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M・C・O 植物好きの道草集め  作者: 焦げたきなこ
第2章 1人きりの妖精
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102話 阻止と似た物親子

ネタ回と言えばネタ回。

「ああ、他の回収は休んでもらって大丈夫よ~――すぐに終わらせるから」

 そう言ったパネットさんが目の前からヒュンと消えかと思うと、フォルクさんの居る場所に大量の樽をうず高く積みながら現れた。

「えぇ…」

 さっきまでえっちらおっちらと運んでたのは何だったんだ。いや確かにパネットさんは片手に1つずつ持ちながら運んでたけどさ…あそこまで行くと機械での処理みたいなレベルだよ。

「あれはもう私じゃ止められそうにないわー。確かにこの山って一本だけ綺麗に紅葉する樹が村から見えてたけど、それがこのエルダートレントだったのね…枝に葉が無いから分からなかったわ……ってあぁっ!?」

 スポンッ!ベシッ「んぐっ!」


『んぬぅ~♪』

「はいよお帰り」

 目の前から脅威(パネット)が無くなり、腕の拘束が緩まったのを好機にピリンの腕から逃れフェルは安全域であるモルトの肩にパイルダーオンした。でも一瞬ジェットを出した後に、その勢いのまま俺の肩に飛び掛かってくるのはやめなさい。地味に衝撃が来るから!

「というか前に抱えたりするのは控えろって言われてませんでした?」

「あの時は力加減が出来ていなかったからよ!今はフェルちゃんが抜け出せなくて痛みも感じない絶妙な状態をキープできてたのよ!?」

 あー…確かにまだか弱い妖精に対して絞めるように抱き着くのは何事かって叱られてたような?


『んや!』

 明確な拒否ってわけじゃないけど、嫌ではあるって感じの動きというか感情が伝わってくるな。もしかしてテイムレベルが上がったから色々と分かりやすくなったとか?

「プイってされてますけど…キープできるからと言っても、藻掻いてる中ずっと掴んでるのはやめろって事なんじゃ」

『あぅ』

 コクコクしてるから正解っぽい。正直パネットさん達にフェルの発言を訳してもらうってのは有難かったけど、村を出た後に苦労する気しかなかったからこの変化は助かるぞ…まぁ元々ボディランゲージで多少は分かる動きはしてたけどな!


「以後キオツケマス!」

『…んぬ』

 ピリンさんが右手を胸付近に当てながら謝罪をしているのを見て、まぁ反省しているみたいだし良いかといった頷きをするフェル。確かあなたへの言動に対して胸が痛みますって動きだっけ?――でも絶対に今後もやるよな……ん?やけに強い視線を感じるような。


「あ」

 視線の方向を見ると、パネットから樽を受け取りながらもこちらをガン見しているフォルクの姿があった。もしかしてピリンさんの今の行動を全部監視してたんじゃ…

「ワタシイイコデス!」

『?』

 ゆっくりと俺の肩に乗っているフェルの手を取って、ブリキのおもちゃみたいな動きでカクカクと握手をしながら腕を動かしている。多分途中から見られてるのに気が付いてやばいって思ったんだな?そりゃあのオーラに満ちた説教を何度も食らいたくはないだろうけど……よし。


「ア、あれ?」

 突然自分に掛かる圧がなくなったことに困惑するピリン。

『ん!』

「あ、ごめんね!ちょっと驚いちゃって」

 何時まで掴んでるんだと抗議するフェルに謝罪し直ぐに手を離すが、やはり何故安全な空気になったのか分からない様子だ。


「ピリンさん」

「もしかして…何かした?」

「ええ、これ貸しってことでいいですかね?」

 良い笑顔をしたモルトを見ると、手がOKサインの形をしていた。




 そんなやり取りをしている間にも、パネットはその後も終わりが見えないだろうと運んでいた樽の山をガンガン減らしていった。

「恐ろしい速度でなくなっていく…しかもあんなに高く積んでるのに落ちる様子がまるでない」

「何時もはあんな器用なことしないのに、本当に自分の気になることになると異常なまでの繊細さを発揮するのよね。まったく…お父さんもそうだけど普段からその集中力をやってくれればいいのにー!」

『おー』

 すっかり調子の戻ったピリンさんがそんなことを言っているが、それは貴女もだと思われます…食事処(ほうよくのめぐみ)でのティラミスの種類と飾り付け凄かったもの。


 ”これは…モルトちゃ~ん!」

「うお!?」

『やぁ!?』

 ナニカを発見したパネットさんが興奮したように目の前にやってきた。今割と離れた場所にいたはずなんだけど…声も一気に近づいてきたように感じたし……フェルも驚いてパイルダーオン状態を解除して背後で飛んでる。今ジェットが体に当たった気がするけど燃えてないよな俺?


「コレ!これをなんだか教えて欲しいの!」

 布に覆われた物体を持ちながら迫るパネット。近い!近すぎてそれが何なのかも分からん!

「お母さんー!それじゃモルト君何も見えないと思うよー!それに近すぎて怖がられてるって!」

「あ、あら?確かにそうね?」

 ピリンさんからの声掛けにより爛々とした目が治まり、顔も離れていった。助かった…グラスウルフなんか目に無いレベルで怖かったぞ。


「ごめんなさいね?ちょっと驚きの物があったから焦っちゃったのよ~」

「ま、まあちょっと慣れてきましたんで」

「え?この動きに慣れるってどういうこと?」

『む?』

「いやまぁ……――皆さんのお陰で……」

「「……ご迷惑をおかけしています!!」」

 遠くの雑貨屋でも、店番中の男のくしゃみが聞こえた気がした。

未だにピリンはフォルクやパネットから監視対象でございます。ただしパネットも他からすると同じく……プロング?彼は基本的に村民からやらかさないか心配されています。

因みにモルトもやらかしているので、俺もだよなーと苦笑した顔での発言になっています。


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