそちらに向ける…若干背が低くてひげが生えるる人が近づいてきていた。

「あれは…プロングさん?」

『ぷ~?』

「ぷ~じゃなくてプロングさんな。」

 その”ぷ~”は違う黄色い熊を思い浮かべるから危ない…養蜂もしてみたいな。


『…!?』ヒュッ

「あれ、どうしたフェル?」

 プロングさんを認識したのか、驚いた顔をしたと思ったら俺の背中に引っ付いて隠れてしまった…ずっと一人だったし人見知りなのか?でもあんなにアグレッシブに動いてたしなぁ。


 程なくしてプロングがこちらに合流した。頭の赤みは引いたみたいだ…2度目の耐久をする事にならなくて良かった。

「よう!無事だったか!」

「えぇ…ギリッギリでしたけどね」

「その煤けた顔を見れば苦労したのが良くわかるぞ…にしても、噴火っつーか岩が吹き飛んで来るとは思わなかったぜ」

「岩での被害はなかったんですか?」

「幸いな。1つデカいのが落ちてきやがったが、それは村のやつらで粉砕した…今は小さい石で荒れた畑の耕し直しをしてるぞ」

 やっぱり村にも落ちてたか…そして問題なく対処されてたか。畑の耕し直しは俺も手伝いたいな!


「そんであの時に竜種の姿が見えたって団長が言っていたんだが、間違いないか?」

 えぇ…村から山の頂上ってそれなりに離れてる気がするんだけど、ワイバーンを見つけられたのか。結構でかいのかな。

「ワイバーンが居たっぽいですね」

「おいおい、本当に居たのかよ――っぽいって何だ?」

「いや、俺は実物を見てないんですよ。叫び声とかは聞こえたんですけど…ちょっと例の耐性薬で藻掻き苦しんでたので」

 アレはもう絶対に飲まんぞ!


「例のって…あの濃縮したのを飲みやがったのか!」

「そうでもしないと耐えられそうになかったんですよ」

「おいおい、炎の中に飛び込みでもしたのか」

「似たようなもんですかね」

 あの炎、黄色が多かったし相当熱かったと思うんだ…


 少し遠い眼をするモルトに対し、溜息を吐きながらも安堵するプロング。

「まぁ、それで無事だってんならいいか…ワイバーンを見なかったのは、その肩から見えてるやつが原因か?」

「後ろ?」

 顔だけを振り向かせると、そこには恐る恐る目を覗かせているフェルの姿が。あ、こっちを見た後にもう一度プロングさんを確認したら引っ込んだ。


「その原因でもあり、魔力草が育たなかった原因の1つでもありますね」

「……結構な訳ありみてぇだな。ここで長話をすると薬の効果が切れちまうから、早いとこ村に戻るか」

「ですね」

『う~』

 するとフェルが声と身じろぎして拒否を表したので、歩こうとしたのを止めた。

「どうした?」

「いえ、行きたくなさそうな動きをしたもんで」

「なんだなんだ、もうきちんと自己主張してんのか。そらドライアドだろ?しかもまだ生まれたての」

「よく分かりますね。顔しか見えてななかったのに」

「流石にここまで近けりゃ気配でわかるってもんよ」

 この人も長い間修羅場をくぐってきた人だもんな…そりゃそういう物が鍛えられてるか。その修羅場を幾つか作ってもいそうだけど。


「いったい何を嫌がってるんだ?」

『ち!』

「ち?…血かな?」

「つっても俺は別に怪我なんかしちゃいねぇし、お前さんもそうだろ?」

「ですね」

『ん!』

 フェルが肩から乗り出し、指を差した。その先は…プロングさんの手元付近?


「俺がどうかしたのか?」

「いや特には…あ、成程」

 確かに血に見えなくもないか。

「フェル、あれは別に血って訳じゃないぞ~」

『やー!』

「俺の何処かに血っぽい何かが付いてるって訳か…別に手には付いちゃいねぇな」

「手じゃなくて腰です」

「腰だぁ?……あぁそういうことか」

 そこには採取していたときに使ったであろう布があり、真っ赤なバーンベリーの果汁がべっとりと付いていた。

実際のブルーベリー系の果汁を服で拭うのは止めましょうね!びっくりするぐらい落ちませんので。


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