表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
M・C・O 植物好きの道草集め  作者: 焦げたきなこ
第1章 豊穣の村
20/130

17話 休耕の理由と疑問

スキルが役に立つかもしれない。

今日のお昼に確認していたら、総合評価が1000超えていました!ありがとうございます!

「では、畑についてでしたな…少しお待ちを」

 そう言ってフォルクが椅子から立ち上がりウィーツの農具の近くで屈んだと思ったら、手のひらに小さな黒い粒状の物を数粒持ちテーブルに戻ってきた。

「こちらが魔力草の種です」

「これが…簡易鑑定してみてもいいですか?」

「かまいませんとも、それほど珍しいものでもないですからな」

「では、失礼して…」


【魔力草の種:魔力を僅かに回復させる効果のある魔力草の種で、土地の魔力を吸い取ることによって成長し、他の植物の成長を抑制させる物質を根から出す。食用可:油を抽出する事が可能で、美容に良いが多量摂取の中毒あり】


「へぇ、土地の魔力にこれはアレロパシーの事か?それと種から油…元ネタは亜麻かな?」

「おや?魔力を使って成長するのは知ってるけど、油は初耳だね」

 うん?簡易鑑定って良く知られていることを表示するギフトじゃなかったか?しかも食用とか前までなかったことが書いてあるし、どうなってんだ…まぁ後で調べよう。今は畑の話だ。

 少し考えこんでしまったので顔を上げると、丁度お茶を飲んでいる二人が。どうやらまとまるのを待っててくれたようだ。


「よろしいですかな?鑑定の通りですが、魔力草というのは土地の魔力を吸って成長する植物なのです。先ほど旅団のころの思い出の時にも述べましたが、この辺りは魔力が豊富な土地だったものですから栽培をするのに適していたのです」

「多少の肥料は必要だったけど、基本的に魔力があれば育つからほぼ気にしなくていい。この村一番の収入源だったものさ!」

 まるで見えているように話す二人。恐らく、それが当たり前だったのだろう。


「でも今の現状と、だったということは…」

「ええ…3年ほど前になります。あの山が突如燃え盛りましてな」

「突然ですか」

「ああ、本当にいきなりだったから驚いたもんだよ!昼に何かが落ちて来た音がしたと思って、家から確認するために外に出たら山が一つの炎みたいになっていたんだからね!」

「不思議なことに何故かあの山だけ燃えまして。不気味ではありましたが、村自体に被害はなかったので安堵していたのですよ」

「丁度魔力草の収穫の時期だったからね…ただ、あれが最後の収穫だったよ」

「種を植えて肥料を追加してみても全く動きがなく、生えてくるのはそれ以外の草ばかり…さらには、あの山は炎が収まっても木々が灰になることや崩れ落ちることすらない。何かがおかしいと踏んで調べたところ、土地に魔力が全く含まれていなかったのです」


 似たような話をニュースで聞いたことがあるとモルトは思った。山火事ではないが、噴火や地震によって温泉が全く出てこなくなったというのを聞いたことがある。

 ただ何かが落ちてきたという点と、なおかつ


「個人的にも作物が育たないというのは非常に悲しい事であるというのは分かります。あの青い絨毯のように咲き誇っている様子が描かれている絵画を見た後だと余計に。ただ、土地の魔力がなくなった日から3年間燃え続けているというのであれば、あの山を調べたりは…」

 そう、原因はあの山である可能性が限りなく高いのだ。であれば調査をするのは当たり前のはず。

 というか絵画は覚えていたのか。


「ええ、私たちもそう踏んであの山の調査を始めました…しかし」

「まずあの山自体がかなり熱くてね、とてもじゃないが長時間の探索は出来ないのさ。しかもモンスターは出ないが一面赤い景色。気が狂っちまうよ」

「それでも山頂までの調査は何とか進めました。山に魔力が留まっている事だけは分かったのですが、あの時の衝撃で山が一部崩落していましてな…一番怪しいと睨んでいた山頂の火口跡も巻き込まれて埋まっていたのです。領主様にも畑と山の現状をご報告し、5年間の税の無償化の恩赦を頂きましたが」

「もう半分以上経っちまった。他にも水魔法で魔力の籠った水を散水したり、魔力ポーションを畑にかけてみたり…原料を作るのに完成品を使っちゃ意味がないのにさ。山頂にも何度か向かって火口跡を掘っては見たけど、随分下まで崩落しているらしくてね…それに火山の岩は硬くてすぐに道具が駄目になっちまう。せめて魔力がどこに行っているのか分かれば解決策は出そうなもんだが、そんな珍しいスキルはそうそう持つ者がいないからね。八方塞がりなんだよ」

それでも諦め切れなくて、未だに他の作物を植えられないと話す2人。


「…すみません。暗い話をさせてしまって」

「気にしなくていいさ。あたしたちゃ村のもん以外の誰かに話を聞いてもらいたかったんだろうね…少し楽になったさ!」

 そうワハハハ!と笑うウィーツではあるが、明らかに最初のころの元気はない。こちらを励まそうと空元気を出しているのだろう。


 自分に何かできることはないかと考えるモルト。ただ自分は専門家なわけではないし、暑さに耐性があるわけでもない。なおかつ魔力なんて感じられないし見ることなんて…見る?何か引っかかった気がする。確か俺のスキルの中に…


自分の前にウィンドウを表示させ、ステータスの項目を調べ始めた…すぐに目的のスキルを見つけ詳細を調べると、これならばと思い二人に聞いてみることにした。


「ウィーツさんにフォルクさん」

「なんだい?」「なんでしょうか?」

 再び考え込んでいたモルトの雰囲気が鋭くなったように感じ、何か重要な話があるのかもしれないと思った二人は椅子に深く座りなおした。




「魔力って目に見えたりとかしますか?」

魔力草の元ネタは亜麻ではなく、地中海地方のとあるハーブです。アロマオイルのベースに使われていたりもするので知っている人はいるかも?


ブックマークや評価を頂けると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ