去る者は追わず
自衛官の退職年齢は階級毎に異なる。他の公務員とは、少し様相が異なる様だ。具体的には、海士長までの階級の人間は、言わば契約社員の様なものであり、一任期(3~4年)毎の契約によってその任務にあたる。
三等海曹以上は、若年定年制となっており、三等海曹なら53歳が定年である。一番位の戦い海将でも、60歳前後となっている。勿論、定年を待たずして、自衛官を退官する事は可能である。
尚、自衛隊を早期に退職する任期制自衛官に対する就職の斡旋もしており、その為の部隊がある。時に天下りとも言われるが、特別に悪い事をしている訳ではない。
去る者は追わず。というのが自衛隊のスタンスだ。意思のある者だけが残るという考え方が自衛隊内では根強い。勿論、そんなにバタバタ辞められては、只でさえ人手不足なのに困ると言うのが自衛隊側の本音だ。それでも、やめたいと言う者を説得したりはしない。あくまでも自衛隊は、志願制の組織であり、個人の意思が必要不可欠であり、それを強制した瞬間に、徴兵制になってしまう。
人には向き不向きがある。何年かやってみて、自衛隊の習慣が肌に合わない人間は絶対数いる。組織の中でガンジガラメにされてしまう事が耐えられないと言う人もいるかもしれない。人間のタイプは様々であって、それらはきちんと尊重されるべきである。やりたくもない仕事を続ける人がいては、自衛隊の練度も上がってこない。
士気が高い事が売りの自衛隊で、士気が低い人間もいるとなっては、それを認める事は、自衛隊最大の長所を無くしてしまいかねない。