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十八の歳

作者: 岡田公明

十八の歳になる

なんだか、特別な気分だ


どの歳も、一度キリしかないとは分かっているのに

なんだか、とても不思議な気分だ


その歳が何を表すのかは、わからない

でも、案外普通の歳で、それまでとは変わらない

そんな気がした。


二十といえばキリがいいだろう

ハタチとも読むが、十八にはそれはない。


選挙権は手に入るし、高校は卒業するし結婚もできる。

でも、お酒も飲めないしタバコも吸えない、そんな歳だ。


ただ、僕にとって、それは特別だ。


虫がさなぎになり蝶になることはあっても

蝶から蛹になり、虫に戻ることはできない。


一度蝶になってしまえば、その美しい姿で飛んでしまえば

人は、それを手に入れたがる。

ただ、それを恐れて、虫には戻れない。


同じく人も、学生時代は、子供から大人に憧れるが、一度大人になってしまえば

子供に戻ることはできない。


歳は自動的に死まで加算され続ける。

そして、大人になって、自立し独立し孤独になり、最後はどう頑張っても一人で死んでしまうのだろうか


十八になる。

とても、特別な気分だ

R18のゲームはできるようになるし。

働くこともできるだろう。


ただ、働くということは、離れるということ

社会という大きな海の中に、身一つで泳ぐということ。


我々は、餌の取り方を知らない魚で

ずっと、温かい巣の中で育ってきた。

養殖されていたのかもしれない。


そんな魚が、いきなり海に放り出される。

その中で、生きることができるだろうか。


どれだけ、知識があったって、それはあくまで机の上に並んだ紙と同じで

それは、どれだけ知っていても、あくまで疑似のものでしかない。


私は、社会を知らない

でも、社会にはサメがいてクジラがいて、そして陰から侵食し、生活を蝕んでいくゴミもある

ゴミが、社会を汚染し、生活を落とし、我々を高みから眺める


そして、もがいて、もがいて社会を生きる


そんなものだと、私は思う

ただ、私は社会を知らない。


今しか知らない。


十八になる。

ここは、人々にとっては、Y字の道だと思う。

あるものは、進学に誠意を尽くし

あるものは、就職へと向かう。


進学するものは、その先に希望を持ち

就職するものは、今に希望を抱いている。


果たしてどうだろう。

どちらが正しいのだろうか。


今までは、まるでレールの上を走るように

当たり前に学校のランクを上げていった。


そこに、夢や未来を積んではいない。

ただ、先に目的地があるから、そこへ向かうために必死に勉強してきた。


しかし、その目的地が分かれてしまった。


やりたいことは、なんだろうか?


私は、今までもがいていた。

そして、生きてきた。

親がいて、道を示してくれた。


聞けば答えてくれた。


でも、親はその道を教えてくれない。


十八になる十八になる


どこに、答えがあって

どれが正しくて、どこに向かっていけばよくて

何をすれば幸せになるのだろうか。


もし間違えれば、どうなってしまって

私は、いつ死んでしまって

その時に、親はいるのか はたまたいないのか


そんなのは、分からない

ただ、一歩ずつ大人になってしまう


私は、なりたくない

私は、この日々を生きてきたものを失いたくない

もっと勉強をすればいいのか。


はたまた働きに出て、奉公し親への返しをすればいいのか。


分からない。


何が、正しいのだろうか。


十八になる

十八になってしまう。


そして...そして...

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