表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
M・C・O 植物好きの道草集め  作者: 焦げたきなこ
第1章 豊穣の村
22/130

19話 借宿と荷運び

実質田〇に泊まろう…これ伝わる人で若い世代少なそうだなぁ。

 レベル上げをすることは決まったが、もう一つ決めておかなければいけないことがある。


「この村って宿屋とかってありますかね?」

 そう、泊まる場所である。


「村周辺でレベル上げをするとなれば、確かに休める場所は必要ですな。ただ…」

「宿はないねぇ。食事処と雑貨屋ならあるんだけど」

 となるとどうするか。最悪そこらへんでログアウトするしかないんだけど…このゲーム落ちている間も体残るっぽいんだよなあ。


「でしたら我が家の一室を利用されますか?息子が住んでいた部屋なのですが、如何せんリザードマン気質が強く成年後すぐに村を飛び出して部屋が余っているのですよ」

「いいんですか!…でも、2、3日寝ている事やずっと起きている事とかもあるので迷惑になりませんか?」

「おお、異転人はまだこの世界に精神が馴染めていないがために数日の眠りや長い覚醒があるのでしたな」

 科学技術が進み仮想内では8倍までの加速が可能になった現代だけど、このゲームでは基本3倍までの加速となっていた。現地人としてはどんな解釈をしているんだろうと思っていたけれども、まさかの馴染めていないって感じなのか。


「それだったら問題はないよ!」

 ウィーツが立ち上がりついてきなと声をかけられたのでついて行くと、部屋の奥にあるドアに近づき鍵を開けた。

「鍵あるんですね」

「そりゃ息子とはいえプライベートは大事だからね」

 姉に聞かせてやりたいと強く思う…そりゃ別にやましいものとかはないけど。ついでにメールを確認してみたら、70件ほどになっていたのでそっ閉じする。多すぎだろ…

 自分が爆弾発言を送ったことを棚に上げてそう思う弟だった。


「ほれ、中に入ってみな」

「あ、はい。…お邪魔します」

 そう一声かけて入室してみると、部屋の中にはむき出しのベッドにテーブルと椅子、棚にクローゼットといった簡素ではあるが十分な設備が揃っていた。掃除が定期的にされているのか、埃っぽい感じはしなく清潔感がある。


「マットとかは古くなって捨てちまったから無いけど、部屋自体は悪くないだろう?後で必要そうなのは持ってきてやるからね」

「いや、流石にそれは悪いですよ」

 最悪村の敷地内のどこかに布でも敷いて落ちようかと考えていたのだからこれでも十分だ。

「若いもんがそんなこと気にしなくていいのさ!それよりもこの部屋の目玉はこれさ!」

 そういってウィーツが指さした場所には、何故かドアがあった。


「え?ここにもドア?」

「そうさ!外に出るのに居間を経由するのが面倒だって息子が作っちまったのさ」

 おおう、なんというアグレッシブDIY。出来はシンプルではあるが隙間のない仕上がりでびっくりだ。この家の他のドアよりも小さめなのは、自分が出入りするだけだからウィーツさんの背を考えなくていいって感じかな?

「ついでに言えばこの家の建材は防音の付与魔法がされているから、深夜に帰って来るのだったり作業をされても気にならないから大丈夫さ!」

「防音の付与?」

「そう!あたしの声が大きいからねえ!」

 物凄い説得力である。


 リビングに戻ると

「どうですかな?暮らすには大きな問題はない部屋だとは思いますが」

「ベッドがむき出しさ」

「そう言えば無かったか。確か予備のマットが納戸にあった筈だが――

 そう二人で話を始めてしまった。既に住む方向で話が進んでいる気がする。


「あの…」

「おや、どうされましたかな?もしや何か部屋にご不満でも?」

「いや、本当にあの部屋を借りてもいいんですか?」

「もちろんさ!空き部屋みたいなもんだったからね。部屋は使ってこそだよ!」

「ウィーツの言う通りですとも。それに賑やかな方が私たちは好きでしてな」

 優しい夫婦だ。


「じゃあ…お世話になります!」




 部屋を借りることが決定してからは行動が素早く――決まる前からすでに準備の話がされていた気はするが――フォルクが納戸からマットレスや枕を布が敷かれた床に置き始めたかと思うと、ウィーツが床の布を風呂敷のようにしてすべて持ち上げ、ドカドカと借りる部屋に運び込まれてゆく。引っ越しやも真っ青になる運び方とスピードだな。

 そう思いながらもモルトも卓上のランプやらを運び込んでいった。


「よし!一先ずはこれで完了さね!」

「あっという間でしたね…」

「まぁ運ぶものも少ないですからな」

 ものの10分で荷運びと配置決めが終わった。


「そんじゃあこれが鍵だよ。こっちが居間からのドアでこっちが外に続くのだね」

 そういってウィーツがリングに繋がっている2つの鍵を渡してきた。

「ありがとうございます。なくさないように大事にしますね!」

「なぁに、無くしちまったときはドアをぶっ叩けば開くから大丈夫さ!」

「それはウィーツだけですよ…あれはドア自体がひしゃげてロックが意味をなさなくなっただけです」


 そうだったかねえと笑うウィーツとため息をついているフォルク。体格もそうだし性格も結構凸凹な気がするが、文句というよりは突っ込みを入れているような感じな気がするから仲は良いんだろうな…じゃなきゃ結婚したりしないか。

この夫婦の息子さんどこかで出したい。

そしてしれっと出てくる加速設定…どこかでキャラクター合わせた用語紹介しなくちゃ。


ブックマークや評価を頂けると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
青年後すぐに村を飛び出して 成年かな?成人とかのほうが分かりやすそうだけど、人じゃないし難しいところ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ