超人〜海上自衛隊最強の男に成るために〜
敵に対する宣戦布告の様な気持ちで提出した筈だったが、それを見た栄田3佐の反応は意外なものであった。
「よく書けてるじゃないか? まぁ、頑張れよ。」
その一言だけであった。もっと突っ込んで聞いて来るかと思ったものの、本当にあっけなかった。その意味を青野は行動で示して、結果を出せなければ全ては砂上の楼閣に過ぎないも同じ事と捉えた。
すると、どんどん栄田3佐をうならせたいと思う様に気持ちが変わったのである。この手強い副小隊長をギャフンと言わせたいと。それから、青野の訓練に対する取り組み方が明らかに変わった。持って生まれたセンスの良さも、相当なものであったが、限界に近くなるまで体を虐め抜いた。
体重を、5㎏減量したが減った脂肪は、全て筋肉に変わった。明らかに精鋭と呼ぶに相応しい体つきだった。一般的に陸、海、空の3自衛隊の中で、海上自衛隊が1番訓練が厳しいと言われる(潜水艦部隊等があるため)が、その中でも、SBUは、陸上自衛隊の第一空挺団や、陸上自衛隊特殊作戦郡(中央即応集団)に勝るとも劣らない訓練の厳しさである。並の人間ならば付いていくのがやっとである。
その中でも更なる限界まで、しごくのは人間の体力の限界を凌駕する様なものであった。克己人と言う言葉では生ぬるい、自分をとことんまで追い込むスタイルなっていた。
この青野の意識変化によって、周囲にも良い刺激が、伝播して行く。A B Cと、班の枠を越え良い意識に変わった。栄田三佐がそんな事を目的に、青野を焚き付けたつもりはない。目をつけたのは確かだが、それは青野が1番良く分かっていた。使えない隊員は、この黒桜をつける事すら許されない。
そう、今はあくまでお試し期間(試用期間)なのである。ここで、使えないと言う烙印を押されるのは、青野のプライドが許さなかった。誰もがここまでやるかと言う意気込みで、周囲を驚かせた青野は、超人的な訓練で怪我をしないかが心配な程であった。




