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M・C・O 植物好きの道草集め  作者: 焦げたきなこ
第2章 生まれたての妖精
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108話 敷物と実食

おやきおやき書いていると食べたくなってくる…

 その後もウィーツさんと意気揚々に戻ってきたパネットさんそれぞれに、小皿に載せたかぼちゃおやきを渡していった。ピリンさんだけ本当にかぼちゃが入ってるか疑ってたけど、鑑定結果がそうなってるから安心して欲しい。あなただけ何故かニシヨモギやセリのおやきだったもんな……ん?フェルはどうしたのかって?ここにいるぞ。

『む~』

「そうむくれられてもな…トレーは俺が持ってるし仮に渡したとしてもその体でどうやって支えるんだ」

 間違いなく落とすだろお前さん。それでもう一個だなんて言われても絶対に渡さんからな…おやきは無限にあるわけじゃないんだから。


『んや!』

「あれなら大丈夫だろって…確かに」

 知らぬ間にフォルクさんがあの時のレジャーシートを敷いて、皆さんそこに座っていた。正直味見レベルだから試食みたいに立ち食いでいいだろうと思ってたけど、座る方法があるならその方がいいよな…盲点だったわ。


「でも、誰も食べてない…俺が座るのを待ってる?」

『あぅ!』

 なら早くいくぞと俺の足を引っ張るフェル。行くから落ち着けって!それで突然手が離れて地面に手が付いたら洗い直しだからな!

『んむ…』

 俺の思いが通じたのか引っ張るのをやめ俺に手を伸ばすフェル。手をつなげってことね。


「お待たせしました」

「いえいえ、私が勝手に準備したことですから」

「全員で食ったほうが旨いからね!」

「フェルちゃんと食べれば絶品に決まってるわー!」

「……早くメープルシロップを下さいな~」

 若干1名が不満だったようだけど、本命の物をフォルクさんが確保していたからどうにもならなかったようだ。折角の味見だから俺が持っている濃縮樹液を提供する気満々だったんだけど、誰も必要ないというかフォルクさんが用意しているから小皿とおやきを受け取ってきなさいってトレーを渡すときに言ったらしい…だからパネットさんが物欲しそうというか何か言いたそうな顔してたのね。


「今出すから待たんか…ほれ」

 そういうとフォルクさんは2つの小樽をを取り出した。よく見ると片方の樽は箍――樽が崩れないように抑える輪っかの部分の事――の部分が薄い茶色の枝で、もう片方が黒い。マジックバッグや鑑定しなくても見分けがつくようになってるんだな…意味があるのかは分からんけど!


「これよこれ!早速楽しませてもらうわ~!」

「独り占めはダメだからねお母さん!小皿に入る分が溜まったら交換だからねー!」

「こりゃあたしたちに回るのは遅れそうかね?」

「大丈夫だろう。こうなっても良いように、小皿でも底が浅いものにしてある…ほれ」

「全然入らないじゃないの~!」

 既に対策済みでしたか。醤油の小皿みたいに浅いタイプのやつだなーと思ったけどそんな理由だったのね…おやきが載せやすいようにかと思ったぞ。


『んむぅー!』

「わかったわかった。俺たちも用意するか」

『あぃ!』

 小皿とかぼちゃおやきを取り出し、更に濃縮樹液をそれぞれ出す…一瞬強い視線を感じたが気のせいってことにして少しずつ小皿に入れてっと。よし!

「フォルクさん達も…大丈夫ですね」

「ええ」

「早くしないとフライングしちまうのはいるけどね!」

 確かに、1人すごーく小皿を見つめてる人がいる…あ、生唾飲んだ。


「えーっと…フォルクさんお願いします」

「私がですか…では、恵みに感謝を!」

「感謝を!」

「ありがたくいただくよ!」

「いただきまーす!」

「良い甘さと香りだわ~」

 もう食ってる人いる!




 食欲を抑えられなかった人が祈りを無視して味見を始めてしまうというハプニングはあったが、俺自身非常に楽しみにしていたので気持ちはわかる。樽でめっちゃ持ってるから多少冷静に慣れていたけどな!まぁ冷静というか多すぎて引いただけだけど…それはどうでもよくて。

『ん~♪』

 フェルが早速指につけた樹液を舐めて甘ーいと喜んでいる…辛いのが好きなのにこっちも行けるのか。まぁ子供だし甘いものは好きってことなのか?あと植物由来だからドライアドからしたら好物…これも後で考えればいいか。


「にしても指じゃなくてスプーンで…そういや無いな」

 しまった、フォルクさんに貸してほしいって言い忘れていたか!指だと垂らしたのが服とかについてベッタベタになりそうなんだよなぁ。

「スプーンなら…はい!ここなら熱くないから大丈夫でしょー」

「お、ありがとうございます!」

 そういやピリンさんも持ってるんだったな。小皿に使いやすいティースプーンサイズだしかなり使いやすいぞ。こういうのもちゃんと準備しておかないと…なんか数が必要になりそうな気もするし。


「ほら、ピリンさんにお礼言って使うんだぞ」

『ん…あぅ~♪』

「ぐふっ!」

 スプーンを受け取った後にフェルがありがとーと良い笑顔で元気よく言ったら、ピリンさんが仰向けにぶっ倒れた。

『ぬぅ!?』

「あー…大丈夫だ。気にせず食べな」

 ハートの眼を見るに飽和して気絶しただけだから…フェルは慣れてきたのに何でこうなる?

尊いが鼻から出ていないだけましかもしれない…108で煩悩の数なのに欲にまみれていないか?


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