米中それぞれの思惑
日米間の様々なレベルの仕組みの中で。米軍の組織と適時、的確に情報交換し、意思疏通を図る統合幕僚監部の役割の重要性は、東日本大震災で確認された事になる。
ウォルシュ海軍大将は、約1ヶ月横田基地で指揮を執る事になったが、その間の事で、注目すべき動きがある。
当時横須賀基地で定期点検中だった原子力空母ジョージ・ワシントンと、イージス駆逐艦1隻が、3月21日に横須賀基地を出港した事である。原子力空母ジョージ・ワシントンは、4月20日に横須賀基地に戻っている。米海軍の発表によると、出港は福島第一原発の状況悪化に対し、整備を続行する為の予防的措置として行われたもので、出港後は四国・九州の近海で活動して、途中佐世保基地に2回寄港して、整備の為の人員を交代し機材を交換したとの事である。
ところが同空母の出港について、日本政府は別の説明をしている。
「横須賀基地にいるよりは、日本の近海にいた方が抑止力として、日本の防衛あるいは、この地域の安全と平和の為に、そういう風に動いた方がより適切だと言う判断の元に港を出たという風に私どもは聞いております。」~梅本和義
外務省北米局長~2011年3月24日参院、法務委員会にて。
つまり米側は、放射線に敏感なセンサー等が鳴らないように落ち着いて整備する為と言い、日本側は日本の防衛と地域の安全と平和の為と言っている。実際はどうだったのか? 後になって中国共産党人民解放軍海軍司令官が以下の様な発言をしていた。
「海軍(中国)は東シナ海で大型軍事演習を計画していたが、東日本大震災の発生を受けて計画を中止した。(産経新聞ネット版2011年5月23日)」
発言の通りだとすれば、中国は東日本大震災の頃に大規模に海軍を動かす予定になっていた事になる。




