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M・C・O 植物好きの道草集め  作者: 焦げたきなこ
第1章 豊穣の村
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28話 マジックバッグと武器の扱い

主人公はまだ掲示板の存在を知りません。

 ニシヨモギの採取を一通り終え、さぁ次の植物に向かうぞとなったところで


「んじゃ、あたしはまた離れているよ」

「へ?」

 離れられると安心して採取が出来ないんだけど…

「あんたはそばに居たらずっと採取を続けそうだからね。村の外にやってきた目的を忘れてはいないだろうね?」

「目的…採、モンスター討伐ですよね!覚えていますとも!」

 ウィーツがデコピンの準備を始めるように右手の指を何度かはじくのを視界に捉え、慌てて言い直す。流石に趣味に没頭しすぎたか…な、何かリスポンを回避するための話題を…そうだ!


「そ、そういえばウィーツさんって武器や防具が無いような気がしますが、持ってこなかったんですか?」

考えてみれば村で出会ったときと全く同じ長袖のTシャツに革のベストだし、下もチノパンと革靴だ。

「武器かい?一応持ってきてはいるけど、ボスモンスターやイレギュラーでも出てこない限りは必要ないからねえ。素手で十分だよ!」

 世紀末覇者か何かだろうか?実際デコピンの指先1つで俺はダウンだろうけど。それにボスモンスターは運営からのメールで分かっていたけど、イレギュラーってのもいるのね…出会わないことを祈ろう。


「まぁ、こんなのもあるって見せるのもいいかもしれないね。気づかせてくれたお礼にデコピンは免除だよ!」

「イエスマム!」

 反射的に敬礼のポーズを取ってしまった…

 話題逸らしバレてるー確かにかなり強引だったけどー


「そんじゃあ、あたしの武器はこいつだよ!」

 そういってウィーツが出現させたのは、巨大な両刃斧だった。装飾は刃の中央付近に赤い石が埋め込まれているぐらいで、柄も金属で作られているように見える。


「農具の時も思ってましたが、デカいですね!刃が反っていて幅が広いから戦斧って呼ばれるやつですか?」

「その通りさ!プロングにあたしの腕力にも耐えられるように1から作ってもらったやつでね、昔からの相棒だよ。ただ、最近はこいつを戦闘で使うことがないから専ら木の伐採に使ってるよ」

 ありゃま。重量もありそうだしさぞかしモンスターを倒しているのかと思ったら、かなり実用的な使われ方をしている。しかし今でも手入れを欠かしていないのか、光を反射するレベルでピッカピカだし斧も使われていて本望だろう。

 ただ、この大きさの武器をどこに仕舞ってたんだ?


「思ったんですけど、ウィーツさんってどこからその斧を出したんですか?マジックバッグとかのポーチはは下げてないですよね」

「うん?マジックバッグならここにあるよ」

 そういってウィーツが指さす先は、ベストについているポケット…ポケット!?

「え、もしかしてですけど、そのポケットがマジックバッグなんですか?」

「そうさ!マジックバッグはあくまでも入れ物ってだけだからね。収納するための空間だって付与するやつのスキルレベルで決まるから、ガワは袋状になるものなら何でもいいのさ!」

「マジックバッグってそんな感じなんですね…」

 ってことはこの初期装備のマジックバッグも容量が決まってるのか?その内これ以上入りませんとかの表示が出そうだな。


「それにウェンスじゃあ基本大丈夫だけど、バッグだって分かる形で持ってると治安の悪い所じゃスられて持っていかれちまうからさ。そのための対策みたいなもんさ」

「マジックバッグを持っていかれるんですか!?」

 集めたであろう植物たちを全て持っていかれるのは勘弁だぞ!


「ああ違う違う、持っていかれるのは中身だよ。ただのスリなら大丈夫だけど、窃盗系のスキル持ちが厄介なのさ。低レベルなら安いのを盗まれるぐらいだけど、高レベルになると中身を選んで持ってかれるからね…少しでも体に近くて、分りにくい所にマジックバッグを作っておくのは大事なんだよ」

「そんな理由なんですね。俺も近いうちに作製を誰かにお願いしておこうかな」

 全部でなくとも一部でも持っていかれるのは我慢ならんからな!肉ならまだいいけど。


「プロングなら出来るけど、あいつの空間付与はレベルが低いって言っていたから違うやつに頼んだ方がいいかもしれないね。それに使う触媒が馬鹿みたいに高いから今は無理だろうね!」

「馬鹿高い…因みにウィーツさんの場合はお幾らで?」

「これは腕のいいのに頼んだから1千万セルだったね!それでも触媒以外の素材は提供していたからまだ安いもんさ!」

 物凄い高級品!こりゃしばらくはこのウエストバッグで満足しておくしかないな。

「付与のついでに言えばこのベストもそうだけど、あたしの今着ている服たちはみんな付与付きだし素材もそれなりの物を使っているから下手な鎧よりも頑丈さ!」

 それも油断させるための手ってことなんだろうけど、そこまでたどり着けるまで長そうだなー…


「それと、村に入る時は背負っている大鎌は仕舞っておくんだよ。腕輪を付けているから最初は不審がられるぐらいで済むけど、ずっと持っていると旦那と教会に知らせがいっちまうからね!」

「確かに、これを引っ提げながら村に入ったら不審者ですもんね」

 今は革防具だけど、顔の見えないフード付きのマントで大鎌背負っていたら間違いなく通報するね。というか通報が行くのは教会もなのか…シスターとかがいるから、それを守るための治安維持の人でもいるのかな?


「ただそれだとマジックバッグ持ちじゃない人はどうなるんですか?」

「村の場合だと教会に武器を仕舞える容量のマジックバッグがあるからそれを貸し出しか、足りない場合は村の倉庫に一時預かりさ。他の村や街でも似たようなもんじゃないかね」

 もしかしてその為に貸し出しのために教会に知らせが行くのかな?

「まぁ、あんたたち異転人はマジックバッグを最初から持ってるみたいだし大丈夫そうだけどね!」

「ですね」

 ウエストバッグなら後ろからスられる心配も多少は低いし、こっちにしておいて正解だったぜ。


「後は、今腰につけてるナイフぐらいだったら護身用として持ってるのも居るから問題はないけど、抜くのはご法度だね。ただ雑貨屋や家の部屋でなら、確認や修繕のために武器を出したりするのは大丈夫さ」

「なるほどー」

 割と厳しいな運営よ…そりゃまぁ確かに、槍やら剣やらを村や街中で多数の人が持ち歩いているのは怖いっちゃ怖いけど。何処かの狩人とかは自分の体以上というか建物の天井に届きそうな槍だったりを街の中で背負ってたけど、誰も気にしないのかとかは思ったりはしたよ?ただそれを本当に犯罪にするとはね。


 一応プレイヤーには多分不用意に取り出さないように警告やらはされそうな気はするけど―――気にせずに武器を取り出したプレイヤーいっぱい居るんだろうなぁ。


「あれ?そういえばウィーツさんはナイフ持ってないんですね?」

「採取用はあるけど基本仕舞ってるね。不届き者にはこの拳で十分さ!」

 やはり世紀末覇者か何かなのではないだろうか?

 いずれにせよ、村に転移した時に大鎌取り出していなくて良かったと心底思った。

実際オレンジネーム大量発生で運営は大変でしたね。

どこかの狩人というのは、サービスが終了したFのつくオンラインゲームのことです…


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