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黒い桜~The black cherry blossom ~  作者: 佐久間五十六


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井口二佐の憂慮

 SBUには、実戦経験が無い。井口二佐はその事を日々憂慮していた。

 「我々は設立以来、訓練と演習にしか参加した事が無い。これでは本当の我々の実力は分からない。最も、今の日本の国際情勢を鑑みれば、SBUが出動する様な事案は起こりにくい。そんな事案が発生すれば、普段騒がれないSBUもメディアの注目も増すだろう」

 「しかし、そこで実力を世間にさらすのは本位ではない。何故なら日本国憲法が交戦権の行使を基本的に認めていないからだ。日本政府の解釈上は集団的自衛権の行使は違憲ではないとの、認識だがその解釈は非常に場当たり的で、歴史的に見てもなし崩し的で都合の良い解放変更だが、それでは現場が困る」

 「SBU出動案件は、武装したテロリストや武装した正規兵士でなければならない。そう言う状況でなければ、銃を向けられると言う事が確実な交戦権を行使しなくてはならない状況でも、一度命令があれば、我々は命を賭して不安要素を排除しなくてはならない。そこに全力を賭けている事に頭は集中する。というか集中させて欲しい。法的な不備を理由に部下を失うのだけは御免だ。」

 「政治家にはどうも、その辺りの事がお分かり頂けていない様だが、不安はある。SBUの実力をワンランク上の物にする為には、訓練と演習だけでは足りないと言える。」

 井口二佐は、SBU創設以来ずっと良き指揮官として、共に歩んで来た。彼はその中で見えてきたSBUの強いては自衛隊や憲法や法律と言った、法的不備がもたらす害悪を肌で感じていた。彼がこのような主張をするのは、至極全うな事である。

 決して偏った的外れな事は言っていない。しかしながら、この井口二佐の発言を(おおやけ)には出来ない。自衛官は政治的な関与を固く禁止されているからである。それは戦後日本がアメリカに前ならえで学んできた、文民統制(シビリアンコントロール)が簡単に崩れる事を意味する。

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