100話 ドロップ品と濃縮樹液
とうとう100話!といってもまだまだ話は続きます。
木材を1か所に集め一先ずはフォルクさんが持つマジックバッグ――どうやら今いる人の中で一番容量の大きいマジックバッグだそう――にドンドン詰めていく中、ふと気が付いたことがあったので質問をしてみることにした。
「そう言えばフォルクさんってよく切り株に突っ込んで無事でしたね」
「無事とはどういうことですかな?」
「だってあれの周囲ってフェルのエディファイヤで燃えてましたし、中心なんか甕に入ってた油で凄いことになってたじゃないですか…」
考えてみれば俺はそんな中にフォルクさんを突入させる作戦を立てたわけで。他の人が何事もないようにしてたから気が付かなかったけど割ととんでもないことを提案してたよな?
「あ、確かに!お母さんとかが気にしてなかったから何も思ってなかったけどおかしいわよね?」
「私からすればこれぐらいのことは偶にあったもの~」
レイドボスレベルのことがたまに起こらないでほしい…
「ああ、それなりに有る事でしたのですっかり忘れておりましたな」
「偶にじゃなくてそれなりにあったんですね…それで大丈夫でしたか?」
「ええ、あの時はスキルで風を纏っていましたので。周囲の物は削り次第全て吹き飛ばしていたのですよ」
あの風そんな意味があったのか。その前のフォルクさんの足と右腕がでかくなったのが衝撃的でそっちに焦点がいってなかったな。
「じゃあ問題はなかったんですかね?」
「はい。むしろそこを心配してくださった事に感激しておりますよ…」
「基本私たちってぶっつけ本番上等で後のことを考えてなかったものね~」
「それは貴女とプロングが主ですよ。それで何度地形が変わったか」
「お母さんとお父さん…」
うん、本当にピリンさんを叩きつけだけの仕事にして良かったと心から思う。下手すりゃそれだけでも危なかったと思うと、周囲が熱い筈なのに冷汗が止まらん。
『ん!』
「お、サンキュー。これで木材は終わりですかね?」
「そうですな。次は枝ですが…これはそこまで数が御座いませんので後にいたしましょう」
【エルダートレント・再の枝・品質8:木材以上に魔力への親和性が高く、市場に流れることのある触媒や杖の材料としてはかなりの上位であるとされる。再生変異種のため回復魔法系統への有用性が高い】
鑑定してみたが、こっちの方が魔法使いとの人垂涎の一品っぽいな。……そんなのを20本も持ってるんだけど?もしかしてウィーツさんのスキル俺のドロップ品にも適用されてないか?
「ま、まぁ数があるのは良いことか」
「?どうかしたのー?」
『んむぅ?』
「いやこっちの話ですんで…んじゃ残りもやっていきますか」
「その残りが一番数が多いのだけどね~。なんでこんなにあるのかしら~?」
「これまた誰かのスキルが悪さをしていそうですなぁ」
目の前に広がるのは樽、樽、更に小樽と言った具合の、ここまでくると悍ましく感じる量のドロップ品。これ終わるのだろうか…
木材の時のようにドンドンフォルクさんの元にちゃぷんと鳴る樽を運んでは入れていくという作業を続けていく。樽自体が割と大きいので2人がかりで運んでいくから時間かかるなー。
「そういや、コレ中身樹液ってことで良いのかな?」
「樹木で液体って考えるとそれしかないんじゃないかしらー?」
となると俺のドロップの方にもこの樽が500個あるわけで…一体何に使えというんだ。
【エルダートレント・再の樹液・品質8:爽やかな香りのするさらさらとした、薄い甘みを感じる樹液。再生変異種の個体である為、これ単体でも体力回復の効果を持つ。飲用可:爽やかでほのかな甘みをがあり、ミネラルが多いため暑い場所での水分補給に良い。HP回復:ポーション瓶単位とした場合に、飲用で+3】
「…甘い?」
「どうしたの?」
「鑑定してみたら気になることが書いてありまして。ちょっと小樽の方確認してきていいですか?」
「気になるから私もついていくわ!」
さいですか…えーっと、小樽はこれか。予想ならこれが濃縮樹液の方なんだけど。
【エルダートレント・再の濃縮樹液(濃)・品質8:独特な香りを持ち、濃厚ではあるがスッキリとした甘みのある濃縮された樹液。再生変異種の個体である為、これ単体でも体力回復の効果を持つ。飲食可:色合いが濃く風味が強いため、そのまま使うよりはクッキーやパン生地などに練りこみ使用することが推奨される。HP回復:ポーション瓶単位とした場合に、飲用で+15】
なんか俺が作ったポーションよりHP回復量多いんですが!?いや、重要なのはそこじゃないよな。気にしたいけどな!
「ピリンさんスプーンとかって持ってますか?」
「スプーン?持ってるけど…金属のしかないから、味見しようとしてもすぐ蒸発しちゃうと思うわよ?」
あ、確かに。ここめっちゃ熱いんだったな……
この樹液は一体何なのか?
ブックマークや評価を頂けると嬉しいです!