48話 選んだ先と偽装
意外な所にモンスター。
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「ううーん…直進の方にも線は続いているけど折り返してきてる感じで細いし、本線っぽい右の方に進んでみるか?それで何もなかったらこっちに戻ってくればいいだけだし、決定!」
そんなわけで右の道へ進むことになった…こっちも少し上ってるな。
「にしても本当に赤い景色だ…火花が散ってたりして危ないし、空もちょっと灰が掛かってるよなぁ。本当に何で村の方にまで火が来てないのか不思議だ」
もしかして井戸の浄化みたいに村の周囲を守ってる何かがあるのか?それともフェニス山に入ったとたんに熱くなるからエリアが区切られてるとか。
「あと不思議と言えばこの木だよな…確かこの山が燃えだしてから3年だよな。その間ずっと燃えているってのは流石におかしい気が」
【チャコールトレントLv5:豊富な魔力によりモンスター化した木が外部要因により変異した姿。成長をしようにも直ぐに炭化し、動こうにも魔石以外は炭になって身動きできないため、トレントは考えることをやめた】
……oh。
「まさかのモンスターだったか…でもそれなら残ってるのも納得がいく気がするな」
何となく植物系のモンスターって体力回復が早そうな感じがするし、耐えている間に全体が燃えてしまったんだろう。若干鑑定の文にネタを感じるけど。
これは倒してしまった方がトレント達のためになるのだろうか?というか居ないって話なのに居たな…簡易鑑定だけだとただの木って表示されるのかな。
「大人しいモンスターなのか、村の人たちがレベル高いから襲わなかったのどっちかだな。――そんで伐採するかどうするか」
少し悩んだ末に今は伐採しないことに決めた。今は斧もないしな!それに恐らくあの人に伝えたら、鍛冶用に使うってめっちゃ伐採しそうだしその時に手伝えばいいや…いや木炭って温度が低いんだっけ?
「こう見ると木が生えてない場所もあるし、モンスター化していなかったか耐えらなかったのが生えていたのかな…おっ」
道を進み続けてまた1時間ほど、ようやく何かが見えてきた。
「石のテーブルと椅子か。真ん中に穴があったり支えっぽいのも周囲にあるし、東屋の跡地な気がする」
ただ何でこんなところにあるんだろうか?特段なにもなさそうな気が…あ
「成程、ここからだとファティリ村の畑が見やすいのか!」
この東屋の下側の斜面には木が生えていなかったらしく、そのお陰で村が良く見えるようになっている…魔力草が咲き誇っている様子をここから見たら綺麗だろう。山頂まではまだ遠そうな感じだし村は山の下にあるから上過ぎると見づらそうな気がするから、ここに建設した人は分かってるな!
「おっと、畑を見ている場合じゃなかった…さて、あの魔力たちはどこに行っているのか」
魔力視を発動させ――鑑定は声を出さなくてもいいのでやってみたら問題なくできた――魔力の方向を確認してみると、何故か上っているわけでもなく東屋裏の山の斜面に向かっている…一部山の上に漏れ出しているのもあるが。
「いや、あれは分かれ道で見たのと一緒で上に伸びていってるな…そうなると山頂がさらに怪しくなってきたぞ。ただ、それよりも怪しいのはこの斜面だよなぁ」
何故かというと……斜面の一部が魔力視によって淡く光っているのだ。
「明らかに調べてくださいって見た目をしてるよ。寄りにもよってそこは魔力が向かいたがってる場所だし」
魔力視を解除して近くで斜面を眺めてみるが、特に違いはないような…いや、なんか違和感はあるな。
【偽装壁:アースウォールと闇魔法を組み合わせ作られた偽物の壁。魔力を補充する手段があれば、保つことが可能】
「今度は偽装か…偽物祭りだなぁ。いや、チャコールトレントは擬態じゃなくて元々が木だから違うか」
でも何でここにこんなものがあるんだ。斜面を作るのならただこの場所を埋め立てればいいだけだし、何か隠してる?村では山頂の火口跡のことしか言っていなかったから、ここにこんなのがあるのは変だよな。
「魔力の補充をすれば保つことができるってことだから、これが魔力を吸っている原因?ただそれなら村を作る前から魔力が豊富なわけないし…何かが落ちたっていう話も有るわけだから違いそうだ」
何か他に情報がないかと再び使用可能になった魔力視を発動させて偽装壁をくまなく調べてみると、上の方は物理的には塞がれていないのか僅かに魔力が中に流れているらしい…ただ、それよりも壁の中央に魔力が吸われて強めに光っている場所があった。
「ここに何かありそうだな。でも壁の中に埋まっている感じだし…こいつの出番か!」
そういって取り出したのは、何故か登場回数は多いのに時間は短い十字鍬。
「こっち側のつるは硬い土を崩すのに使われるものなんだから、ようやく本領を発揮できるな…んじゃさっそく!」
ガッ!ガツッ!
少しずつ壁を掘り進めていく…力を入れて突き立てると疲れが出るのが早くなるし尚且つ痺れるから注意な!じいちゃんの畑を手伝うときに思いっきり唐鍬を突き立てたら石に当たって体全体がジーンってしたし、鍬も痛んじまったから覚えたぞ!
ギャリ!
「お、土以外の何かに当たったかな…なんだこれ…でかい宝石?」
【加工済みの魔石:形を加工された魔石。魔力を充填できるようになり、魔道具や儀式に使われる】
「魔石…こいつが原因か」
魔力を充填できるって書かれてるし、偽装壁を保つために埋め込んでいたこれが魔力を掠め取って維持してたんだろうな。
「何かの証拠になりそうだし割らないように周辺も掘って」
ガツッ!ガツッ!
これタガネとかハンマーもあった方が良かったなぁ…
やっとまともな出番が来たよ十字鍬君!ただ畑じゃないしモンスターでもないけど…
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