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俺は孤高のVTuber?  〜俺が男という秘密は死んでも守る〜  作者: こっこ
VTuber企業に勤めてそろそろ一年ですが、まだ他のVTuberとコラボしたことがないそうです。
10/14

第9話 誕生日配信が始まったが、今回も平穏な配信は出来なさそうです

午後七時丁度。


会社内に設けられた7〜8畳ほどの部屋に長方形の高さの低い大きな机が真ん中に置かれ、その上には三台のパソコンが置かれていた。


そしてそのパンコンの前には燈哉、遥、美咲が座っていた。


「こんばんは!明野来海です!そして本日お越しいただいているゲストの・・・」


「早坂みなみと・・・」


「法々ミハネです!」


「「「よろしくお願いしまーす!」」」


「さて、今日は来海ちゃんの一周年記念、お誕生日配信なんだけど、どんなことをやるんでしょうか?来海ちゃん、教えて下さい!」


「はい、今回来海ちゃんの誕生日配信でやらさせていただくのは凸待ち配信です!」


美咲の質問に燈哉が答え、配信でやる内容を発表した。その内容とは、凸待ち雑談配信であった。


凸待ちとは電話などで配信に来てくれる人、つまり配信に凸ってくれる人を待ち、その凸してくれたと雑談するという配信だ。


「ちなみに今回は来海ちゃんが凸待ち初回ということもあり、凸する人は配信者限定という形になります!視聴者の方には変に期待させてしまったという方がいたら申し訳ございません!」


普通の凸待ち配信だったら人気の配信者なら会話したいという視聴者が大量にいるため、抽選が必要なくらいなのだが、今回は配信者限定の凸待ち配信である。

人の集まるハードルが非常に高くなるのは必然だ。


この配信はそもそも他のVTuberなどに凸られることが前提となる配信となるため、相当人望が必要となる。


実際、遥は自身の三周年記念日に同じ凸待ち配信を行い、誰一人としてこないまま五時間続けたというある意味伝説の配信を行った経験があり、遥は凸待ちの配信があまり好きではない。


まぁ本当は遥の場合、早坂みなみというキャラとしてぼっちだと面白いという理由でわざと誰も凸らなかっただけなのだが、本人はただ人望がないと思い込み、とても落胆していた。


遥の事例は別として、実際この凸待ち配信を上手くできる者は殆どいない。できたとしても、そのほとんどが事前に「○時に凸待ちやるから来て欲しい」などと連絡をとっている場合が普通で、どれだけ人気な配信者だったとしても、急に開催して配信者を集めることは困難である。


ちなみにこの凸待ちをやることを提案したのは美咲であり、燈哉ではない。燈哉は凸待ち配信が成功させられるなど思っていないのだ。


だが、何故今回凸待ち配信という提案を燈哉、遥は承諾したかというと、この場には人気VTuberが三人おり、総合的に見れば人望的には問題なく、また、最悪誰も凸されなかった場合でも最初から三人いるため、配信が成り立たないということにはならないからだ。


しかし、そんな最悪のパターンになることは絶対に無く、沢山凸ってくれる人がいると美咲は確信していた。


なぜ美咲はそう思ったのか。それは単純に明野来海というVTuberがいるということが理由だ。


「じゃあ凸待ち始めま〜す!」


美咲はそう言うと配信に通話を繋げた。それにあわせて配信の上に某通話アプリのグループ通話のコードを貼り付けた。これを利用することでこの配信を見た人が配信に繋げた通話に参加し、配信内に声を届けられるというわけだ。


そしてその一分後。凸待ち配信をすると発表してからもまだ三分しか経過していない。だが、それにも関わらずいきなり三人ものVTuberが配信に参加してきた。


「こんばんは〜」「お邪魔しまーす!」「やぁ、祝いに来たよ〜」


「「「え?」」」


同時に三人の声が配信に響き渡る。あまりの同時の出来事に驚いた凸ってきた三人はそう腑抜けた声を出した。


「こ、こんにちは!来てくれてありがとうございます。とりあえず自己紹介お願いできますか?」


まさか急に三人もくるとは思っていなかった燈哉だが、とりあえず場を落ち着かせるために凸してきた人たちに冷静に対処した。


初っ端からソロちゃん・ソラ様・クロコたんは神配信すぎるだろ!


と、自己紹介をする前に三人の入り混じった声だけで誰かわかった猛者視聴者のスーパーチャットが注目を集め、他の視聴者も沸き上がる。


ちなみにスーパーチャットとは配信などでコメントを目立たせる権利を購入する機能であり、よくスパチャと略されることが多い。

また、値段が高いほどコメントに使用できる文字数、表示時間が増え、色が変化するという仕組みになっており、最も値段の高い一万円以上のスパチャは赤色であることから、通称赤スパと略される。


ちなみに注目を集めた猛者視聴者からのスパチャも赤スパであった。


「えっと、じゃあ私からでいい?」


「わかった。じゃあ僕は二番で」


「じゃあ最後私」


スパチャで指摘された通りの三人は小声で順番を決めると、自己紹介を始めた。


「こんばんは!Vmove's所属、南国の歌姫こと九頭如(くずも)ソロモンです!よろしく!」


「はい、こんばんは。同じくVmove's所属、北東南西(きたとなんじ)ソラです。今日はお邪魔させていただきます」


「ん、どうも。Vmove's二期生、黒猫の犬神(いぬがみ)クロコ。今日はよろしく」


「と、いうことでVmove'sの三人がやってきてくれました!」


「え、事前連絡した?」


「してない!してない!」


急に豪華なメンツが同時に現れたことに違和感を覚えた燈哉は美咲にそう聞く。それに対し正直に答える美咲だが、燈哉は全く信用していなかった。


「本当に一切してないよ。私はこの配信を普通に見る予定だったけど通話するっていうからただ参加しただけ」


「僕もそうだよ。まさか二人も同じことする人がいるとは思わなかったけどね」


「うん、私も同じ」


美咲を疑っていた燈哉だったが、三人の先輩に次々と美咲が正しいという旨の発言をされたため、燈哉は認めざるを得なかった。


自己紹介が軽く終わったここで一度参加した三人について補足していく。


まず一人目、九頭如ソロモン。


彼女はVmove's創立初期のメンバー、つまり九帝の一人であり、歌枠での活動がメインのVTuberだ。

九州出身の彼女のアバターは、葉っぱで作られたビキニの水着を着ており、褐色の肌を多く露出している。また、暗い茶色で長く美しい髪にはハイビスカスで作られた花の冠がおかれ、満面の笑みを浮かべる美少女の姿はまさに南国の歌姫を体現していた。


次に二人目、北東南西ソラ。


彼女もまた九帝の一人で、女の人ながらイケメンな振る舞いが人気のVTuberだ。

そんな彼女のアバターはすらっと長いマゼンダの髪が特徴的なイケメン美女で、白いワイシャツに、髪と同じ色のネクタイ、そして黒いスーツのズボンを身につけていた。

また、胸が大きく、ワイシャツがギチギチになっており、胸に沿ってなびくネクタイの下端は体から離れ、ぶらぶらと揺れていた。


そして三人目、犬神クロコ。


彼女は九帝と呼ばれる人たちの一個下の世代で、なんともいえない動物っぽさが人気のVTuberだ。

アバターは黒い三角のモフモフの耳が黒く長い髪に着いており、懐っこそうな可愛らしい顔立ちが特徴的だ。

ちなみに本人は黒猫と公言しているが、名前に「犬」がついていることから犬か猫なのかはいまだに意見が別れているらしい。

また、背がとても小さく、本人はコンプレックスを抱えいるとのことだが、それもまた可愛らしいさを際立たせている。


そのような三人が集まったということはとても貴重で豪華なことなのだ。

チャンネル登録者数でみても来海(燈哉)が265万、ミハネ(美咲)が155万、みなみ(遥)が270万、ソロモンとソラが280万、クロコが250万となっており、総チャンネル登録者数は1500万人という馬鹿げた数値を誇っていた。


また、クロコの言っていたVmove'sの○期生の概念についてだけ最後に補足する。Vmove'sでは箱推しの概念の一つとして、デビューした時期が近い者同士を○期生と呼ぶよう定められいる。

第一期生が九帝と呼ばれる人たちであり、今から7〜8年ほど前にデビューした者たちで、現在は二人引退して七人が残っている。

クロコは二期生で今から5〜6年前にデビュー、みなみ(遥)は3〜4年前デビューの三期生、そして来海(燈哉)は1〜2年前デビューの四期生となっている。

現在のVmove'sでは今年デビューの五期生が一番新しく、既に2〜3人ほどいるとのことだ。


補足が多くなってしまったが、要するに凄い先輩三人が来たとさえわかってくれていれば問題なく話にはついているけるはずだ。


しかし、凄い先輩が一瞬で三人も集まったのは何故だろうか。その理由は単純でそれほどまでに燈哉の「明野来海」は注目を集めていたのだ。


たった二ヶ月でYtube登録者数100万人突破というVTuberだけでなくYtube全体として見ても圧倒的な偉業を成し得て、一年も満たずにたった一人でVmove'sの主戦力となった人材。実際同期と比べても一人だけずば抜けている。


そんな人材が出した他配信者とコラボをするという発言。


それには長く活動し、チャンネル登録者数や、配信の同接者数などの数値が伸び悩む先輩たちが目をつけないわけなく、コラボの機会を伺っていたのだ。


一緒に歌を歌う配信やりたい・・・!


今度僕の配信に来るよう約束させたい・・・!


これを機に仲良く・・・!


三人の先輩にそれぞれの思惑がある中、配信は始まっていくのだった。

キャラクターが増え、名前が混乱しやすくなったため、次回以降以下のような登場人物紹介を前書きに載せます。


※キャラの名前 ⇆アバターの名前 となっています。


野治燈哉(偽名:佐藤綾芽) ⇆明野来海(4期生)

男であることを隠し活動するVmove's所属のVTuberの中の人。アバターは銀髪で白衣の研究者風な見た目の美少女。


大政美咲 ⇆法々ミハネ(4期生)


実は現役JKの明るく元気な子。アバターは少し青みを帯びた黒い髪で、黒いローブなどを纏い、法律家のような見た目をしている。


稲葉遥⇆早坂みなみ(3期生)

燈哉と同い年の可愛らしい美少女。隠キャでコミュニケーションがあまり得意ではない。アバターは真っ白い髪で、生徒会長のような見た目をしている。


大村莉音 ⇆神楽阪サツキ(1期生・九帝)

長くVTuberを勤める燈哉たちの大先輩。アバターはとてもスタイルの良い美人な先生の見た目をしているが、本人がエロいことが好きなため、その旨の発言が多い。


? ⇆九頭如ソロモン(1期生・九帝)

アバターは葉っぱでできた水着を来た南国の歌姫のような褐色の肌が特徴的な美女。


? ⇆北東南西ソラ(1期生・九帝)

アバターはスーツに身を包んだ赤紫の髪が特徴的なイケメン美女。スタイルは抜群。


? ⇆犬神クロコ(2期生)

アバターは黒い髪にフワフワなケモ耳を携えた美少女。背が小さく可愛らしい。

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