33話 事情説明と掲示板の存在
今回も現実パートです。
1章が終わったら、プロローグでほんの少し書いた友人たちも出したいですね…何時になるやら。
カレーが甘口になった気がする夕食を終えた後に、何事もなかったかのように部屋に戻ろうとしたが
「お浸しを作ったんだから、鍋とかを洗ってちょうだーい」
母のその一言で逃げようがなくなってしまった。先に洗っておけばよかった…後悔先に立たずか。
「部屋に戻ろうとしていたみたいだけど、あの時に言質は取っていたから意味ないわよ?それに逃げたとしても部屋の鍵は玄関に予備が有るからねー」
急いで洗ってしまおうとシンクに向かっていくと、姉ちゃんからそう言われた。
元々逃げ場はなかったか…あと俺のプライベートは守ってほしい。
「さぁ、何があったのか洗いざらい吐いてもらうわよ」
「それはいいんだけど」
「何よ?」
「何でまた俺の部屋なんだよ」
洗い物を終えて、リビングでテレビを見ていた姉に連行されて来たが、当人の部屋じゃないことに納得がいかない…俺はベッドで姉ちゃんは椅子に座ってるし。
「別にいいじゃない。私の部屋は今段ボールが積まれていてあんたが居る場所がないのよ」
「また何か買ったのか…というかベッドや椅子ならあるだろうに」
「乙女の部屋にそう頻繁に入るもんじゃないわよ」
乙女の部屋――姉ちゃんの部屋は乙女というより男の子ってこういうのが好きなんでしょって部屋じゃ
「なんか言った?」
「な、何も」
「ふーん、まぁいいわ」
あっぶねー、また愛を語られるところだったわ。早いとこ話して帰ってもらうか…ハーブや多肉植物たちの世話もしておきたいし。
どっちもどっちな気がする中で、かくかくしかじかとあの時に起こったことを話していく。
「成程ねぇ、運営からのメールやSNSでのバグ情報を見ていたから大体は分かっていたけど本人から聞くと視点が違うから面白いわね」
「巻き込まれた本人は長いこと重複の表示しか出ない暗い空間にいたから、全く面白くなかったぞ」
「そりゃそうよねー」
椅子でクルクル回りながらそう答える姉…手で更に回してコーヒーカップみたいに爆速にしてやろうか。
「掲示板じゃあ、巻き込まれた人の情報が全くないからわからなかったのよね」
「掲示板?」
「知らないの?ゲーム内のその他タブを選ぶと出てくるのよ」
何でそんな分かりにくいところに用意したんだ運営よ。
「後は公式のサイトでIDを入力すれば見ることができるみたいね。ただ現実の3倍だから流れるのが早いけど」
「そこは仕方がない…えーっと、これでいいか」
スマホを操作して公式にIDを入力をすると掲示板の表示が増えており、既にいくつかのスレが立っているようだ――植物スレがないのが残念でならない。
「黒塗りになっていて見えないスレもあるな…モンスターも画像はあるのに名前が見えないからゴブリンとスライムぐらいしかわからん」
「本人が知らない重要な進捗については秘匿されてるっぽいのよね」
「どうやって認識してんだか」
一つ一つの行動がAIとかで認識されてんのかね。
「ただリアルで伝えること自体は出来るから、こうやってあんたの部屋に来たわけ」
「そういう重要なのを先に伝えられたら報酬やらが劣化したりしそうなもんだけど」
「バグの体験だから大丈夫でしょ。第3エリアの出現モンスター達を聞いているわけじゃないんだし」
確かに…そっちを聞いたら強化された状態で出てきそうだ。
「そういや何で俺にメール送れたんだ?まだIDやらなんやら教えてないのに」
「あのヘッドギアが届いたときに個人情報とか入力したじゃない。あの時に身内ならメールとかを送れるように設定してあったのよ…緊急時には必要でしょ?」
「あーそういや、初期設定の時にそんなことやったなぁ」
ありがたい設定だけど、あんなに爆撃されるのは勘弁だ…いや俺がちゃんと返信すればよかったんだけど。
「お、あのチュートリアルって他にも牙だったりが落ちてたのか。それとモンスター討伐で初期のポイントが増えるっと…だからシーズは最初に10ポイントだって言ったのか」
公式の雑談掲示板を開いてみると、そんなことが書かれていた。ついでに過去のスレを確認してみたら大量にオレンジネームが発生したってのも出てきた…やっぱり街中で武器取り出した人が続出したか。
「シーズって案内役の子?私の場合は猫妖精だったけどあんたは?」
「俺は普通に良く物語で見る妖精って感じだったなぁ…いたずら好きだけど。精霊の加護についても書かれてるけどこれに返信してる人が居るし、この情報は問題ないのか…基準がわからん」
そしてチュートリアルエリアにでかい葉っぱが落ちていたのも判明した…なぜもっと探さなかった当時の俺よ!
「ふーん(最初の広場で人を探してるのって妖精だった気がするけど、面白そうだから黙っておこーっと♪)、こっちは二足歩行の猫が服を着てるって感じだったわ。真面目な子で肉球が柔らかかったわー」
「早速犠牲者が出てたか…」
俺も人のことは言えない自信はあるが、姉ちゃんの趣味もなかなかだからなあ。
「犠牲者って何よ!ちゃんと彼に許可を貰って触らせてもらったし、吸ってはいないんだから何も問題はないわ!」
「許可あったら吸ってたんだろ?」
「もちろん!」
「アウトだアウト」
家にまともなのはいないのか。母さんと父さんはまともと言えばそうだけど、油断すると甘々になるからなぁ…
姉のスイッチが入る前に部屋から追い出し、ハーブや多肉植物の成長具合を確認したり土の湿り気などを確認していく。
「お、ニジノタマの葉挿しが上手く出来てるな。他のも増やすことが出来れば寄せ植えに挑戦してみるか?いやでも、水の与える量とかが難しくなるだろうしまだ早いか」
エアプランツも育ててみたいけど、新しいのを育てるのはブルーベリーショックが落ち着いてからにしよう…レースカーテンで区切れば大丈夫だろうけど、日射怖い。
「よし確認はこんぐらいか。今は8時ちょいぐらい…なら少しだけログインしてから風呂に入って寝るか!」
リアルの植物も大事だけど、あっちでの未知の植物も気になるからな!
姉の趣味は…まぁその内に。具体的には2章以降に!
ニジノタマはマンネングサ属というのに属している多肉植物の一種で、きちんとすれば結構簡単に増えてくれます。園芸屋さんとかだと、マンネングサではなく学名のセダムって方が通じるかもしれません。
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