ノウハウを教えてくれた人
赤村と青野も「ファスト」との合同訓練に参加した事がある。いや、SBU隊員ならば全員が経験している事だろう。
「ファスト」の何が凄いかと言われるが、動きはテキパキしているし、機敏でその様子ははっきり言って赤子と大人位の差があり、SBUのレベルがまだ甘い。自分の実力が世界標準である事を知るには良い機会だ。その為なら良い合同訓練である。
今でこそSBUは「ファスト」と同レベルを維持していると、言われるがSBU設立当初は、そのような御世辞が貰える様な状況ではなかった。元々、SBUに集められた人間が、特殊部隊の経験が無かった事も影響しているが、一番の差は、体力や技術のノウハウが何も無かった事にある。
元々、海上自衛官は、陸上自衛官と違ってガッツリと戦闘訓練をする事が無く、そのような習慣が無かった。海上自衛官のやることのメインは艦船の扱い方やそれに準ずるモノであった。その為、「ファスト」所属の米兵から1~10までを教わった。特殊部隊の運用方法や経験は、世界最高峰のものであるアメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズから学んだと言っても過言ではない。
初めこそ慣れない所を見せたSBU隊員達であったが、回を重ねる毎に、年を重ねる毎に成長を見せて、ようやく追い付いた限りである。アメリカ海軍としても、「ファスト」と同レベルの部隊が、最大の同盟国である日本に出来た事は、素直に喜ばしい事であった。日本にそのような特殊部隊が出来れば、それなりの抑止力にはなる。
何よりも同盟国に実力者がいる事は心強い。恐らく、アメリカは沢山の国と同盟関係を結んでいるが、米国並の戦力に一番近いのは、恐らく日本であろうという認識はあった。




