111話 予定と複製
プロング再登場。
食いしん坊な奴だなぁと横目で見ていたのを察せられたのか、肩の上でグワングワンと暴れられた…頭の上からポロポロとおやきの食べかすがそれなりに落ちてきたぞ!やっぱり溢してんじゃねぇか!
「というかさっきも言ったけど、村の中じゃないんだから飛べるだろうに…十分疲れも取れたろ」
「甘えてるのでしょうなぁ」
「櫛使うかい?」
「家の前に着いたら使わさせていただきます!」
今使っても、まだおやきを食ってるから意味ないと思うんだ…そうやって少しずつちぎって食べるから破片が出るんじゃないか?
『むぬぅむ』
こうやって食べた方がゆっくり食べられると…もう好きにしてくれ。
「そう言えば宴会についてなのですが、何時が宜しいですか?」
「え、俺が決めるんですか」
「勿論ですとも。問題を解決した当事者ですからな」
「むしろあんたしか決められないよ!」
大分責任重大!?う~~ん…この世界基準で考えると明日は寝てて明後日だと早すぎる気がするから、明々後日とかどうだろうか?そうなるとリアルではまた深夜までゲームをやることにはなるけど、春休みの特権てことで!――実際はモルトが農家の就寝時間を基準としているだけであって、そこまで深夜というわけではないのだが。
「明々後日…3日後のお昼以降とかどうですかね?」
「3日後であれば十分に準備もできそうですし問題ございませんよ」
「それなら明日からは村のやつらにも知らせて早速準備だね!」
「となればプロングにはそれも含めて先に伝えておくべきか…裏の畑の野菜たちも存分に使いたいですからな」
「おお!今から楽しみです!」
山の問題を解決したから魔力が畑に伝わるようになった筈だし、野菜に果物達の品質も良くなっているだろう…めっちゃ収穫手伝いたい!けど明日の収穫だろうしどうにも出来んか……流石に徹夜はバレるしゲームを禁止されかねん。
『んぅ!』
「フェルも楽しみか…そういや行動は家の中ぐらいって言ってたけど、明日フォルクさん達は作業でいないこともあるだろうし、そん時はどうするんだ?」
『ねぅ』
俺の所で一緒に寝ると…自由だな。
その後村の門を抜けすぐ近くのプロングさんの家に向かうと、丁度雑貨屋での仕事を終えたプロングさんと鉢合わせた。挨拶もそこそこにパネットさんが熟考し出してしまったので、ピリンさんと共に山の前に居ると伝えると「……良いもんが見つかったんだな?」ってため息をつきながら後で迎えに行くと言われた。この感じからすると昔からの癖なんだろう…
「ああそれと、明日に我が家の息子の部屋の内鍵を複製するのと段差付きの台座を用意できんかね?」
「複製に台座だぁ?…あぁそこのドライア『ふむぅ!』……フェル坊が使うやつってことか」
「そういうこったね!」
「となると素材は軽い方がいいか」
「そうだな。首から下げて使うことになるだろうから、軽銀製が良いのではないか?」
そういや息子さんの部屋の鍵は俺が持ってるから、新しく用意する必要があるのか。そんでやっぱり小さいマジックバッグでもいいから準備した方がいいな…
「えっと、鍵って使いますか?」
そう言ってマジックバッグの中から鍵を探し始めるモルト…なんじゃこの木材と野草ばかりのバッグは!最高だけど探しにくいわ!
「ああそいつは用意せんでもいいぞ」
「でも複製するのなら元がないと…」
「あのドアの鍵を作ったのは俺だからな。そう作るのかは設計図もあれば数値も全て残ってんだよ」
「なんならこの村の鍵は全部プロング製だからね!」
それ防犯的にどうなんだろうか…プロングさんであれば全部の鍵を用意できるってことだし、設計図を盗まれたら大変なことになるんじゃ?
「微妙な顔をしてるね?」
「アレだろ、俺なら鍵を複製できるから人の家入りたい放題って思いついたんだろ?」
「ええまぁ…」
「それについちゃ、その住民から依頼がないと作れねぇようにしてっから大丈夫だ。ついでに設計図やらは盗まれねぇから安心しな」
「契約書を書いて縛ってありますからな」
あ、そこらへんはキチンとしてるんだ。
「契約書を用意して縛ったのは俺だけどな。多少は仲間も疑えってんだ」
「お前なら問題ないだろう」
「それでよーく苦労しただろうに…」
……うんまぁ、信頼って素敵じゃん?
懐に入れるととことん気が緩む。
第2章も起承転結で言えばようやく結付近まで来ました…
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