トンネルの先に見える景色
「よいか、青野。俺達は何でも屋なんかじゃない。」
「分かってますよ。そんな事位。自衛官は制約だらけですが。」
「国家国民の為に本気で死ねる奴しか自衛官という職業には向いていない。」
「覚悟はありますが、割り切れない自分がいます。」
「時が経てば分かる事もあるよ。今は分からなくても。」
「そういうもんなんですかね?何だか面倒くさいですね。」
「ああ。面倒くさい。けどそれに答えるのが俺達自衛官なんだよ。」
「自衛官になって日が浅いですが、まだまだ俺は青いって事ですね。」
「そういう葛藤は心の中でして当たり前の事なんだよ。」
「時間はかかりそうですが、トンネルの先が見えました。」
「俺も昔若い頃は、お前みたく上官にたてついてたよ。」
「そうなんですか?そういう事をする人では無さそうですが。」
「若気の至りなのかも知れないな。笑えるよ。今は。」
「SBU隊員って大変な訳で、先輩達はどう思ってるんですか?」
「人の事はよく分からんが、俺は覚悟決めて職務にあたってるよ。」
「そうなんですか。中々よく分かりませんね。」
「そもそも、そういう事を考えられる奴しかSBU隊員になっちゃいけないのかもな。」
「何の為に死ぬか何て、一般人は考えませんからね。」
「貴重な経験をさせてもらっていると思えば、良いんじゃないか?」
「そうですね。何だかスッキリした様な気がします。」
「いつでも呼んで良いぞ。話し相手にはなってやれる。また何か困った事があれば、来いよ。」
「はい。ありがとうございます。そうさせてもらいます。」
「SBU隊員として大変なのはこれからだぞ!」
「はい。無理せず頑張ります。」
「上官としては、部下には少し位無理してほしいがな。」
「これからどうなりたいか、もっとよく考えます」
「それが出来るのは今の若いうちだけだからな」
「こういう話が気さくに出来る上官がいて嬉しいです」
「それはそれで、おとといきやがれだな。多分」
「さぁ、今日も訓練頑張るぞ!」
「お、スイッチ入ってきたな(笑)」




