114話 ハーブの世話と3日目
ヌルッとですが第3章スタートです!
今回は現実パート。半分ぐらいハーブ紹介!
ログアウトの後そのままの勢いで風呂に向かい歯を磨き、寝る前の日課であるハーブポットたちの確認をしていく……現実逃避じゃないぞ、本当に日課だから!
「よしよし、タイムンの蕾は大分ぷっくりしてきたし花が咲くのが近くなってきたな。確かこの時期に葉を収穫すると一番香りが良かったはず…でもまだ涼しいし、成長のことも考えて少しだけにしておこう」
そう言ってタイムから手を放し次のポットに移る。
「マリーさんはまだまだ綺麗に花が咲いていそうだなぁ。でもそろそろこのポットから植え替えをしてもいい気がする…近いうちに土ともう少し大きなポットを用意してやってみるか?」
流石に起き抜けにはしないけどな!もしフラッとして机の角にぶつけて根を傷つけたら大変だ……一応強い植物だから茎の長い葉を利用すればまた生やすことはできるけど、それはそれ。
「バジ郎は今年も越冬成功!日本の冬をよく2度に渡って耐えてくれたよ。室内栽培なら大丈夫だってのは分かってたけど、それでもエアコンが付いていない時もあるからな」
といっても3年目になるわけだし、そろそろ花を咲かせて種を収穫しておくべきかな?2代目バジ郎…母さんが俺のハーブたちに名前を付けてるけど、名前の書かれたポットから移るし変えてもいいだろうか。
「タラごんはどうかなっと…お!新芽が生えてきてる!この子は去年からだし植え替えをするにしても来年かな?う~ん、やっぱりスパイシーで甘いこの独特な香りが落ち着くな」
この子はバジ郎とは逆に耐寒性がめっちゃ高いから心配はしてなかったけど、それでもこうやってまたニョキッと生えてきてくれるのは嬉しい。今年は君の葉を利用した白ワインビネガーのドレッシングを作るのが目標だから良く育ってくれよ!
その後多肉植物たちの様子も確認し問題ないことを確認すると、かるーくストレッチをして眠りにつく耕司。明日の朝食は菜の花のお浸しでも作るんだ…
「……何故かフェルに煽られた気がする」
翌日目が覚めた耕司は、フェルにそれはもう美味しそうにミネストローネを目の前で食べられるという夢の最中でカッと目を見開いていた。丁度4月になるってのに、何でこんな夢なんだ。
「俺が昨日の最後の方に朝食のことを考えていたからか?それともフェルにウィーツさんが作る料理の感想を依頼したからだろうか?」
そうだとしたら夢の中に現れるのはやめていただきたい…千切りに切られてカリッカリに焼かれたジャガイモらしきガレットも美味しくいただきおってからに。夢の中なのはわかるけど羨ましいぞ!
「そんなこと言ってないでログインで確認すればいいんだけどな。でもまだ7時前か」
昨日に比べるとちょっと遅いけど、普通の学生の起床時間で考えると健全かな?姉ちゃんと同じく俺をゲームに誘う奴は、春休み中はゲームで残りは寝るって不健康生活宣言してたけど、家的に許されないだろうな。確かMCOをやるって言ってたけど、連絡が来ないのはやり込んでるからだろう…禁止されなきゃいいけど。
「う~ん、流石にこの時刻だと野草採取に行ったら朝食が遅れるし、何なら外は小雨気味か」
朝のストレッチを行いながら今日は何をするか考えたが、カーテンを開くとポツポツ雨が降っている。道路が黒く湿っているから結構長いこと続いてるみたいだし、河川敷に行ってもぬかるんで滑りやすいだろうし危ないか?
「大人しく昨日摘んできた菜の花とヨモギを茹でるか」
結局野草料理は作るようである。
キッチンに向かうと母さんが朝食の準備を始めていたんでお浸しを作るついでに手伝い、父さん姉ちゃんと順番に起きてきたので料理を運んで食べ始めた。昨日落ちる直前にメッセージを確認したけど風呂入ったってのが無かったから、姉ちゃんはあの後まだゲームをやってたみたいで眠そうな顔をしている。その内怒られても知らんぞ?
「――にがっ!?あとからい!?ナニコレ!」
こっくりこっくりとしながらも朝食を口に運んでいた姉ちゃんが、ビクッとしながら叫んだ。驚くのはいいんだけど、足をこっちにぶつけてくるのは朝から痛いんでやめてくれ。
「昨日摘んできたヨモギを使ったお浸しだな。それとアブラナの中にカラシナが混じってたかな?まぁどっちも菜の花で味は基本変わらんしいいでしょ」
「違いすぎて良くないわよ…おかげで目は覚めたけど」
それは重畳だ。なにせ
「夜更かしは程々にって言ったわよね?」
良い笑顔で母さんが怒っていますからね……
ハーブ栽培は簡単といえば簡単ですが、ずっと同じ土だったりポットの大きさがあっていなかったりすると枯れたりするのでそこだけご注意を。
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