47話 登山開始と分かれ道
ようやく本格的に山の中へ!
といってもそんなに長くはなりませんが…
連続投稿最後の4日目。次回からは今まで通り隔日と、いけたら土日連続投稿になります…疲れた!
「成程なぁ…そん時にこいつがそばに居なくて良かったぜ」
「何でだい?そりゃゴブリンは木っ端みじんにしてやるけどね」
「それだけじゃ済まねぇから言ってんだよ…村周辺の土地がボッコボコになんだろうが」
「それは…まぁ…」
「あの斧を使いだすだろうし、否定はできんね」
「せめて俺は避けてくださいね?」
ゴブリンを狩りまくった話を、プロングも交えて再び話したモルト一行。他にも、村の井戸は精霊の祝福――精霊の加護の上位称号だそうだ――を持ったものが掘ったことによって、そのまま飲用が可能なレベルにまで浄化されていること等を教えてもらいながら歩き続けた。煮沸しなくてもいいってのは魅力的だな。
「さて、私たちがついていけるのはここまでですかね」
そういってバーンベリーの茂み近くで立ち止まる一行。
「たまにしか冒険者や行商人は来ねぇけど、団…村長が村を離れているのは良くねぇからな」
確かに…代表の人がいないと対応とかできないよな。
「お前も雑貨屋があるだろうに」
「俺は今日もう休みにしてあるからな!またバーンベリーでも採取するさ!」
「あたしもそうしたいけど、他の畑の手伝いに行きたいからねぇ…食事処のに伝えるだけにしておこうかね」
「それはまだ後でいいんじゃねぇか?」
「あんたが数を確保したいだけだろう?」
「もちろんだとも!だからまだ伝えるのは待ってくれ!」
「これこれ、モルト殿を送りに来たというのに関係ない話を続けてどうする」
「あははは…」
個人的にはしんみりとされるよりは全然いいけど、ウィーツさんに手を合わせて頼み込んでるプロングさんが子供に見えてしょうがない。
「おっとそうだったな…耐性薬がきちんと作用するか確認しねぇと」
「一応鑑定で調べて問題はなさそうなんですけど」
「たまに偽物の情報が出てくるって話もあるからね」
「まぁそういうものはダンジョンでの宝箱から出てきたものが殆どだそうですが」
この世界ダンジョンもあるのか…公式に出てたっけ?
「鑑定があるのは知っているが、俺はきちんとこの目で見ねぇと信用出来ん質でな…ほれグイっといってくれや」
「じゃあ…」
プロングに急かされながら熱耐性薬をベルトから外して蓋を取る…香りに辛味はないな。どちらかというと素材として使ったバーンベリーの香りがする?
「どうされました?」
「いえ、鑑定にじわじわ辛味がくるって書いてあったのとそのまま食べたバーンベリーを思い出しまして」
「ああ、キュアベリーに似てるってのに案外辛いよねぇ」
「だがそれは飲まんと意味がないぞ」
「ですよね…ええい!」
瓶を口に傾け、中に入っている透き通った赤い液体を飲み込む!…香りは本当に良いな!
<熱耐性薬を摂取し、3時間半の間1500度までの熱に耐性を取得しました>
「どうだ?」
「ええ、きちんと効果が出ました…なんか獅子唐みたいな辛味ですね」
本当にじわじわと辛味がやってくるが、耐えられないほどじゃないな。味がまさかの穀物茶なんだけど、飲用しかできないから考慮してくれたんだろうか?
「そりゃよかったぜ!俺も飲んで耐性はついたが、種族の中にゃあんま効果がない奴も居るからな」
「龍人に耐性薬が効くのかは私も知らないものですから」
「なるほど」
薬が効きにくい種族か。植物探しをしているうちに出会うことはあるのかな…そん時は手持ちの草や実で効くのを作り出したいもんだな!
良いことではあるのだが、聞きようによってはマッドサイエンティストに聞こえる不思議。
「それに幾つかとんでもないもんも作っちまったから心配でな!」
「紫色で泡が出てきているのもあったね!」
それはもう毒なんじゃないだろうか?
それではお気をつけてと3人に手を振られながら――若干1名バーンベリーに視線がいっていたが――フェニス山に向かったモルト。そして入山したという表示が出たが、あの時のような熱を感じることはなく進むことが出来ている……しかし。
「景色がなんも変わらん!」
辛うじて坂を上っているという感覚はあるが、1時間近く周囲の景色がずっと一緒なのだ。モンスターは出ないとの話だが、登ることしかやることがなく景色も炎と赤黒く芯が光っている木しかない。
「こりゃ確かにウィーツさんが言っていた通り、気が狂いそうになるのも納得だ。しかも、耐性薬なかったんだから防具でどうにかしても熱かったろうなぁ…長時間探索できないよそりゃ」
村で聞いた話を思い出しながらさらに先を進んでいく。どうせ歩くだけなのだからステータスとか掲示板でも見ようかと思って開きながら移動してみたが、道に伸びている木の枝先が顔に当たってダメージを受けたので中止した…ながら移動ダメ絶対!
「というか髪が若干燃えた気がするぞ…もしかして火耐性薬じゃないから延焼はするのか?だとしたらちゃんと避けないといかんな」
それ以降は十分進む道を注視しながら進んでゆくと
「お、分かれ道だ…今まで見かけなかったけど、そりゃあるよな」
直進する道と右に曲がる道の二つがあるようで、直進する道は恐らく山頂に通じている。
「ただ今回は山頂に行くんじゃなくて、魔力がどこに向かっているかが重要だもんな。そんなわけで魔力視!」
魔力視を発動させると、この山まで集めてきたのであろう太い線状の魔力が足首辺りで見え、右の道に向かっているのがわかった――しかし細い線状に見える魔力が折り返して直進する道に続いているのも見える。
「どうなってんだこれ?」
後半がめっちゃ短くなった…ま、まぁ次回の導入ってことで。
そして連続で投稿してもラストまでいかなかった!結構短い予定だったのに…
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