プレッシャーのある配置
青野も赤村も年月を重ねた事で、それなりの技術を身に付けていた。それはつまりSBUに慣れたという事でもある。勿論、部下が入って来るまでは一番の下ッ端であることに変わりはなく、SBUにおいては新人であるのは違いない。実質上新人とも言えないが…。それにしても入隊当初に比べれば、随分と成長したと言える。
体は幾分締まったような気がするが、筋肉が付いた気もする。日々の訓練は決して甘くない。その上に上官は鬼の様に厳しい。辞めたくなった事も何回もある。しかしながら、ここで辞めたら負けの様な気がして、それだけはしないと心に決めていた。
青野も赤村も負けず嫌いの性分を持っている為ここまで、めけずにやって来られたという側面はあるのかもしれない。当然だが、途中で脱落して行く物も毎年いる。素質やセンスを買われてSBU の門を叩くが、入隊した全員が全員立派なSBU隊員に成れる訳ではない。結局続かなければどんな良質なセンスを持っていても無意味だ。
理由は様々だ。あまりの厳しさに音を上げる者もいるし、何よりも実戦で最前線に配置されるという相当なプレッシャー。それがなまじ分かっているだけに、日々の訓練も余計厳しさを増す事になってしまう。
去る者は追わずの自衛隊の大原則のもとで、それはSBU隊員も例外ではない。辞めたければ辞めて結構。どの道を選ぶかは個人の自由だ。しかし、辞めるには上官の同意が必要だ。ホイホイ辞められては、部隊の尊厳に関わる重大な事であるからだ。SBU隊員に成るのがどれだけ厳しいか、それは海上自衛隊随一と言っても過言ではない。
覚悟が無ければSBU隊員には、向いていない。それだけのプレッシャーとの戦いが待っているからだ。そういった事を知っておくのも銃後の国民の努めと言うものだ。




