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M・C・O 植物好きの道草集め  作者: 焦げたきなこ
第2章 生まれたての妖精
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106話 下山と保存

メインタイトルの下山が昔のと被ってしまった…でもこれ以外しっくりこないのです。

 その後も比較的平和に――途中でピリンさんが日が落ちてメープルシロップの分配が今日出来なくなっても良いのかと言ったら、近づいてきたパネットさんに抱えられて共に爆速下山するといったハプニングもあったが――降りてゆきようやくフェニス山を下山したとの表示が出た。


「ようやく帰ってこれたー!」

『んう…』

 赤い景色に燃えた墨の破片が飛び交いが無くなり、綺麗な青い空の元に戻ってこれた。長いこと居たから麻痺してたけど、普通上空は赤くないし鼠色の濛々(もうもう)とした煙が立ち上ったりはしてないんだ…気温もクソ熱くは無いから時間を気にすることもないんだよ。だからフェルは名残惜しそうにするんじゃない!


「いやぁ、中々に濃い木炭調達だったね!」

「明らかにそれ以外の方が濃かったが、その分の収穫もあったと考えれば悪くはなかった。と、考えておきましょうか」

「ですね」

 そうだよ、当初は宴会用でチャコールトレントの木炭を取りに行った筈なんだ。それが何故あんなことになったんだか……まぁ未然に作物の栄養不足や不作を防止できたと考えれば良いのか?


『やぁ!』パタパタ

「お前は魔力を奪ってた内のもう1体を倒せて満足ってわけね」

『ん!』バタッ!

「気に入ったようだけど、その旗はピリンさんが貸してくれただけだからちゃんと返せよ?笛もだからな?」

『やぁ~うぅ?』

 何、どうせ使うことなさそうだし貰ってもいいんじゃないかって?それをご本人の前で絶対に言うんじゃないぞ!多分立ち上がれないだろうから。ついでに肩の上で旗を振ると割とうっとおしいからやめい。


「てかまだ村じゃないんだから飛べるだろ」

『んやぅ』

「流石にずっと飛ぶのは疲れるって?…なら仕方ないか」

 俺を抱えて飛んだりもしたからな。そう考えるとこの小さい体じゃ疲れるのは当然か。


『とぁ?』

「そう言えば立ち上がれないってああいうことかって?……うん、合ってはいるけど」

 フェルが旗を使って指した先にはいい笑顔で待っているパネットさんと、駅前の酔っ払いサラリーマンみたいな体勢のピリンさん。あれは間違いなく運ばれてる途中で酔ったな…ん?降りるから旗持っていてくれって?


「待ってたわよ~」

「待ってたじゃないよ、全く!その猪突猛進なのをいい加減治しな!」

「もう何年も経ってるし無理だと思うわ~」

「本人が諦めてどうするのだ…ここまでくると否定もできんが」

「な、何とかしてほしいです…何回やられても慣れないので……」

『んぅーやぁ~?』

 ゆさゆさ

 

 気分が悪そうにしてるのを心配したのか、俺の肩から降りてピリンさんの傍に行き体を揺するフェル…アカン!

「待ってフェルちゃん…ゆ、揺らさない……うっぷ」

 案の定ナニカが口から召喚されそうになってる…でも若干嬉しそうなのは心配されているからだろうか。

「一先ずピリンが落ち着くまで樽は出さんぞ」

「そんな…ほらピリン!早く復活するのよ!」


 早く復活して~と急かすパネットさん…更にピクピクと何とか耐えているピリンさんに対して、大丈夫か~とまだ揺らしながらとどめを刺そうとしているフェル…カオスだ。




 その後揺らすのはいけないと分かったのか、または揺らし続けた結果被害が来そうなのが分かったフェルがピリンさんをジーッと見ていると、少し回復したのか徐に薄茶色の液体が入ったポーション瓶を取り出し中身を飲み込んだ。すると

「相変わらず美味しくない!でも復活!」

 一気に元気になったな。あの中身は酔い覚ましだったのか?…んで旨くないってことはプロングさんが錬金した物だろうな。

『おぉー!』

「フェルちゃん応援ありがとね!ぎゅ~ってしてあげるわ!」

『ぬ』

 ぎゅ~は嫌ですかそうですかと落ち込むピリンさんをよそに、復活したのだから良いでしょ~とフォルクさんに縋る特急配達人。


「……まぁいいでしょう」

「やった~!ほらモルトちゃんも早く~!」

「いや、俺は自分のがありますんで」

 そう言ってリザルトに出ていた濃縮樹液の2種類をポンと出す。

「無意識にピリンだけを抱えてきちゃったけど、モルトちゃんも抱えてくればもっと早く味見できたかしら?」

「多分ピリンさん以上に酔って時間掛かるだけになったと思いますよ!」

 急いでマジックバッグに仕舞い直す…だからその目線はやめるんだ!またフェルに抱えられて飛ぶならまだしも、山の凸凹を無視して直線で下りて行ったもんなこの人。よくピリンさんから虹が出なかったもんだ…いやそんだけ慣れてるのか。


「そうなったら、回収した樽は行商人に売っていましたがね」

「私でも今回のは結構きつかったからねー」

「なんなら家で全部消費してやるよ。あたしと旦那のマジックバッグなら保存も聞くし問題ないだろうさ!」

 あれ、話的に普通マジックバッグに入れた物って駄目になるって聞こえるけど…試しにおやきの皿を1種類取り出してみたが湯気が出てるし熱いままだ。これも異転人の特典ってことか?耐性薬飲んでるから熱さが分からんのが不便だ。


 うん?濃縮樹液もといメープルシロップはかなり甘いだから、カビたりしないで大丈夫だろうって?……甘い!サトウキビの汁よりも甘い!メープルシロップは水分が多いから案外短時間で腐るんだ。市販品での未開封の瓶であれば風通しのいい暗い場所での常温で問題ないけど、開けたら冷蔵庫で保存してくれよな!それでも1年以内に消費した方がいいけど。


「って、俺は誰に言ってんだ?」

『?……あぅ!』

――ってフェル!勝手におやきをとるんじゃない!

メープルシロップは本当にすぐにカビが出るので、開けたら冷蔵!因みにサトウキビの汁は甘いけど青臭いです。


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