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黒い桜~The black cherry blossom ~  作者: 佐久間五十六


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涙も血も乗り越えて

 「国の為とは言え、俺は青野に死なれたら悲しいな。」

 「いきなり何を言うかと思えば。ありがとよ。」

 「少しでも親交のある奴が死んだら悲しいだろ?」

 「俺達も精強なSBU隊員とは言え、人間だからな。」

 「その時に冷静でいられる自信が俺にはない。」

 「任務中に仲間が死ぬ可能性は往々にしてあるからな。」

 「そんな時こそタフでいられる力が無いと駄目だな。」

 「赤村、それは口で言うほど容易くは無いな。」

 「それでも、何があっても前進するのが俺達SBUだ。」

 「前に進むしか道は切り開かれないからな。」

 「涙も、血も、全て乗り越えなくちゃならん。」

 「SBU隊員の宿命だな。それは。」

 「勿論、今の俺達の課題ではあるがな。」

 「誰にでも等しく死は訪れるものだがな。」

 「明日、この世に俺はいないかもしれない。」

 「そう考えると一日を大切に生きようって思えるがな。」

 「死ぬ事は恐いさ。ちぢみあがるほど恐い。」

 「人間なら大なり小なりそういう感情はあるな。」

 「でも、そこで脅えてるだけじゃ駄目なんだ。」

 「一歩を踏み出す勇気っていう奴だな。」

 「その一歩をしっかり踏み出せるか…。」

 「こればかりはその時を向かえてみないと分からんな。」

 「きっと大丈夫さ。俺達は半端ない訓練をしているんだ。」

 「訓練のクオリティや量は自衛隊中1、2位を争うからな。」

 「そう言うのが自信に繋がるんだろうな。」

 「確かに毎日キツイが、国の為国民の為だもんな。」

 「そして何より自分の為でもある。」

 「この国も、自分の未来も守ってやる…ってな。」

 「大した事は出来ないかも知れんが、微力ながらな。」

 「分かっているさ、そんな大そうなものじゃない事位。」

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