22話 ポーションとベルト
まだ頭の話してる・・・
修正:ライフポーションの等級を初級に統一しました。
どうしても頭に目が行ってしまうのを堪えようとしていたが、店主はかまいやしねぇよと手を振ってくれた。ちょっといかつい見た目をしているが、優しい人みたいだ。
そしてプロングの雑貨屋と言った通りに、名はプロングで種族はドワーフだそう。
「そんじゃあポーションを買いに来たんだったか?丁度いい、実演と行こうじゃねえか」
実演?いったい何をするつもりなのだろうか。
カウンターに向かったと思いきや、緑色の液体が入った小さなフラスコを取り出した。さっき見かけたやつと同じ見た目をしている。
「取り出したるは初級ライフポーション。このポーションのふたを開けて…頭にぶっかける!」
バシャ!
「えぇ…」
随分と豪快に行ったなぁ…服とか濡れちゃうんじゃないか?と思ったその時、少しだが頭が、いや掛けたポーションが光った―――ご来光かな?
「あれ?頭の赤みがなくなってる!しかもどこも濡れてない!?」
「その通り!こういった怪我を治してしてくれるのがライフポーションだ。どこか怪我のある場所にかかると、たちまち効能を発揮して液体が残る心配はなし!」
「まぁ治すところがなきゃその場に残るけどね」
「そりゃそうだ。ただ、飲用もできるから口の中を切ったとかでも安心だ」
「味は良かないけどね!」
「おめぇうちの店紹介しにきてるってのに余計なことしか言わねぇな!事実だけどよ!」
事実なんかい。そして、ウィーツによって赤くなった頭はダメージ判定なのか…
「ちなみにその味って…」
「初級ライフポーションなら苦い、渋い、やけに舌に残る甘みだな!ついでに青臭くて最後がやけに爽やかだぞ!」
あんなに透き通った色をしているのに、味が昔の青汁やん…しかも味わいを良くしようとして失敗した甘み付きの。
「他の材料を追加して工夫すりゃマシになるが、その分販売代金を上げなきゃいけねぇからな。うちじゃやってねぇのよ」
「となると、プロングさんが作られてるんですか?」
「おうよ!他のもんを作るついでの手慰みだがな」
「ここのは魔道具以外プロングが作ってるのさ。手慰みとか言ってるけど、きちんと生産して売ってるんだから律儀なもんさ」
「仕方がねぇだろ、お前さんらのとこで昔から作ってたんだから癖になってんだよ」
「大分旅路の時には世話になったね!」
ってことはこの人はフォルクたちと同じ旅団の団員だったのかな?
「そう言えば、マジックポーションとかはないんですか?」
「マジックポーションか…あー…魔力草がな」
そう言いつつ、目を逸らされた。ここでも魔力草栽培が出来てないのが響いてるのか。
「この子にはこの村の現状を伝えているから大丈夫さ」
「あん?どういうこった?」
かくかくしかじかとウィーツとモルトが説明をしていく。
「ほう!異転人はそんなことが出来んのか…しかも村に留まって村の現状脱却を手伝ってくれると。そりゃあ――」
おっと、難しい顔をされてしまった…やっぱりよそ者が村の大事な産業に手を出すのはアカンかったか?
「――ありがてぇ話じゃねぇか!喜んで協力するぜ?」
いいんかーい。しかも協力もしてくれるんかーい。
「そんなら早速良いものをやろうじゃねぇか。ちょっと待ってろよ!」
そういうとプロングはいそいそとカウンターのドアに引っ込むと、ドカドカと裏で音が立ち始めた。
「えーっと…」
「多分、倉庫の中にあるやつを引っ張り出してるんだろうさ。気に入った相手に見合いそうなものがあったり気になった材料が見つかると後先考えずに突っ込むのが、あいつの良いところでも悪いところでもあるね」
それでキマイラに向かっていったときは置いていこうかと思ったと、思い出話をしてくれるウィーツと待つこと10分程たった。
「待たせたな!」
若干埃を被ったプロングがドアから出てきた。
「ほんとに待ったよ!あんたの失敗話に花が咲いちまったよ」
「なんつー話に咲かせてんだ!」
ツッコむようにウィーツの脚を蹴り上げるが、コーンといい音が鳴るだけでプロングの方が痛がっているように見える。
「相っ変わらず硬いなお前は…いやこんなことしてる場合じゃねえ。ほれ!こいつをやるから使ってくれや!」
そうモルトに差し出されているのは、小さなリングが3つと大きさの異なるホルスターが付いた革製のベルトだった。
「ベルトですか?」
「ただのベルトじゃねぇぞ。俺特製のポーションベルトだ!昔使っていたお古だが、耐久値が減っていないのは確認済みだし便利だぜ?」
ポーションベルト?なんじゃそら。
【プロングのポーションベルト:3つのリングにはポーションをストックしておくことが可能。ポーチと共有が可能】
ポーションをストックしておけるベルトだからポーションベルトか。それでポーチとの共有が可能?…よくわからないけど何か付与でもされているのか?このもどかしさも何とかしたいな。
「普通のバッグじゃ取り出すのも手間だから作ったんだよ。マジックバッグでも一度選んで取り出さなきゃいけねぇし、戦闘中にそんなことしたら隙が出来ちまうしな」
「成程。これならすぐベルトから外して使えるってことですね」
「これのおかげで助けられたこともあったさね!」
「そりゃお前が猪突猛進で突っ込みまくるからだろうが…いや、団長以外は基本そうだったな」
苦労していたんだなプロングさん…だから頭もそうなったのだろうか。
因みにまだプロングの頭がハゲなのかスキンヘッドなのかは未定です。
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