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M・C・O 植物好きの道草集め  作者: 焦げたきなこ
第2章 生まれたての妖精
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110話 居残りと扱い

似た物主従。

 こちらがジーッと見ているというのに、まるで見えていないように惚けているパネットさん。いやまぁ上向いてるから見えては無いんだろうけどさ…5人から見られて視線凄いと思うんですよ。

「お、動いた」

『んぬぅ~』


 そうだなフェルよ。今度は下向いて真剣な顔でブツブツ何かを言ってるなー…メイラードやこれに合う料理はとか聞こえてくるし合う食材について考えているんだろうけど、もしかしてまだ片方しか味見してなかったりします?おやきも食べ終わっていないんですが…

「ありゃあ…これは長くなりそうだわー」

「かなり気に入ったようですね。先ほどから少量を口に運んでは空気を含ませて香りを確認したり、目をつぶり細かい味わいも逃さないようにしていますから」

「ただ口に運ぶたびにあの抜けたような顔をするから、時間が掛かって仕方がないよ!まだ薄い方しか食ってないってのに」

 やっぱり片方しか味見してない。


『あぅ』

「え?俺も似たような顔をしてたけど短かったと…いやいや、あそこまで溶けた顔はしてないだろ?」

『んにゃ!』

 溶けた顔というかアホ面だったと…そんなことを言う口はその口かね?ほーら出来立ての餅みたいに伸ばしてやるぞ!

「変な顔はしてたよ!ねぇ旦那」

「まぁ、幸せそうな顔はしておりましたよ?私たちも味が良く笑顔にはなりましたがね」

「……マジですか」

 苦笑するフォルクさんを見ると、本当に何とも言えない顔をしてたのは事実なようだ。リアルでも旬で当たりを引いた野菜や野草やらを食ってると、姉ちゃんから変顔をやめろと言われたことはあるけど…取り敢えずだ。


「すまんフェル。お前の行っていたことは事実なようだ」

 もちもちしてた顔から手を放して謝る。後ろでいいなーと言ってくる人がいるけどそこは無視だ。

『う』

 若干楽しかったから別にいいと、ありがてぇ。

『ぅあ!』

「ただ謝るのならおやきをもう1つよこせと…バーンベリーのでいいか?」

『ん!』

 大歓迎なようだ。どうせなら割って少し濃い方のシロップを掛けてっと――気のせいじゃなければまた圧がやってきたような…気のせいってことにしとこう。彼女は今惚けているんだから。


「ほれ、コクも増えて後引く辛さがより楽しめると思うぞ」

『んん~♪』

 旨いと、そりゃ良かった。

「にしても…アレどうするんです?」

「どうするって言ってもねぇ…邪魔をすると予備動作なしでパンチやらが飛んでくるからどうしようもできないね」

「相当に品質等が良くないとああはならないのですが…」

「品質8って高いですかね?」

「ぶっ!?8ってほぼ最高級品じゃない!」

 最高級品レベルの物が序盤で手に入っちまったよ…食べ物だからまだいいけど、枝とか木材を杖に加工しても、<レベルが足りません>とか言われる気がしてきたぞ!本当に何でこんなところに配置したんだ運営!


「これは日が沈むまでどうしようもなさそうだわ…身内のことだし私が残って次に移る前に帰らせます!意識が戻ってる間に夕食の準備って言えば大丈夫なのでー!」

「それしかないかねぇ」

「タイミングを逃さないように注意するのですよ」

「駄目だったら置いていきます!」

 それでいいのか…まあ慣れてそうな感じがするしいいのか。

「そうとなれば片づけか…ほら、割った半分は後でやるから飯顔妖精も手伝え」

『んぐっ!?』

 そんな顔してないって?鏡持ってきてやろうか。




 味見をしようと言ったのは俺なのでお詫びに何かできないかと言ったら、今度フェル用のアクセサリーを作らせてほしいとの事だった…俺からすれば得しかないし了承して別れたんだけど、お詫びがそれでいいんだろうか?

『んふ~♪』

 当の本人はまだおやきを大事に食ってるし。頼むからシロップだけは服に溢さないでくれよ…既に俺の頭にポロポロ落ちてる気はするけどさ!


「夕飯が入らなくなるぞ」

『!?…んん!』

 これは別腹だから大丈夫って…その小さな体のどこにあるんだ。

「そういや、お前って俺が寝ている間はどうなるんだ?」

 夕飯の事で思い出したけど、俺はこの後ログアウトするからな。流石に日が変わる前には風呂を済ませて寝る準備はしておきたいし…どっちでも寝るからややこしいな。


『んん~むぅ』

「基本的には一緒に寝るけど、家の中とかであれば自由に動けると」

『ん!』

「成程…明日は1日中寝ているかもしれんし、そうでなくても結構長い間寝るときもあるけど大丈夫なのか?」

『ぬぅ』

 その時は殻にこもる?よく分からんけど大丈夫そうなのは分かった。


「ふむ、明日は起きない可能性があるのならばフェルくんは預かっていましょうか」

「え、いいんですか?」

「構わないよ!家であれば動けるってんなら動いていた方が賑やかであたしたちも嬉しいさね!」

「お前さんは明日の料理当番で作りすぎても大丈夫だからじゃないのか?」

 それもあるねぇと笑うウィーツさん。気を使われている感じがちょっとするけど、どうせなら自由に動いていた方がフェルが嬉しそうなので言葉に甘えることにした。


「良かったな」

『んぬ!』

 これで明日もご飯が食えるって?…やっぱ飯妖精じゃねぇか。

運営的にははもっと後に討伐されると思っていました…なんなら隠し村ですし。


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