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M・C・O 植物好きの道草集め  作者: 焦げたきなこ
第1章 豊穣の村
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44話 初錬金と熟錬金

ノーマ草煮込み汁の澱みは、100%の野菜ジュースを混ぜる時に見えるモワモワがイメージです。

GWの残り4日間は全日投稿致します!

「こっからは変化が早いからな。きちんと見ておけよ?」

「了解です」

「うし、んじゃあ抽出して混合させていくぞ」


 錬金スキルの抽出で、磨り潰されたヒール草から少し緑がかった透明な液体が出てきた。そしてその液体を小皿に移して、例のノーマ汁に少しずつ混ぜ込み始めると――黄土色に近かった色が黄緑にまで変化した…えぇ…


「この変化が調合で、分量をミスると変化しなかったり悪影響が出たりするんで気を付けろよ。初級ライフポーションなら、色が変化したタイミングで抽出した成分を入れなけりゃ大丈夫だ」

「これ以上入れたらどうなるんですか?」

「色がさらに緑になって、複数回使うと中毒症状が出る粗悪品になるな!ついでにさらに青臭くなる!」

 毒がある青汁とかまさに罰ゲームやんけ!


「そんでこれを漉し布で不純物を取り除く…さらにその液体に錬成!…とまぁこんな具合だな」

「い、意外と工程が少ないですね」

 漉し布で確かにノーマ汁に残っていた繊維やらは取れていたが、それでも微妙に澱んでいる…だが錬成が掛けけられた瞬間にピカッと光りだしたかと思うと、そこには雑貨屋で見た澄んだ黄緑色の液体が入った瓶が出来上がっていた。というか瓶も勝手に出てくるのか…錬金ってすげぇな!

「最初に言ったように簡単だろ?最初は見守ってやるからまずは作ってみな…材料はここに出してあるし、すり鉢は新しいのを今用意するからな。それと用意に時間がかかるだろうし、今回はこの混合液を使ってくれや」

「わっかりました!」

 同じものを使うと成分が残っているから良くないのと、すり鉢って洗うと水分が残っちまうから乾燥に時間がかかるもんなぁ…

「テーブルはそっちの高い方を使ってくれ。こっちじゃやりにくいだろ?」

「了解です!」

 背が高い方もあるってことは、他にもここを使う人がいるのだろうか?後で聞いてみるか。


 プロングから新しいすり鉢とすりこぎを受け取り、ヒール草とノーマ汁が入った容器も並べ終えたので早速錬金を始めることにした。ミスって爆発とかしないよな?

「えーっと、まずはヒール草をすり鉢でゴリゴリと磨り潰して…ヨモギを磨り潰す感じで良さそうかな」

「似たような感覚だな。ついでにヨモギを磨り潰したやつも止血薬として使えるぞ」

 おお、ニシヨモギの鑑定で出ていた止血薬の作り方を知れたな!後で早速作ってみよう!

「それで磨り潰したヒール草にスキルを使って成分の抽出を――あれ?」

 抽出自体は出来たっぽいけど、緑色で若干濁っている…もしかして磨り潰しすぎたか?


「どうした?」

「いや、抽出した液体が濁っているので」

「そりゃ錬金レベルと器用値がまだ低いからな。余計な成分まで抽出しちまってるんだよ」

「え、これちゃんと出来るんですか?」

 さっき成分を加えすぎると粗悪品になるって言われたから心配なんだが!

「品質は下がるが問題なくできるぜ。味も若干渋くなるぐらいだな」

「なら良かったです」

 これで心置きなく続きが出来るな…飲む気はさらに無くなったけど。


 小皿に移した成分をプロングがやったようにノーマ汁に慎重に移しながら変化を待ち、黄緑色に変わったタイミングで加える手をやめ、漉し布を使いながら不純物を取り除いた。

「最後は錬成!…本当にこれで完成かな?」

 何か沈んでるし、これコンタミってやつじゃないのか?


【初級ライフポーション・品質2:HPを10回復させるポーション。飲用可:不味い!もう一杯…はいいや】


 ちゃんと出来てた!だけど品質が2ってのは沈殿物があるし低いんだろうな。味も飲用可って書かれているのに、一杯でいいって書かれてるし…そしてさらっとHPの回復量が数値化されてる。

「ほう、初めてにしちゃあきちんとポーションになってんじゃねぇか。上出来だぜ!」

「プロングさんみたいに品質が良いポーションじゃないですけどね」

 そんなプロングさんのポーションはこちら!


【初級ライフポーション・品質5:HPを25回復させるポーション。飲用可:不味い!もう一杯!】


 沈殿物はないし品質が3つも違う…しかもHPの回復量が増えてる!

「当たり前だろ?俺がどれだけ作ってきたと思ってんだ…年季もレベルも段違いだぜ?まぁ、こいつは本気で作っていないから品質はまぁまぁだがな!」

「本気じゃないんですか?」

 それは作成に使ったヒール草とノーマ草に失礼なのでは…

 自分はノーマ汁を使わないように研究しようとしているのは良いのだろうか。


「本気で作っちまうと、値段が今の5倍以上になるが構わんのか?村の奴らも使うから、今でも価格は抑えてる方なんだが」

「ぜひ今のままでお願いします!」

 初期のお金は品質よりも重い。




「プロングさーん」

「……ブツブツ」

「だめだこりゃ」

 バーンベリーでの錬金を始めたプロングは最初は返答などの反応があったが、こちらが何回か錬金をしている間に”比率が…いや他のやつも追加して…”等を呟きながら手を動かしメモを綴りながら錬金を繰り返すマシーンと化してしまった。


「流石に2日連続で昼飯を抜くのは良くないからログアウトしたいんだけどなぁ」

 今の時刻は現実で11時40分…今日はアブラナのペペロンチーノでも作ろうかと思っていたから、お湯を沸騰させる時間を考えるとそろそろいい時間だ。それにベッドで寝ると次のログインでステータスが上がるのならやっておきたい…少しでも器用値を上げておけばいい味のポーションが出来るかもしれん!

「仕方がない、そこの紙に書いておくか」


 机の横に幾つか用意されている紙を1枚こちらに寄せ、ボールペンのような物で”眠気がやってきたのでフォルク家で寝てきます。早ければ3時間ぐらいで戻ります。”と書いてズレないようにノーマ汁が入っていた容器を上に乗せた…ログアウトは寝ているって認識らしいからこれでいいよな?


「じゃあ失礼しまーす」

 一応引き戸を開けながら声を掛けるが、閉めるまでにプロングが振り向くことはなかった。

「まぁあれだけ集中していたらそうだよな」

 もう一つのドアを押して開き、鍜治場に戻ってきたが

「流石に今観察したりするのは無しだな。動かして何か壊したら嫌だし」

 そのまま通り過ぎてプロング宅を出ていった。

正確には熟考錬金…え?この後プロングがどうなるかって?

それはまた次回にでも。


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