出来る事・出来ない事
SBUの力を持ってしても、解決出来ない問題はたくさんある。SBUは万能の神ではない。人間である以上不可能な事は、どうしてもある。
それを踏まえた上で、指揮する側も指揮される側も、行動する必要がある。そのデッドラインの線引きは難しい所でもある。しかし、SBUとて出来ない事があるという認識が無ければ、過誤を残す事になりかねない。
判断を下すのはあくまで現場の隊長だ。制服組トップの統合幕僚長や海上自衛隊トップの海上幕僚長は、内閣総理大臣とともにいる。それらの命令の元で動く以上は、彼等の指令は絶対である。現場の隊員もそれは把握している。
出来る事出来ない事の線引きは、平時からきちんとやっておくべき任務である。"最後の砦"でも出来ない事はある。それは仕方のない事なのだ。全ての事案に理想通りに動ける部隊など、存在しえない。
だが、理想に出来るだけ近づく努力は重要だ。その努力は継続しつつ、その上で改めて出来ない事をピックアップする。要するに、ネガティブリストで動けという事なのである。
世界の軍隊の常識であるネガティブリストは、あらかじめ決められたルールで、物事を進めるポジティブリストの自衛隊にあって、SBUもまたその例外ではない。
民主主義の元の軍隊とは言え、日本の場合は、アメリカが戦後の統治をしやすくする為に"払い下げた"仮初めの民主主義であり、その全てが不完全である。
いかに現場の隊員がプライドを持って、高い士気で臨んでいようとも、それに頼り過ぎるのは、戦前・戦中の大日本帝国陸海軍とほとんど変わらない。安易な精神主義に傾注してしまうのも、考えものである。
とは言え、出来る事出来ない事を明確にしておくというのは、大切な事であるし、きちんとやっておくべき最重要任務の1つだ。




