マスターせよ!世界の言語
青野にも、苦手な訓練があった。外国語の訓練である。SBU隊員は、他国船籍の船にも対応出来るように、英語は勿論アジアから欧米の主要言語をマスターしなくてはいけないのだ。とは言え、会話が出来る程度で良いが…。
青野はどういう訳か、言語だけが苦手だった。担当教官もこう口を巻く。
「お前は言語をマスター出来れば言う事なしなんだがな。」
と。青野は努力を怠っていたわけではないが、元来の努力家型タイプの彼にとっては、言語ではその努力が実を結んでいなかった。そこで青野は聞き流しを実戦してみる事にした。TVでCMが流れているのを見て、これならイケると思った。と、半身半擬で取り組んだが、飛躍的な成績アップにはつながらなかった。
座学で学んだ事を現場でどう使うか? それがSBU隊員の使命だった。倉岩曹長もかつては言語で苦労した事を、青野に語っていた。
「青野、苦手な分野は誰にでもある。だから気にする事はない。分からなければ聞けば良い。出来ないから出来る様に努力する。それが大切なんだ。俺も、言語には苦労したよ。まさか自衛隊に入ってまで外国語を学ぶとはな。英語は出来ないと不味いぞ。それ以外は日常会話位のレベルが出来れば可を貰える筈だ。試験ならこの俺でも通ったんだ。安心しろ。お前にも出来るよ。ファイト!」
SBUでは、毎年夏に語学認定試験という物がある。これは外国語試験とも呼ばれ、合格点(7割)に達しない人間には、一ヶ月に渡る言語強化合宿に参加しなければならない。
この様にして、SBUは高い語学能力を維持している。その為に青野は必死で勉強している。




