フットワークの軽さ
栄田三佐は以前、ネイビーシールズの事について、こう語っていた。
「残念ながら日本の海上自衛隊には、ネイビーシールズに勝てる部隊はない。SBU、つまり我々とてファストと同レベルだと言われ浮き足だっている様だが、本家のネイビーシールズの総合力には、敵わない。」
「しかしながら、幸か不幸か日本は米国を仮想敵国としていない。それどころか、強固な同盟関係を長年に渡って築いて来た。将来に渡って日米間の関係がどうなるかは、不透明だが今のところ日米は、戦略的互恵関係のある最大の同盟国関係にある。」
「だとするなら、我々SBUがネイビーシールズの水準に追い付こうと努力する事で、日本のみならずアメリカにとってもメリットが生ずる事になる。目標地点はかなり難所にあるかもしれないが、それでもそこに到達する事が出来たなら、恐らく、我々はもう1つ先のステージに進めるだろう。」
栄田三佐の分析は冷静だった。あくまで現状においては、ネイビーシールズ以上の部隊が日本には無いと負けをあっさり認めたのだ。その上で、SBUをネイビーシールズ並の部隊にしたいという栄田三佐の方針が伺える。大切な事は、日本にとって海上の特殊部隊が戦略的にどのような意味を持つのか、という事を理解する事だろう。
島国という地理的特徴を持っている日本にとって、テロリストや脅威のほぼ全てが海と空から侵入して来る。空の脅威は航空自衛隊がカバーしてくれるが、この広い日本海と太平洋を約14000人の海上保安官と、約45000人の海上自衛官だけではカバーしきれない事は言うまでもない。
そこで登場するのが、SBUである。フットワークの軽い、機動的に運用する事が出来る部隊がある事は意義深い事では無かろうか。そこまでの成長を遂げてはいないが、日本の少ない兵力でより効率的に日本の海を守る為には、SBUの存在は欠かせない。




