49話 壁の先と謎の物体
伏線ってどうやって作ればいいんだ…
ガツッ! カラン
【加工済みの魔石を取得しました】
「お!取れた!」
十字鍬で採掘を始めてから2分ほどで中に埋まっていた魔石の全体が見えるようになり、さらに鍬を短く持ち慎重に周辺を掘り続けること5分。ようやく魔石を取り出すことが出来た。
ドザッ
「あ…そりゃ魔力を補充していた手段が無くなったらこの壁は消えるか」
いやぁ跡形もなく綺麗に消えたなー。少しは土が残るかと思ったけど、あくまで魔法で作られたものってことね…魔力に当たり続けた土とか何かに使えそうだったんだけどな。
「残念がってる場合じゃないか。えーっと、これは洞窟っぽいな…ますます怪しくなってきたぞ」
偽装壁が崩れた先は奥まで続く空間が広がっているらしく、風も少し流れてる…探索するのに酸素とかは気にしなくても大丈夫かな?そもそもそういうのが実装されてるのかは知らんけど。
「にしても入り口は光があるからいいけど、奥が暗くて何も見えん」
ギフトの選択ミスったかもなぁと思いながらも、洞窟のそばを離れ向かう先はチャコールトレントの前。
「お前らを伐採するのは後でと言ったな…」
抵抗するようにギチギチしている気がするトレント。
「あれは嘘だ」
ガリガリガリ…
腰につけているナイフを抜き出して、少し太めの枝に向かって背の鋸刃に当て削り始めた。持ってて良かったサバイバルナイフ…十字鍬のピックで叩く前に腕とかに当たりそうな所は切っておかないとな!
カコン!
<チャコールトレントの燃焼枝を取得しました>
「あれ、倒してないのに取得扱いになったぞ」
ゴブリンの棍棒は駄目だったのに…何か条件がありそうだけど、そこは今はいいや。
【チャコールトレントの燃焼枝:内部で熱を発し続けている特殊な枝。2時間の間熱を持つが、その後は消失する】
結構便利なものが手に入っちゃったな…これなら伐採も必要なさそうだ。心なしかチャコールトレントもホッとしているように感じる。
「このトレントの枝ってことなんだから結構明るいだろうし、松明の代わりになるだろ。…よっと」
そういうと、燃焼枝を何の躊躇もなくマジックバッグから取り出し持ち上げた。
「おおー。熱を発してるって書かれてたから大丈夫だとは思ったけど、耐性薬が効いてる間は普通に持てちゃうな」
これなら何の気兼ねもなく洞窟を進むことが出来そうだ!ただ進んでいる間に効果が切れると一気にダメージを受けて逝くだろうから、今のうちに耐性薬をもう一度飲んでおいてっと…あと防具や髪に当たったら燃えそうだから気をつけよう。
<熱耐性薬を摂取し、3時間半の間1500度までの熱に耐性を取得しました>
「あ、延長されるとかはないのね…それじゃ行きますか!」
何とも締まらない掛け声と共に洞窟に入っていく…この微妙な辛さはどうにかならないものか。
松明ほどの明かりがあるとはいえ洞窟内は真っ暗なため慎重に足を運んで進んでいたが、洞窟内はそれなりに整備されていたらしく石ころや段差などは無い様だ。
「これなら魔力視を使うのを忘れないようにすればいいだけで楽だなー」
それにしても結構長い洞窟だ。たまーにウィンドウを開いて確認していたけど、中に入ってから30分は経ったがまだ終点につかない。
「これこのまま反対側につながっていたりして…お?」
魔力の流れが途切れたりしないか確認しながら進んでいたが、ここで横に向かって分かれる線が一つ。そして見覚えのある淡い光を放つ壁と、その中心は何か埋まっているであろう強い光を放っている。
「……」
ガッ!ガッ!ガツ!
パリン!
「あ、やべ」
若干面倒だが何かしらがありそうだから十字鍬で掘ってみたが、加工済みの魔石が結構浅いところにあったらしくそのまま砕いてしまったようだ…
ドザッ
「割れた魔石も消えちゃったか…まぁ、証拠になりそうなのは最初に取ったしヨシ!んでこの中は…硬貨?」
偽装壁の裏の空間にはかなりの数の袋が鎮座しており、山が燃えた際の衝撃によるものか幾つかの硬貨が袋から抜け出しており燃焼枝の光でキラキラと輝いている。
「こんなところに隠すようにして置いておくか?ますます怪しい」
ふと袋を眺めていると、1冊本が置かれているのが見えた。
「なんだこれ。というかよく自然発火してなかったな…この洞窟の温度が低いってことか」
耐性薬飲んでるから分からんなーと思いながら、怪しい本を開いて内容を確認する。そこには金額と恐らく場所なのだろう単語がいくつも羅列されていた――そこにはファティリ村も書かれており、特に金額が多い。
「これは…えーっと……」
悩んだ結果、ここに置かれているよりはフォルクさんに見せた方が良いと判断し硬貨と本はマジックバッグに入れていくことにした。<徴税代官の裏帳簿>や<着服金>とかの取得表示されたけど俺は何も知らん!先を急ぐぞ!
何かいけないものを見てしまったとでもいうように現場から離れ奥へ奥へと進もうとしたが、直ぐに広い空間にたどり着いた…まるで逃がさんとでもいうような行き止まりだ。
「まだ頭も気持ちも整理できてないんだが…何か追加でありそうで嫌な予感がするぞ」
この広間っぽいところの入り口だけ石の破片やらが多かったし、もしかして落下物がここに落ちてるとか!…流石にそれはないか?
広い空間をまっすぐ進み、大小ある破片を転ばぬように避けて進んでゆく。
すると
「追加あったよ。しかもなんだこれ?」
モルトが叫ぶ先には小規模なクレーターがあり、中央に巨大な黒い物体が鎮座していた。
次回1章ラスト!…の予定です!
本編が名言集のあの映画は大好きです。
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