何の為に命を賭すのか?
命をかける為に理由がいると思う人間には、この職業は向いていない。いつ死ぬか分からない自衛官という職業で、そんな事をいちいち考えていては仕事にならない。
それだけではない。戦場で迅速な行動がとれない事もある。死ぬのが怖いからだ。どんな人間でも死ぬ事は怖い。死ぬ事が怖くないと思う人間はいない。大切な事は、どう死ぬかではない。どう生きたかという事である。国家の為に、愛する家族の為に死ぬ。それ以上の理由はない。
だからと言って、国家の為、家族の為に死ぬという事は、正当化の理由付けでしかない。死ぬ理由を国家、家族に押し付けているからだ。死ぬ理由を探さない限り、何の為に身を賭すのかという事は、いつまで経っても分からないだろう。それが分かっているのと、分かっていないのとでは、大きな違いがある。
きっと、日々の過ごし方にも張りが出るだろうし、充実した毎日を送れる。理由付けは人それぞれ違う。だが、任務を重ねると見えてくるものもある。一体自分は何の為にこんな苦しい事をして戦い抜いているのかと。何の為に命がけで任務に当たっているのかと。
苦闘はそういう感情から生じるものが大半である。特にSBUの様な特殊部隊の任務において、容易い(easy)な現場等ないし、想定もしていない。だからこそ、心構えが重要なのである。いつ死んでも良いように、何の為に命をかけるのか考えておく事。そして、その上でどの様な生き方をすれば良いのか、未来を探って行く。
人それぞれ価値観は違う。考え方や思想も違う。それを共有する事は、不可能かもしれないが、それでも一人一人がきちんと向かい合い、考えなければならないテーマの1つであろう。




