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M・C・O 植物好きの道草集め  作者: 焦げたきなこ
第2章 生まれたての妖精
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107話 順番と衛生

色々と落ち着いてきたので、更新を2日ごとの隔日投稿で頑張らせていただきます!


最近確認したら1つの話がリアクション100いっていました!ありがとうござます!

 俺がメープルシロップの注意点を思い浮かべている隙に、手に残していたおやきをフェルがスッと奪ってパクついた。せめて手を洗ってから食え!

『むぐっ…んや!』

「小腹がすいたって?確かに少し満腹度が減ってるか。分かった、それだけだぞ」

『ん~♪』

 やったーと嬉しそうに頬張るフェル。ただなぁ


「かぼちゃのおやきならこの甘いメープルシロップを掛けたらまた旨くなると思うんだけどなー」

『んむぅ!?』

 先週あたりに収穫したっていう、まだ追熟しきってないカボチャを使わさせてもらったから旨いけど本当に素朴な甘さになったんだよなぁ。その甘さでも十分かと砂糖を加えずに皮ごとペーストにしたんだけど、そこにこの濃い方の濃縮樹液(メープルシロップ)を加えたらカラメルっぽさも加わって間違いないと思う…なんだねその手は?


『……ん?』

「まだ貰ってないって?俺の手から無くなってるし――口の周りが凄いぞ」

『あぅ…やぁ!』

 あ、ホントだと口を拭う。そして何事もなかったかのようにまた手を出す…何故拭ったほうの手を出すんだ。


「はぁ、もう1個だけだぞ」

『あぃ♪』

 我ながら甘いとは思う。でも、更に旨くなるって言った手前あげないわけにもいかん…それに植物素材だから共有はしたいし。

「それで――皆さんもですか?」

 フェルの後ろには綺麗に並んだ4人の姿が。さっきまでやんややんやと樹液の取り分やらで揉めていたというのに、おやきに掛けるって話になったらパタリとやんでこの始末よ。見事にフェルの後ろはパネットさんだし…だが残念だったな!


「手を洗った人からってことで」

「おや、では私が一番ですな」

 そう言ってフォルクさんは水球を生み出して手を洗い始めた。キチンと前と同じようにフェルも手が届くような大きさになっている…器用だなー。

「はい!次私でお願いしまーす!」

「んじゃその後はあたしかね?」

「…ぬかったわ~」

 がっくしと項垂れるパネットさん。おやつというか昼食の時に見たけど、予想通りこの中ではフォルクさんしか水魔法は持ってないようだ。


『…ん?』

「俺?俺も水は出せるけど、ボールとバレットだから手は洗えんぞ」

 自分自身の魔法自体でダメージはないっぽいから俺だけなら洗えるけど。おやきを仕舞い、ウォーターボールを唱えその水で洗う…水滴が付かないから便利だな。

『ぬぅ~』

「納得いかないって言われても仕方ないだろ。シロップは掛けてないけど、1つは食ったんだから最後に並べって…あくまで味見なんだから」

『むぅ』


 不満げにウィーツさんの後ろに並びに行った――あれ?ウィーツさん?

「……パネットさん。俺の前で手を構えて一体何をしようとしてるんです?」

「そのウォーターボールを飛ばしてくれれば洗えると思って…ダメージは無いようにうまく流すから行けるはずよ~」

 はよ最後に並んでください。




 むくれるパネットさんをよそに、水球で手を洗い終わったフォルクさんがこちらにやってきた。

「ほれパネット、そうしていても食べるのが遅れるだけだぞ」

「……むぅ。分かったわよ~」

 自分だけ遅れるのは嫌なのか、渋々手を洗う列に並ぶパネットさん…何というか、いじける妹をたしなめる兄って感じがする。


「そういえば、あの水の玉って目の前に居なくても維持できるんですね」

「ええまぁ、前回は久しぶりでしたので見届けていたのですよ…一応キュアにクリーンという光魔法との併用ですので。使い慣れてはいましたが今は水道に石鹸もございますし、畑で汚れたとしても井戸で十分ですから」

 ギフトのアクアだけじゃなくて地味に高度な魔法なのかあの水球。やけにバーンベリーの果汁が綺麗に落ちると思ったんだ。

 ただ結構便利だと思ったけど、確かに豊富に水がある村じゃ使う機会がないのか…そういやキッチンに石鹸あったし、広場の井戸にも置かれていから衛生観念がしっかりしてるんだなファティリ村。旅団時代の経験とかだろうか?


「もし可能でしたら、そのアクアの小さい版を出せますか?俺だけウォーターボールだけなのは渡す人間として良くない気がして……それに小皿やお盆…トレーみたいなのって持ってますか?」

「トレーも多少であれば持ち歩いておりますし、この後他の者たちに渡しておきましょう。魔法についても勘を取り戻したので構いませんよ…いつか光魔法を覚えられた時にお教えしましょうか?クリーンまではそれなりにかかりますが」

「是非に!」

 出してもらった水球でサッと手を洗い、小さな小皿を10枚ほど受け取りながら元気よく返答するモルト。うわすげぇ、ベタつきなくサラッサラになったよ…んで今の感動が顔に出てたか?でもしょうがないじゃないか!

 腹が減りやすいフェルの手洗いに便利そうだし、尚且つ俺がその場で気になる野草やら実を発見した時に汚れた手で食ったら味が良く分からんからな!ついでにキュアが毒除去の魔法であるならば、食用だけど弱い毒を持っていたりする作物とかも安全に食えるかも……


「あ、すみません!考え事で耽ってました…どうぞ、かぼちゃのおやきです!」

 慌てて小皿におやきを1つのせフォルクに渡す。あの時フェルがバーンベリーのおやきを分けてるのを見て、ついでに1つずつ確認して分別しておいた御かげですぐに提供できたぜ…ナイスだあの時の俺よ!

「確かに受け取りました。ああ、樹液の方は回収したものから使うので結構ですよ」

「そうですか?なら半分に割ってそれぞれを試してみるのをお勧めしますよ!結構味わいが違うそうなので」

 自分で言いながら慌てて小皿をもう1つ追加で渡す。せっかくそれぞれを試すなら混ざらないようにすべきだよな!


「ほう?それは楽しみですな」

 宴の楽しみが増えるかもしれないと呟きながら、手を洗い終わったピリンさんと他の3人にトレーを渡していくフォルクさん…あれ、フェルには渡さずに戻ってきたな?

『んー!』

 何?持っておいて?どういうこっちゃ。


「フェル君はアイテムバッグが無く、脇などに挟んでおくことが出来そうになかったもので…」

「あ、なるほど」

 受け取ったとしても絶対に地面に着くな。んで間違いなくこっちに来る途中ガリガリさせるわ。

「よし!次は私よー」

「了解でーす」

そういいながら並んだピリンさんにおやきを渡していく…なんかこの並んでいく人に料理渡していくのあれだな。


「アニメとかで見た配給みたいだ」

または学食…俺の通う高校もこんな感じなんだろうなー。

フェルにトレーを渡した場合は、子供が大きなものを引きずる光景を思い浮かべていただければと。


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