3話 ジョブの話と検査開始
チュートリアルスタート!
紆余曲折ありながらも無事キャラクリを完了させた耕司。途中でパーティ内でのウィンドウの閲覧と操作共有の欄がオンになっていることに気が付き、迷わず両方とも切った。
髪の色は土色で瞳は緑色、体型は現実と変わらない中肉中背にした。いたずら妖精は面白くなーいと不満げではあったが。
「なんだかすでに疲れた気がする」
『そう?あたしは楽しかったけど~?』
「お前のせいだお前の」
くすくす笑いながら体の周りをまわっているシーズを払いのけ
「それで?次は何をするんだ」
『メインの適性検査よ!そのために私たちが居るんだもの!』
「たち?シーズ以外にも担当者っているのか?」
『当たり前じゃない。基本的に私たち妖精が一人一人についてあなたたち異転人の誕生をサポートするのよ!』
「誕生…そういやそういう設定だったっけ」
このMCOというゲームは異転人という異なる世界でさまよっていた魂が、神々の導きによりこの地で新たな人生を送っていくという設定がある。
「ということは、シーズはこの世界での新しい体を弄っていたということになるのか」
『そ、そこはもういいじゃない!それよりも適性検査よ適性検査!』
実際は動き方等を覚えるチュートリアルも含まれているが、そんなメタいことはシーズには知らされていない。
「でも検査って何するんだ?ここは何もないし、確かジョブは最初はノービスだろ?」
『そうね。スキルはこの後選べるけど、メインは成長後に選んでサブもそのときね』
プレイヤー全員が最初はノービスという職で始まる。レベルが10になったときに自分のジョブを決めることになるが、その前までの自分のスキルや行動で表示されるジョブが変化する。
『だから今からやる検査はどんな種族があっているかよ!』
「種族もランダム性があるのか…普通の人族でいいよ」
『駄目よ!それじゃあつまらないじゃない!』
「つまらないって…でもそのまま人を選ぶこともできるんだな?」
『できなくはないけど。あたしとしてはやってくれたほうが面白―嬉しいかなーって』
「おい本音が漏れたぞ」
『ナンノコトカナー?でも基本マイナスになるようなことはないからやっておいた方がいいと思うわよ』
「俺は早く世界の植物に触れたいん『そういうのに適性のある種族とかいるわ』よし!早速始めよう!」
『そんなに好きなの…取り敢えず準備するわね!』
そう言うと、シーズは手に持った杖を掲げて何かを唱えた。
パアァァァッ!
少し待つと杖の先端が強く発光しだした!
「目がっ…!目がぁぁぁぁあっ!!」
『少しまぶしいと思うから、目をつぶっておいてね♪』
「もう遅いわ!」
『そう言いながら目つぶってるじゃないー♪…待ってグーはやめて!ほんの出来心だしもう終わるからー!』
先程も突進をして痛い目をみているのに、懲りない妖精である。
「ったく…もういいのか?」
『オーケーよ。それじゃあ検査スタートね!…あれこの場合って測定だっけ?まぁいいや!』
眼を開けるとそこは先ほどまでのもやがかかった空間とは違い、背の高い草が生い茂る草原の道半ばに立っていた。服装もいわゆる革装備といったものが頭以外に装備されていて、他にウエストバッグが増えている。
「おぉ…まさにファンタジーって感じの移動方法だ。お、腰にナイフもあるのか」
『でしょー?まぁこの杖に付与された力のおかげだし、一回限りなんだけどねー』
「それ大丈夫か?俺たち元の場所に戻れるのか?」
『だいじょーぶだいじょーぶ!神様が施してくれたもので、何かあっても戻れるようになっているらしいから!』
「本当に大丈夫なのか…?」
少し、いや大分この後が心配になった。
『そ れ よ り も…もう始まっているのよ!』
「いや、何すればいいんだ?」
『あ、そう言えば説明してなかったわ…一応あそこに見える大樹がゴールにはなっているけど、それ以外は自由ね。スキルを今選ぶのもよし、武器を出してもこのまま移動してもいいの』
「そうか――じゃあ早速」
耕司は地面に膝をつきそこら辺の草を探り始めた!
『一応聞くんだけど…何してるの?』
「無論観察だ!初めて見る植物なわけだし、簡単にでもいいから調べておかないとな!」
『そ、そう…私は見守っているわね』
「見た目的には葉が平行脈の細い円形で尖っていて穂があるからイネ科っぽいな。現実だと種類が多すぎるから分かりにくいんだよなぁ。ただ周辺にあるのはこれだけっぽい?そうなると野草扱いの植物たちは少ないのかもしれんな」
『矢継ぎ早に調べているわ…そこら辺に生えている草なのに』
「そこら辺に生えている草にだって面白いことがわかるかもしれないからな!調べる意味はある!」
『あ、一応聞こえてはいるのね』
「だがこれ以上は調べようがないな。一応採取だけはしておきたいけどどうしたもんか…名前だけでもわからんもんかね」
『流石に検査の場だし、草に名前とかついてないと思うんだけど…まぁそんなに知りたいなら、特別に良いものを教えてあげるわ。ギフトって言って――
<ギフト:簡易鑑定を取得しました>
【ノーマ草:クプースの暖かい地域にはどこにでも生えている草。非常に生命力が高く根っこさえあれば生えてくる】
「おぉ出てきた。ノーマ草…テキトーな名前だなぁ。ただ暖かい地域以外にはノーマ草以外が生えているのがわかっただけでも良いことか。」
『……』プルッ
「よしっ!そんじゃあ次の野草が俺を待っているだろうし進むとするか!」
『……』プルプル
「おーい。どうしたそんなに黙って震えて」
『なに…』
「なんだ?」
『なーにさらっと簡易鑑定取得しちゃってるのよ!私の出番なのにー!』
期待していたゲームでの初めての植物なので若干?興奮状態です。
修正:ジョブの前にメインってついていました。そしてゲーム世界の名前がプロット修正前のままでした…
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