微細なピースであっても
ただ強ければ良いのではない。柔軟性やスマートさも必要である。特殊部隊員とは、本来そう言うものだろう。ただ強ければ良いのなら、ボクシングのチャンピオンや各格闘技でチャンピオンにでも、なれば良い。強さの意味1つとってみても、複数個意味が存在する。
では、如何様な強さがSBU隊員には必要なのか?それは、訓練の中で見出だして行かなければならないテーマの1つとも言える。強さだけ、スタイルだけを摸倣していても、他国に認められる部隊にはならないし、ましてやシールズなど諸外国海軍特殊部隊を越える事など出来ない。大切なのは、SBUがどのような組織になりたいのかという事だ。これと言う完成形の形もしっくり来ていない中では、個人としても方向性が掴みにくいものになってしまうだろう。大局的なビジョンを持って事に臨む事が大切だ。栄田三佐はよくこう言っている。
「こうやって特訓するのは、闘いに勝つ為じゃない。SBUは、闘いに勝利する為に出来た部隊でもない。特殊な状況で戦局を打開する為の起爆剤に成るために我々がいる。闘いに勝つ為の部隊は他に山程いる。そこを勘違いしている隊員が多い。」
要するに、SBUは特殊状況下で活躍する戦局を打開する為の最終兵器であって、歩兵や戦車大隊、護衛艦隊のような通常戦力とは位置付けも、意味合いも全く異なるという事になる。任務の成功は、直接的には国家の勝利に貢献はしないものなのかもしれないが、それでも栄田三佐はこうまとめる。
「結局の所、我々の存在意義は間接的脅威を、排除する事にあり、必ずしもそれらが国家の勝利の一片になっているとは言えないのかもしれない。それでも、我々は微細なピースの一部であっても、与えられた任務を全うしなければならない。」
と、日々口にしている。




