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避けては通れない道

　今日は格闘訓練だった。最重要かつSBU隊員には、必要不可欠な訓練であった。この訓練は勿論、海上での不安定な状態を想定している。格闘訓練においては、何よりも個人スキルを上昇させる事に主眼が置かれていた。

　どんな強力な兵器もそれを使う隊員のスキルが無くては、豚に真珠・猫に小判である。そこでそうならないようにする為に、SBU隊員はひたすら格闘訓練を課される事になる。無いものは作り出せ。それがSBUの信条であった。

　だから、どんな弱兵でも短期間で強兵に成れるノウハウがSBUにはあった。特別な事は何もしていない。同じ事をただひたすら繰り返す。それだけで強兵に成れる。隊員は、やるべき事が目に見えている為、迷い無く己のスキルを上げる事に集中出来る。

　訓練とは言え、プロテクターをつけた殴りあい、蹴りあい、取っ組み合いである。油断すれば命を落とすかも知れないのは、冗談ではない。事実、海上自衛隊ではいじめに近いリンチにあい格闘訓練で死者を出した事もある。いきすぎたというのも可笑しな話なのだが、殺し合いのプロが訓練で乱取りをするのに、制限をかけては全く意味がない。

　だから、より精強な部隊を作りたいのであれば、制限等かけずにガンガン鍛えれば良いのである。正直な話、訓練で死んでしまう様なことでは、精強な兵士とは言えず程遠い。厳しい様だが国を守るというのは、生半可な事ではないと断言出来る。だからこそ、訓練とは言え気が抜けず強力な部隊を作り上げるには、避けては通れない道なのである。