2話 迫りくる妖精とキャラクリエイト
若干カオス。
3月30日午前11時
受験を無事に乗り越え中学校の卒業式も終わり、ゲームの開始を今か今かと待っていた耕司は歓喜に打ち震えていた…
「待ちに待ったぞMCO!我が世の春が来たぁ!」
そう叫びながら、どこから採ってきたのかわからないタンポポを握り掲げていた。
「黒歴史なら絶賛解放中じゃない?って聞こえてなさそうねぇ」
「よし、早速準備しないとな!姉ちゃん、昼飯は俺今日はいいや!夕飯はこのタンポポを天ぷらにして食うぞー!」
「(あれ食べるために採ってきたのね…)はいはい。取り敢えずチュートリアルが終わったら連絡しなさいよ。後タンポポは母さんに確認しなさいねー!」
わかったー!と答えながら自室へ向かっていく。部屋にたどり着くと、テーブルにタンポポを置き一度深呼吸をして体を落ち着かせた。
それでは早速とベッドに寝転がり、新しく購入したリング状のヘッドギアを手に取り気合を入れて装着した。
「前全クリした農業ゲームをやったときは重いヘルメットみたいなやつだったのに、随分便利になったもんだよなぁ。よし、ダウンロードとインストールもちゃんと終わってる――――Mystical Code Onlineに接続開始!」
数瞬の暗転の後に白色のもやがかかったような空間が現れた。
「おっと、そうだった。最初はキャラクリをするんだっけか…確か適正とかも検査するから担当キャラが1人いると書いてあったん『―ぉー!』…なにか聞こえたか?」
そう思って横を向くと。
『ょうこそクプースへー!』
そう叫びながら斜め上から落ちながら突進してくる羽の生えた小人がいた。
(なんだあれ?取り敢えず当たったら痛そうだし避けるか)
スッ…パンッ!
『ぐぇっ!』
避けられた小人はカエルのような声を上げながら地面にぶち当たった。
淡い水色のワンピースを着た金髪の妖精みたいな者が突然現れたので困惑する耕司。
――なんだ?もうチュートリアルが始まったのか?
「いきなりエンカウント?武器とか持ってないんだが」
そう思い自分の服装を少し確認するが、生成り色の長袖Tシャツに黒色のズボンとベルトといった物だけで他にはないようだ。
仕方がないと、取り敢えず足を開き腰を落として落下物に対峙する。
『違う違う!ちょっとお迎えに勢いがついちゃっただけ!だから構えないで!?』
orzのような体勢をしていた落下体は身の危険を感じたのか、即座に起き上がり顔の高さまで飛び上がると
腕を前に突き出し手を全力で振りだした。
「(ちょっとか?)迎えってことは、やっぱあんたが担当者?」
『そう!あなたの担当で妖精のシーズよ!というかわかっていたなら受け止めてくれてもいいじゃない!?』
「あんないい音が鳴るような速度で迫ってきたら誰だって避けるぞ」
そう答えると、気まずそうに顔を逸らした。
『えーっと、さっきも言ったけど少し驚かせようと思って勢いを出しちゃってぇ――取り敢えずキャラクリエイトしちゃいましょう!』
勢い良くこちらに振り向くと、持っている杖を振り回した。
「ごまかしたな…まぁいいか。よろしくシーズ…あとクプースってなんだ?」
『クプースはこの世界のことよ?神様から説明はなかったのかしら…元の世界のことも大事だけど、この世界のことも覚えていってよね!』
実際は一部の情報を重点的に調べたせいで、基本的な情報を調べていなかっただけである。
「了解了解。取り敢えずキャラクリを頼む」
『えぇ!先ずは髪とか眉なんだけど、虹色にする?それとも金色で発光でもさせちゃう?」
「せんわ、どこぞの戦闘民族かよ。色を選択できるやつとかないのか?」
『ちぇ~、派手にさせて目立たせようと思ったのに~。っほい、これでいいの?』
シーズが杖を軽く振ると、よく見る色を自由に決めることのできる円状で中に四角が入ったものがウィンドウで出てきた。各スライダーもついているので微調整も安心!
「そうそうこんな感じのやつ…かなり細かくいじれるな。取り敢えず髪は土色っぽくして長さは短髪で…おい勝手に発光値を上げるんじゃない」
『いいじゃない~これぐらいなら艶がいいぐらいで済むもの』
「まぁ、傷んだ髪に思われるよりはいいのか?じゃあそのままでいいか」
『よし!次は…
片方の瞳だけハート目にさせられていたり、羽模様の入れ墨をいれられていたりと多少のいたずらがありつつもキャラクリは続いてゆく。
コンゴトモヨロシク・・・
あれカラーウィンドウといって、今回のは色相環とボックスタイプです。
修正:日付を3月下旬ではなく3月30日と日付の固定を行いました。
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