23話 手持ちと裏の畑
大事な植物要素…今後はフィールドに出たりするので少しは増えそうです。
昨日と続けて更新です!
連続は難しいけれども、たまになら行けそう…
修正と追加:キュアベリーの色を水色に変更し、さらに低木であることを追加しました。
まだ剃っているだけというプロングの頭皮が若干心配になりはするけど、今は自分の戦いの準備の心配をしないとな。そう思ったモルトはポーションベルト受け取り、着けてみることにした。
「つけ方は普通のベルトと変わらないのかな?ただこれどうやって…あ、自動で着けられるのか」
ベルトを巻こうとしたところで<アクセサリーを着用しますか?>と表示されたので、はいを押したら腰回りに装備され、ウエストバッグがついていたベルトが換装されるような形になった。
「そこのベルトが変わっちゃうのか。こげ茶の渋くていい色だし、リングにホルスターも追加されて冒険感が出てきた気がする」
換装されたバッグの中身に、冒険感がなさそうなものが詰め込まれる未来が見える。
「似合ってるじゃないか!こりゃ村の外に出るのが楽しみだね」
「割と頑丈な素材を使っているから大丈夫だとは思うが、それでも駄目になっちまったときは持ってこい…きちんと直してやるからな!」
「ありがとうございます!」
頑丈な素材か。キマイラがどれだけ強いかは知らないけど、少なくとも旅団で世界をめぐっていたウィーツさんが置いていこうとしたレベルで、それを狩りに行こうとしていた人が使っていて残していたベルト…凄いものなのでは?
「それで、これは幾ら払えばいいですかね?」
流石にこれは支払いをせねばと値段の確認をする――せめて手持ちのお金で足りて欲しい。いやまて、それ以前に俺は今幾ら持っているんだ?
部屋を借りる際に家賃を払おうとして断られてしまったから、まだ確認自体をしていなかったと慌てて確認すると、そこには【5000CEL】と書かれていた。
「5000セル?これは多いのか?」
「支度金でも貰ってんのか?5000セルだったら、街の普通の宿で10日ぐらいなら過ごせるな」
街の宿がどれぐらいの物なのかわからないが、ビジネスホテルぐらいって考えると日本円で約5万円かな?結構多い気がする。
「ただ別に金は取らねぇよ!俺が使っていた中古品で店で売ってる物じゃねえし、協力するって言ったろ?」
「でも…」
「貰っておきな。こういう時のプロングは頑なだよ?」
「おうよ!性分だからな!」
「…はい!大事に使わせていただきます!」
宿に続いてまた無料になってしまった…こりゃ本当に魔力草の問題をなんとかしないとな!
「よし!そんじゃあ次はそれに付けるライフポーションだ。畑で栽培しているヒール草を使用しているから淀みもなく、高品質だぜ?」
ポーションが売られている場所に移動を始めるプロング。
確かに。このままじゃベルトを貰っただけになってしまう…きちんと買い物をしなくて――うん?畑で…栽培?
つかつかと前を歩いているプロングに詰め寄って、背中側からその肩を掴むモルト。
「ど、どうした?何か気になるもんでもあったか?」
「いや…目が輝いて見えるから多分違うね。さっきあたしたちの家で農業に興味があるって聞いたから気になるんじゃないかい?この雑貨屋の裏だけは、あんたがやっている普通の畑だからねぇ」
「あー…成程。…先に見に行くか?」
「是非お願いします!」
目がらんらんと輝き、少し紅潮し鼻息の荒くなった状態で元気にそう答えた…プロングの肩には逃さないとばかりに力が込められる。
現実で居たら不審者まっしぐらである。
「着いたぞ。つっても魔力草の畑ほど広くはねぇし、大体は食う用の野菜だがな」
カウンターのドアから従業員というかプロングの休憩室兼倉庫を過ぎて裏口に回ると、それなりの広さの畑が存在する。縦長の畑が雑貨屋の後ろに沿うような形で耕されており、死角になっていたからか気が付くことがなかったようだ。
「おおおおお!!!!」
「そんなに興奮することか?まぁ傷つけなきゃ自由に見ていいぞ」
「本当ですか!?では早速!」
そう言うとモルトは残像を残すような勢いで畑に向かっていった。
「わからん…何であそこまで元気になってんだ?」
「あんたが使ったことのない素材を手に取った時みたいな感じじゃないかい?」
「じゃあ仕方ねぇな!」
仲間は傍にいたようである。
畑の中に入ったモルトは、まずは見たことのある物から見ていくことにした。
「これはヒール草だな!ちょっとだけ葉が野生のより大きいか?ってことは伸び伸びと成長できている証拠だな。そんでこれも採取したことのあるやつ!」
【キュアベリー:軽度の毒と麻痺を癒すことのできる植物で、魔法薬に使われる。乾燥させてハーブティーに加えると病気の予防になる。食用可:香りは良いが、甘味より酸味が強い】
「そうだキュアベリーだったな!ちょっと苦い思い出のあるブルーベリーに似た実だから覚えてたぞ!」
覚え方が若干悲しい。実際にしなだれるような形で薄い水色のブルーベリーに似た実が低木に複数生っている。
「これ何の植物が元なのかわかんないんだよなーオリジナルなのか?そんで食用可なら食べてみたいが…流石にプロングさんに許可を貰ってからにしよう」
多少の理性が残っていたようで、勝手に食べるのだけは留まることが出来た。
まだまだヒール草とキュアベリーには調べてみたいことがあるが、ここにはそれ以外の植物が大量にある。まずはその全てを見ていかなければ…植物は逃げないのだから、後でゆっくりと観察すればいいのだ!
「うっひょー!!!!見たことのない植物がいっぱいだー!!!!!」
ルビが多くなるので実際の表記はCEL、呼び方はカタカナでセルってことにしました。
想定の暴走よりは優しい感じになりました。
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