118話 フェルの上昇結果ともう1つの月
タイトルネタバレ。
<ヒール草の株・品質1を取得しました>
「よし!もう1つヒール草ゲット!」
『やー!』
いやー安全に野草採取が出来るってのはいいね!ゴブリンは何故か周囲にまったく居ないし、グラスウルフも近づいてくることがない!……うん、フェルのジェットが1つの原因な気がする。松明やランタンみたいな火だったら襲ってくるのかもしれないけど、そんなメラメラしたのじゃなくてバーナーみたいな火だから警戒されまくってるんだろう。
「といってもフェルは飛んでないと機動力なんてほぼ無いようなもんだし、肩車で連れまわったら俺が動きづらい」
『む』
「ちゃんと飛んでなくても動けるって言われても自分の頑強を思い出してみなさい」
ついでに他のステータスもわかるようにウィンドウをフェルに見せてやろうじゃないか。
名前:フェル 種族:ドライアド・特異変異 Lv6→9
性別:男
HP:26→31 MP:115→169
筋力:9→10 頑強:2 俊敏:19→31
器用:35→48 知力:64→92 精神:32→43
幸運:4
スキル:【火魔法5→7】【油生成3→5】
残りSP:9→12
『…にぅ』
そうですね、全く変化しませんでしたよね。流石に改めて見たときは真顔になった…筋力も1しか上がってないけど、別に武器を使って戦うわけじゃないからまだそこは許そう。しかし頑強よ、頼むから上がってくれ。走ったらすぐへばりそうなステータスですよこいつは。
「ここまでくると頑強は防具とかでどうにかするしかないか?しかしなぁ」
フルプレートメイルとか装備させれば耐久面では良くなりそうだけど、筋力は今ようやく平均になったばかりだから着けた瞬間崩れ落ちる予感しかない。そもそも頑強が高くないと動き回ることが出来なさそうだし。
「ピリンさんに作ってもらうアクセサリーでどれぐらい上がるか考えてからにするか」
『ん!』
目指せムキムキ?そんなぷにっとした体で言われてもな…
こうなったら戦闘は二の次にして野草を集められるだけ集めようと躍起になり――先ほどから全力じゃなかったかについては置いておこう――1本だけぽつんと生えていたキュアベリーの株を採取するためにシャベルでちまちまと周囲の土を除き始めた。
「フェルーモンスターは居ないかー」
『んむー』
全く見えないか。もしかして日が昇る少し前の時刻だからグラスウルフ達が住処に戻り始めてるから見かけない可能性も…ないな。初日の時に3時ぐらいまで買ってた覚えがあるし。
<キュアベリーの株・品質1を取得しました>
「終わったー!これで今のところ気になるものは取りつくしたか?」
今回は敢えて品質の低い株達を選んで採取してみた…その方が育てがいがあるじゃん?
正直村の周辺だけだから、もっと遠くに行けば違う野草やらがあるだろうけど日が昇る前には戻っておきたいからな。無事ピリンさんが帰ってきていたらアクセサリーの素材渡したいってのと、出来ればフォルクさん達と朝食を共にしたい!俺が楽しみなのはそうだけどフェルが喜んで食べるのが嬉しいってメモに書かれていたからな!
『あむー!』
「そうだな。そろそろ戻るか…その前に土を戻してっと」
ここを通る人が穴に気づかずに躓いたら問題だからな。たまーに土手でもBBQでもしたのか、焼け残った炭を穴を掘るだけ掘ってポイって奴がいるから怖いんだ。炭はまだ燻ぶってるから子供が触ったら危ないしそこを踏み抜いた人が居たら事件だぞ……そもそも捨ててくな!んで穴掘って放ってんじゃないよ河川法違反のオンパレードか!
「いや今は関係ないな」
『んぬ?』
「ちょっと土を戻してたらあっちでのこと思い出してなー。よし、埋め終わったし村に戻るとしますかね!」
『んやぅ~』
やっとかーと伸びをしながら答える…監視みたいなもんだしお前も疲れたかー。
フェルの伸びを見て、ずっとしゃがみながら株の土を除いていた体をほぐすために同じように伸びをして体を解すモルト。今日も銀月さんが綺麗だねー……んん?
「気のせいか?」
上を向いて銀月を眺めたところ若干おかしな光景が見えたため、目を閉じてからもう一度眺める。フェルのジェットが光り輝いてるからそれを見間違えたのかもしれんし――いや
「やっぱり見えるな…横にも星があるのか?」
前にウィーツさんから教えてもらった銀月の左横辺りに、うっすらとだけど白い光が曲線を描いて輝いている…ただの星にしては変な形だし、なんだあれ?
ようやくお目見え…
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